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第5回 音源の再生成 /
音や振動のアクティブコントロール

多次元波伝搬の制御、並びに高モード密度な振動場の補正は、多くの場合、実際には実現不可能なほどの多数のセンサとアクチュエータを必要とします(詳しくは第6回以降を参照)。したがって、オリジナルの音源のコピーによって音場を打ち消そうとする方法がより好ましいと言えます。
一次音源(下方向に作用する矢印)および二次音源(180°だけ位相がずれ、上方向に作用する矢印)を図1のように概略図を示しています。このように、例えば室内のスピーカーや面上で作用する力を表現することができます。
 
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図1:音源再生成の原理の概略図


同一で逆位相である二つの音源は両者の間の距離が近ければ近いほど、より相互に放射音を打ち消し合い、より音場はキャンセルされます。低指向性を持つシンプルで容易に再現可能な音源に加えて、効果的な音場の低減では、一次音源と二次音源との間の距離は半波長未満である必要があります。これは自由音場だけでなく、高モード密度を有する閉空間にも等しく当てはまります。音源の再生成が成功する限り(例えば、ある周波数間隔において)、関連のある音場全体の再生成にも成功します。
図1から分かるように、振幅と位相についての音源の再生成は、局所的な対策によって制御可能なため、局所的に配置されたセンサにより全体の補正を達成することができます。
最初の信頼性の高い実験室での実現のように、このような放射音の制御は、実際にガスタービンの排気口で実践的に適用されています。この例では72個の低音スピーカーを排気出口の周りに配置し放射音を制御することにより、遠距離場において20~50Hzの帯域の音圧レベルを10dB以上低減させることができました(図2)。
 
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図2:ガスタービン排気音の遠距離場における音圧レベル
(a)スピーカーなし (b)スピーカーあり


同様にこの手法は、主要な力が近接して作用する二次的な力によって補正される場合には、固体伝搬音の問題にも適用できます。これは、主要な力が点と考えられる場合には特に効果的です。 低周波数域に対しては、弾性マウントの結合点において上記の条件を満たします。ばねに平行に適用される二次的な力を適切に制御することにより(図3)、ばねを介して伝達される力は補正されます。こうして、土台に対して伝わる力は消滅し、材料は効果的に分離され自由振動します。
 
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図3:並行に付加される2次的な力により適用される力の補正


 図3にあるような構造の利点は、静止部分が受動的なばねによって引き継がれるため、力の動的部分のみが生成されます。また、高周波数においてばねの良好な振動減衰が維持されるため、2次的な力は質量/ばね共振の領域を含む低周波数での振動減衰を改善することに使われます。
そのためアクチュエータの適切な制御によって、結果として生じる共振周波数を低周波数にシフトし、伝達曲線の共振ピークを低減することができます。高調波励起の場合、信号波形の予測可能性は多くの場合、受動マウントでは達成し得ない振動の減衰値の実現を可能にします。印象的な具体例を後の回で示します。

このようにアクティブマウントと呼ばれる能動的な除振システムは、高い需要のある特殊な場合における振動制御において、必要不可欠なエンジニアツールに十分なりえます。適用可能な用途はアクティブマウントが今日既に使用されていることが多い、非常に繊細な工程の上完成された振動制御のためのマウントから、エンジン用の改良されたマウントにも至ります。さらに、これにより振動の激しい機械を操作する作業者を保護することができます。

旅客鉄道車両に対し、近接するボギーの二次ばねによる二次的な力の制御についての具体例を挙げます。能動的な対策により、特定の路線において台車の回転次数で励起される90Hz付近の低周波騒音成分を根本的に低減することができました。図4の空間音圧分布で対策ありなしを比較すると(200km/hで試験走行したドイツ鉄道での測定)、一部の座席では20dBまで音圧レベルを低減できました。全体の平均でも12dB低減できました。
台車と客室への適用や有効性についての様々なアクティブコントロールの概念を調査した結果、車室内の二次ばねにピエゾ素子を取り付けることが採用されました。
 また、スピーカーによる客室内の音場の制御も可能であることも判明しました。しかし結論として、励起点に力を加えて補正することによる全体的な補正の方が有効であることが示されました。
 
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図4:列車内客室の空間音圧分布
能動的な力補正 なし(上図) あり(下図)

 

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