機械制御/振動騒音
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第1回 イントロダクション /
音や振動のアクティブコントロール

「逆相の音によるノイズ低減」:40年以上にわたってこの魅力的でキャッチーなテーマは物理的な存在以上に注目を集めています。事実、この手法は部分的にでも不快と感じられる音場、つまりはノイズの存在する音場に対して有益で役立つアプリケーションとして認められています。この手法及びその音響工学の応用的拡大は多くの人に受けいれられてきました。この理由として、私たちの生活の中で増えゆくノイズをコントロールすることが出来れば、我々の環境の中のノイズを低減出来る可能性、及び間接的にノイズ低減に貢献できる可能性があるからです。

もちろんアクティブコントロールを強く支持する人達によって発表、断言されてきた事柄(時にかなり不注意な方法で)の全てが理解、実現されてきたわけではありません。それでもこの手法の妥当性やこれまでの成功例から、これまでずっと技術の適用や技術応用への関心が持たれ続けてきました。

上記してきた波場を制御する手法は、位相の異なる2つの波動があった場合に、どの様にそれらが干渉、打ち消しあうかというシンプルな物理の波の干渉原理に基づいています。この手法は意図的、かつ電子技術的に波の干渉をコントロールすることから「アクティブ」という特性(属性)で一般的に特徴づけられています。

この様にアクティブコントロール対策は、与えられた力学場(プライマリーフィールドと呼ばれています) の物理量に対して、電気的に駆動されたアクチュエーター(アンチソース)、もしくはセンカンダリソースと呼ばれています)により付加的に発生した2つ目の場で重ね合わせによる修正を施すことを目標にしています。

このアプローチは空気伝播領域に限定されるものではありません。これは任意の媒体―すなわち流体、気体、並びに弾性体の固体伝播領域や振動領域でも同様に有効です。したがって空気伝播音を直接的に補正する以外にも、アクティブ対策は構造物の(構造上の)振動を制御することによって空気伝播音の放射を抑圧できる可能性もあります。

対象の場の補正が成功出来たら全く新しい可能性が広がります。もし我々が与えられた音場や振動場に対して逆相の(打ち消しあう方向の)場を作成することに成功したら、我々は新しい任意の場分布を発生、実現させることができるはずです。その際、完全に消失させる(ゼロ)場に近づけようとせず、ゼロ場ではない任意の現実的な場分布に近づけていくことがより一般的な方法です。この様にして、アクティブサウンド低減はアクティブサウンド発生と関連し、アクティブノイズコントロールはアクティブサウンドデザイン(ASD)と関連しています。

音場及び振動場のアクティブコントロールの魅力は、その優位性としてすばらしい結果を導くことが出来ると既に証明されてきたダクトや小さな体積の音場の様な適用しやすい環境にだけに限られているわけではありません。アクティブノイズコントロールは、古典音響学と革新的かつ急速に発達してきているデジタルエレクトロニクス分野や電気機械トランスデューサとの新しい組み合わせにも影響を与えています。

しかしながら、ほとんどの場合でその技術を実際に適用出来るかどうかはその優位性よりも堅牢性や経済的な効率性に依存します。そしてこの事は多くの場合で、電子工学的、電子機械学的な努力を必要とすることになります。又、過去には想定されるあらゆる適用方法を組織的に保護しようとしたことにより、特許の極端な混乱状況が引き起こされ、アクティブ制御は特殊なほんのわずかな場合でのみに使用できる方法であるとの見方がされてきました。又、現実的に実用化の可能性があると考えられる研究結果もごくわずかでした。しかしながら上記した特許の期限切れが起こる共に技術の進歩によって、実践的なアクティブ制御の採用はゆっくりではあるものの着実に成長し続けていくと推測されます。

次回以降では現状のアクティブサウンド/振動制御技術の概要についてご説明していきます。最も重要かつ期待出来そうな活用方法のご紹介の他に、どの様にアクティブ制御方法を設計、適用していくべきかというアドバイスや基本的なメカニズムについてご紹介していきます。テクノロジーの急速な変化を受け、技術的な詳細は簡易的なアウトラインに留めていく予定です。

 

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アーカイブ

  • 第10回 放射音のアクティブな補正

    多くの技術的騒音制御問題は、振動する構造体からの音の伝搬や放射を取り扱います。その様なケースでは、放射された音場よりも音の放射自身を制御しようとします。この概念を図1に記載します。
     

  • 第9回 閉空間におけるアクティブコントロール(後編)

    アクティブ手法による車の室内音を制御する試みは1980年から行われ、10年後に初めて成功事例が報告されました。その後、乗用車の場合では4~6個のラウドスピーカの装置が適切かつ扱いやすいことが判明しました。又この手法/装置により、300Hz以下(この周波数帯域は車室内の全座席で検知可能であり、人が乗車した際の頭の位置や頭の動きによって影響をあまり与えない周波数帯域です)で音場を全体的に減少させたり、変化させることができることも判明しました。
     

  • 第8回 閉空間におけるアクティブコントロール(前編)

    これまでご説明してきた考えでは、ターゲットとなっているエリアや容積からなる空間がどの様に構成されているかということは考慮せずに、波の励起や波の伝播を直接制御することを扱ってきました。これまでのアプローチでは、音源にアクセスすることができない場合や、いろいろな方向からやってくる沢山の波によって音場が特徴付けられている様な場合にはうまくいきません。
     

  • 第7回 波動伝播のアクティブコントロール(後編)

    具体例として、16個のラウドスピーカーと24個の計測用マイクロフォンを用い実験室に配置し、200~500Hzの間で30dBまで減衰させることができ、一部周波数範囲を遮蔽できるという結果を得ました。
     

  • 第6回 波動伝播のアクティブコントロール(前編)

    安定性の問題とは別に、二次音場および電子コントローラ内の伝播遅延時間は、「第2回 技術的発達の歴史」で言及したようなシンプルかつ標準的なフィードバック・コントローラの性能を制限する可能性があります。
     

  • 第5回 音源の再生成 /
    音や振動のアクティブコントロール

    多次元波伝搬の制御、並びに高モード密度な振動場の補正は、多くの場合、実際には実現不可能なほどの多数のセンサとアクチュエータを必要とします(詳しくは第6回以降を参照)。したがって、オリジナルの音源のコピーによって音場を打ち消そうとする方法がより好ましいです。

  • 第4回 アクティブシステムの動作メカニズムに関する考察 /
    音や振動のアクティブコントロール

    いかなる音場も任意に変更するためには、その音場の補正を必要とします。なぜなら、少なくとも元の音場を補正または縮小できなければ、音場の分布の変更または置換は有効ではないからです。

  • 第3回 アクティブコントロールの構造 /
    音や振動のアクティブコントロール

    音や振動のアクティブコントロールについての構造図を示します。音源Qは1つまたは複数の音源を示しており、発生する一次音場はベクトルYpで表現されます。アクティブコントロールの基本的な仕組みは、これらの一次音場Ypが2次音場Ysと交わる箇所で重ねられるということです。

  • 第2回 技術的発達の歴史 /
    音や振動のアクティブコントロール

    「(電気機械的に)制御された干渉によるノイズ消去」としてアクティブノイズ低減の考えに関して記載された最初の書面は、1933年から1934年にP. Luegによって取得されたいくつかの特許の中で見つけることが出来ます。

  • データ収集機器(DAQ)の性能指標

    データ収集機器(DAQ)のフロントエンドには、あらゆるノイズの影響が最小限になるような設計が求められます。そのような観点からDAQフロントエンドの性能を表すために、信号にどの程度ノイズが乗ってしまうかを示す様々な指標が利用されています。

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