技術資料
定抵抗測定について
1. はじめに
BioLogic社電気化学測定システムおよび充放電システムには、電池などのサンプルに対して一定負荷(定抵抗)接続を模擬した評価を簡易的に実施できるテクニックが搭載されています。このテクニックを用いることで、電池の放電容量などを簡易的に測定できます。
2. 定抵抗試験について
定抵抗試験は、電気化学測定システムおよび充放電システムが制御可能な電流・電圧の範囲内で、サンプルに対して定抵抗負荷を接続した状態を模擬する試験です。負荷接続時に電圧が変動するサンプル(例:電池)に対し、測定した電圧に応じた電流を制御します(I = V / R)。これにより、放電容量や放電特性を簡易的に評価できます。
サンプルが電池の場合、主な評価項目は以下のとおりです。
・一定の抵抗負荷で放電させ、時間経過に伴う電圧降下、電流および容量を測定することで、放電容量や放電特性を評価する。
・セルから供給される実際の負荷(例:電子機器)を模擬し、実使用環境に近い条件で評価する。
3. CLD(Constant Load Discharge)およびCR(Constant Resistance)テクニック
BioLogic社電気化学測定システムに付属のソフトウェアには、定抵抗負荷での放電を行うCLD(Constant Load Discharge)と、定抵抗制御を行うCR(Constant Resistance)テクニックが用意されています。
CLDでは、模擬する抵抗の値や測定時間を設定できるほか、電圧下限値や容量を終了条件として設定できます(図1)。

図1. CLD設定項目
定抵抗放電を模擬することで、セル電圧の低下や放電カーブからセルの特性を評価できます。また、定抵抗制御のためV/Iは一定となります(図2)。

図2. 定抵抗測定のグラフ例
測定時の注意点
電池の自己放電などの影響により、高い抵抗負荷を設定する場合は評価結果の解釈に注意が必要です。
また、CLDおよびCRでは電流レンジの設定が必要です(図3)。

図3. I range設定
電池セルの電圧と抵抗負荷の設定値から流れる電流値を事前に計算し、適切な電流レンジを設定します。
BioLogic社電気化学測定システムスタンダードモデルの電流測定確度は、設定レンジの0.1%です。例えば、電流レンジが100 μAの場合、確度誤差は±0.1 μAとなります。この値は、3 Vの電池に30 MΩの抵抗を設定した場合に流れる電流と同程度であるため、高い抵抗負荷を設定する場合は電流誤差の影響が大きくなります。
4. まとめ
定抵抗測定テクニックでは、複雑な制御を行うことなく、設定した抵抗負荷とセル電圧から算出される電流によって放電を行います。取得した電圧、電流、容量などのパラメータから電池の放電特性を簡易的に評価できるほか、定抵抗接続を模擬するため実使用環境に近い条件で評価できます。
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