技術資料
I-V特性とインピーダンスの同時解析
1. はじめに
燃料電池や水電解セルの特性評価を行う手法の一つにI-V測定があります。I–V測定は、電流を段階的に増加させ、その電圧応答を測定することで、燃料電池や電解セルの出力特性を評価できる手法です。さらに、I–V測定とインピーダンス測定を組み合わせることで、各電流値における内部抵抗や界面特性の解析も可能となります。 BioLogic社製電気化学測定装置に付属のEC-Labソフトウェアでは、I-V測定に加え、インピーダンス測定を同時に行い、解析を行うことが可能です。本稿では、I-V特性とインピーダンス特性を同時に取得するための測定設定、解析手法について記載します。
2. EC-Labソフトウェアにおける測定設定方法
I–V特性とインピーダンス特性を同時に取得するためには、EC-Labソフトウェアに搭載されている電流制御インピーダンス測定テクニック「GEIS」※を使用します。以下に代表的な設定項目を示します。本テクニックでは、シークエンス設定を用いることで、直流成分(バイアス電流)を段階的に変化させつつ、各ステップにおいて交流インピーダンス測定を実行します(図1)。これにより、サンプルのI–V特性とインピーダンス特性を同時に取得することが可能です。
※インピーダンス測定における電圧制御(PEIS)と電流制御(GEIS)の違いについてはこちらからご覧ください。

図1. (左)EC-Lab「GEIS」設定画面、(右)直流成分(バイアス電流)の段階的印加
一例として、実際のGEIS測定例を以下に示します(図2)。
<実測データ測定条件>
■ 測定テクニック : GEIS
■ 直流電流 : 0.95A ~ 7.5A
■ 交流電流 : 直流電流の1/10
■ 周波数範囲 : 1kHz ~ 100mHz

図2. 各直流電流値におけるナイキストプロット
3. EC-Labソフトウェアにおける解析手法
先ほどの測定から得られた結果をもとに、各バイアス電流値における電圧値(I–V特性)や任意の周波数におけるインピーダンス成分をプロットする手法について説明します。EC-Labソフトウェアでは「Selector」から表示する要素を設定することができます。「Selector」でX軸に〈I〉、Y軸に〈Ewe〉を選択すると直流成分(I–V曲線)を表示できます。X軸に〈I〉、Y軸に|Z|を選択するとインピーダンスデータ(交流成分)が表示され、「Frequencies」から周波数を指定することで特定の周波数のデータのみを表示することも可能です(図3)。

図3. EC-Lab「Selector」画面
◆X軸に〈I〉、Y1軸〈Ewe〉にを選択することでI-V曲線(直流成分)を表示(図4)
◆X軸に〈I〉、Y1軸に|Z|を選択することでインピーダンスデータ(交流成分)を表示(図5)
「Frequencies」から表示したい周波数を選択
◆X軸に〈I〉、Y1軸に〈Ewe〉、Y2軸に|Z|を選択することで同じグラフ上に重ねて表示

図4. 電流値における電圧値(I-V曲線)

図5. 電流値における1kHzのインピーダンス値
また、EC-Labに搭載の「ZFit」機能を使用することで、インピーダンスの等価回路フィッティング結果から、直列抵抗値や容量値など特定の要素を選択しプロットすることも可能です(図6)。「ZFit」機能で解析を行う際に、「Select all cycle」を選択することで、保存されているインピーダンス結果すべてに等価回路フィッティングを行います。また、その結果を自動でグラフとして表示します(図7)。

図6. EC-Lab 「ZFit」設定画面
◆「Select all cycle」を選択して解析を行うことで、保存されているインピーダンス結果すべてに
等価回路フィッティングを実行
◆自動的にグラフが表示され、直列抵抗など特定要素の値をプロット可能(図7)

図7. 直列抵抗成分R1の推移
4. まとめ
本稿では、EC-Labソフトウェアを用いたI-V特性とインピーダンス特性の同時測定について紹介しました。1回の測定で直流試験と交流試験両方の結果が得られるため、効率的にデータを取得できます。また、インピーダンス測定と組み合わせることで、I-V測定だけでは捉えきれないセル性能や劣化挙動などの情報をより詳細に解析できます。
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