【RFCの読み方-番外編】ジョークRFCの読み方 ~2023年エイプリルフール版~

標準化関連

 

new_releases 2024年版ジョークRFCの記事を公開しました。(2024/04/02更新)

今年もジョークRFCの季節がやってきました!早速読んでみましたので、その感想を公開します。
まだ読んでない方にとっては、ネタバレになりますのでご注意ください。

昨年の記事を読まれてない方は、ぜひこちらもご覧ください。
【RFCの読み方-番外編】ジョークRFCの読み方
【RFCの読み方-番外編】ジョークRFCの読み方 ~2022年エイプリルフール版~

2023年ジョークRFC

2023年のジョークRFCは3件でした。どれも短めで、内容的にもわかりやすいものでしたので、昨年のジョークRFCより挑戦しやすいと思います。

RFC タイトル
RFC9401 The Addition of the Death (DTH) Flag to TCP.
RFC9402 Concat Notation.
RFC9405 AI Sarcasm Detection: Insult Your AI without Offending It.

RFC9401 TCPへの死亡フラグ(DTH Flag)の追加

TCPに死亡フラグを追加することが提案されています。具体的にはTCPヘッダの4番目のフラグビットを使用して、TCPセッションの終了の可能性を示します。具体的には、赤枠が死亡フラグの位置です。

TCPのDTHフラグ

参考までに「正しい」TCPヘッダはこちらです。

正しいTCPヘッダ

このフラグによりアプリケーションはセッションの突然の終了に備えることができ、アプリケーション(TCPの上位層)とエンドユーザにとって有用である、とのことです。 仕様に関しては結構マニアックに細かく記載があり、北斗神拳の使い手が受信者である場合は除くとか、IP Evil Bit(2003年発行のジョークRFC RFC3514参照)との違いとかにも言及していました。

北斗の拳は、世界的にも有名なのでしょうか。RFC内でもWIKIPEDIA-List of Fist of the North Star charactersが参照されていました。たしかに死亡フラグって、アニメとか漫画から派生した言葉ですよね。

個人的には、技術的な緻密さと絶妙な文章表現がマッチしていて3つの中で一番面白かったです。

RFC9402 Concat記法

Con+Catにかけて、猫とコンテナについての記法の提言でした。
そういえば、我が家の猫も箱(っぽいもの)によく入っています。Appendix A. Examplesは、想像しただけで微笑ましいです。猫好きにとってはとても癒やされるRFCでした。

英語がやさしめで内容もシンプルですので、英語があまり得意ではない方でも読みやすい内容となっています。

RFC9405 AI皮肉検出:AIの怒りを買わずにディスる

AIシステムで皮肉を検出するためのフレームワークの提案です。なんとこのAutherの一人に今話題のChat GPTがいます。まさにタイムリーなジョークRFCでした。

RFC9405

確かに皮肉は、文脈と口調に依存するため、AIが理解することは難しいですよね。言葉と反対の意味で言っている場合も多いですし。
このRFCでは、皮肉を示す言語パターンと文脈上の手がかりを認識するようにAIシステムをトレーニングすることで、AIシステムが人間のコミュニケーションを理解し、誤解を避ける能力を向上させることができることが述べれています。

もしかしたら、このジョークRFCの内容を遥かに超えた人間の高度なコミュニケーションを理解したAIが実現化される未来がすぐそこまで来ているのかもしれません。

あとがき

昨年に引き続き、今年もジョークRFCの記事が出せてよかったです。今年のジョークRFCは昨年のものより、私にとって理解しやすい内容でした。
この記事がRFCを読むきっかけになってもらえたら嬉しいです。