【RFCの読み方-番外編】ジョークRFCの読み方 ~2024年エイプリルフール最新版~

標準化関連

 

一昨年、昨年に続き今年もこの時期恒例となりました今年のエイプリルフールに公開されたジョークRFCの感想を公開します。
まだ読んでない方にとっては、ネタバレになりますのでご注意ください。

以前の記事を読まれてない方は、ぜひこちらもご覧ください。
【RFCの読み方-番外編】ジョークRFCの読み方
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2024年ジョークRFC

2024年のジョークRFCは1件でした。比較的短く英語も易しめで内容的にもわかりやすかったです。

RFC タイトル
RFC9564 Faster Than Light Speed Protocol (FLIP)

以前の記事でも書きましたが、ジョークRFCを調べたい方は、英語サイトのWikipediaが便利です。すぐに反映されています。
April Fools' Day Request for Comments

RFC Editorで検索する場合は、日付まで入っているものがジョークRFCです。

RFC Editer検索画面

RFC9564 超光速プロトコル (FLIP)

タイトルにもある「FLIP」とは、Faster than LIght Speed Protocolの略で、光の速度よりも早い通信を実現するためのプロトコルのことです。ですので、「超光速プロトコル」と訳してみました。超高速プロトコルは、LLM(大規模言語モデル)を用いることで、パケットが到着する前にトレーニングに基づいた適切な出力を予測し生成できることが最大の特長となっています。

FLIPヘッダは、以下のような構成となっています。

FLIPヘッダ

FLIPヘッダ構造

光よりも早い速度を達成させるため、ヘッダ内のCommandフィールドには、トレーニングされたモデルデータなのか、実際のデータなのかを識別できるように工夫されています。

また、FLIPはshimヘッダのため、複数のレイヤで使用することが可能です。上位レイヤに通知するため以下の番号をIANAレジストリに登録可能であることが記載されています。

IP Protocol Number
345
UDP/TCP Port Nubmer
68534

ちなみにですが、もちろん現実のIANAでこれらの番号は登録されていません。というより、IP Protocol Numberは1オクテット(2^8、すなわち0-255)、Port Nubmerは2オクテット(2^16、すなわち0-65535)で表現できる値しか設定できませんので、そもそも登録ができません...。

RFC9564を読んだ感想

昨年にひきつづき今年もAIネタが出てくるあたり、まだまだAIブームは続いている感じですね。最後のAcknowledgementsが印象的でしたので一部をご紹介します。

format_quote Acknowledgements

Since this protocol specification is using artificial intelligence and large language models, it was deemed that dumb humans must not review this specification. Instead, the specification has been submitted to multiple LLM chat services and was enhanced by their comments and suggestions, hence acknowledged here. In fact, this specification may have been produced entirely by LLM chat services.
...

このプロトコル仕様は人工知能と大規模な言語モデルを使用しているため、愚かな人間がこの仕様をレビューすべきではないと考えられていました。かわりに、この仕様は複数のLLMチャットサービスに提出され、そのコメントや提案によって強化されたため、ここで承認されます。実際、この仕様はすべてLLMチャットサービスにより作成された可能性があります。(BY Google訳)

Chat GPTの公開以来、LLMは多岐に渡るアプリケーションで活用されています。かつては人間が主導し、AIが支援する役割が一般的でしたが、すでに人間の介入が不要(というより邪魔)になったことを示唆しているように感じました。

あとがき

AI技術に関して巷にはたくさんの情報がありますが、私のイチオシは、EE Timesの連載コラム 「Over the AI ――AIの向こう側に」 です。連載は、2016年7月から2018年8月までの24回となっていますので、ChatGPTなどはもちろん登場していません。ですが、現在でも通用する基礎的な技術のことから、エンジニアの心構え(?)まで幅広く、作者のユーモラスな切り口でわかりやすくまとめられています。