技術資料

校正の必要性について

1. 校正とは

校正とは標準器を用いて、測定器が表示する値と標準器による真の値との関係を確認することを指します。 これは測定器の現時点における状態を確認するものであり、将来の計測器の状態を保証するものではありません。
本稿では、校正の必要性と校正用語について記述します。

2. 校正の必要性

ISO9001内の測定のトレーサビリティの項目には以下のように記述されています[1]


 測定のトレーサビリティが要求事項となっている場合、又は組織がそれを測定結果の妥当性に
 信頼を与えるための不可欠な要素とみなす場合には、測定機器は、次の事項を満たさなければ
 ならない。
 ・定められた間隔で又は使用前に、国際計量標準又は国家計量標準に対してトレーサブルである
 計量標準に照らして校正若しくは検証、又はそれらの両方を行う。そのような標準が存在しない
 場合には、校正又は検証に用いたよりどころを、文書化した情報として保持する。



校正はISO9001の要求を満たすためだけでなく、製品の品質や仕様を確保・維持するうえでも重要です。 測定器は経年変化などにより誤差を生じる場合があり、その誤差が測定精度に影響を及ぼさないことを確認するために、定期的な校正が必要となります。

3. 調整とは

調整とは、測定器と標準器の値に差がある場合に、測定器の表示値を標準器に合わせて変更することを指します。一方、校正には調整は含まれません。
誤差を修正すると、測定器がどのように精度を変化させてきたかという履歴が分からなくなってしまいます。校正を定期的に実施することで、ある期間における測定器の状態を把握でき、その間の測定が正しかったこを確認することが可能となります。

4. 誤差(error)と不確かさ(uncertainty)

誤差とは、測定対象について得られた測定値と「真の値」との差を指します。
不確かさとは、測定結果に含まれる疑わしさを数値で表したものです。
数値として補うことのできない未知の誤差が存在する場合、それが不確かさの要因となります。

5. 測定における誤差と不確かさの要因

測定の質を悪化させる要因は数多く存在します。現実の測定を完全に理想的な条件で行うことは不可能であり、以下のような要因が誤差や不確かさの原因となります。



計測器:かたより、経年による変化(エージング)、ドリフト、読み取り性の悪さ、ノイズなど
測定対象:対象そのものが安定しない場合がある
測定プロセス:測定そのものが困難な作業である場合がある
外部要因:使用する機器の校正にも不確かさがあり、それが累積して測定の不確かさに影響する
作業者の技能:測定が作業者の技能や判断に依存する場合がある
サンプリング:測定は評価対象のプロセスを正しく代表している必要がある
環境:温度、気圧、湿度などの条件が計測器や測定対象に影響を与える


6. 測定におけるトレーサビリティとは

ある測定器が国家計量標準につながっていることを確認する「校正の連鎖」をトレーサビリティといいます。
現場で利用される測定器は、より正確な(不確かさの小さい)標準器により校正されています。さらに、その標準器は外部の登録校正事業者が保有する、より高精度の標準器で校正されます。このように校正の連鎖をたどることで、最終的には国家計量標準に結びつきます。
不確かさがすべて評価された切れ目のない比較の連鎖を通じて、測定結果や標準の値が定められた基準に結びつけられることが、トレーサビリティの本質です。

7. 参考文献

[1]JIS Q9001:2015 https://kikakurui.com/q/Q9001-2015-01.html

[2]JIS Q17025:2018 https://kikakurui.com/q/Q17025-2018-01.html

[3]不確かさの入門ガイド(原版:A beginner’s Guide to Uncertainty of Measurement) https://www.nite.go.jp/data/000050641.pdf

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