技術資料

Z-ASSISTの概要説明

1. はじめに

Z-ASSISTの活用例
Z-ASSITソフトウェアは、電気化学交流インピーダンス(EIS:Electrochemical Impedance Spectroscopy)解析における等価回路フィッティングを支援する解析ツールです。 EISデータに対して緩和時間分布(DRT:Distribution of Relaxation Times)解析を実行し、DRTピークに基づいてR–CPE要素の数、時定数、抵抗値などを自動的に推定することが可能です。 これにより、専門知識の有無を問わず、等価回路モデルの構築に必要な初期値や回路構成を自動で導出でき、解析作業にかかる時間を短縮し、さらに設定ミスを防止できます。

2. DRT緩和時間分布解析とは

DRT緩和時間分布解析とは、周波数領域で取得されたEISスペクトルに対し逆フーリエ変換を適用して得られる緩和時間分布関数(DRTスペクトル)を用いて、分極抵抗成分を分離する解析手法です。


■Z-ASSISTで解析できる測定データを取得可能な機器について

本稿でご紹介するZ-ASSISTによるインピーダンス解析は、以下の弊社装置で取得したデータのみ適用が可能です。

■ポテンショ/ガルバノスタット

■各種インピーダンスアナライザ

3. Z-ASSISTで評価できること

Z-ASSISTでは、解析に必要な等価回路モデルの推定および初期値を自動算出します。初期値を含む等価回路モデルデータ(R-CPE、DE5)を等価回路解析ソフトウェアZViewに出力できます。これにより、フィッティング解析の個人差を解消し、インピーダンス解析時間の短縮が可能になります。

■Z-ASSISTでの等価回路モデルにおけるR-RCPE、R-DE5の選択について

<R-RCPEについて>
Z-ASSISTでR-RCPEを選択した場合、一つの抵抗と複数のR-CPE並列回路にて等価回路モデルが算出されます(下図)。


R-CPE並列回路のインピーダンス特性は、以下の式で表されます。


R-CPEインピーダンス式は回路パラメータとして明示的に τ を有しておらず、Z-Assist における出力パラメータとしても τ は含まれません。


<R-DE5について>
Z-ASSISTでR-DE5を選択した場合、一つの抵抗と複数のDE5素子からなる等価回路モデルが算出されます(下図)。


DE5素子のインピーダンス特性は、以下の式で表されます。


上記式で示したようにDE5素子はパラメータとして τ を有し、Z-Assist による解析結果として時定数 τ を得ることが可能です。


R_DE5 は回路パラメータとして時定数 τ を有するため、選択して有用な場合が多く利用を推奨します。例えばZ-Assist にて τ を算出し、それを他の解析ソフトウェア(ZView, Z-RW-Analysis etc.)へ入力して利用できます。

4. 解析手順例

■従来の等価回路フィッティング例
手順①:EIS測定実施
手順②:ZViewでEISデータを表示し、等価回路モデルを作成・フィッティング実行
従来の等価回路フィッティングでは、個人で等価回路モデルを作成する必要があるため、作成者の判断や経験に依存したフィッティング誤差が生じる可能性があります。


■Z-ASSIST活用時の等価回路フィッティング例
手順①:EIS測定実施
手順②:Z-ASSIST解析実行・解析データの確認/編集
手順③:Z-ASSISTで自動導出した初期値・等価回路モデルを出力
手順④:ZViewでEISデータを表示し、Z-ASSISTで自動導出した等価回路モデルを適応・フィッティング実行
Z-ASSISTを活用した場合、初期値と等価回路モデルは自動導出できるため、個人依存によるフィッティング誤差を回避できます。

5. Z-ASSISTによる解析結果

下記はSOFC(固体酸化物燃料電池)のEISデータをZ-ASSISTで解析した例です。

■解析したいナイキストプロット(SOFCのインピーダンス測定結果)


■解析設定条件(Z-ASSISTソフトウェアの画面)

やじるし

■自動導出された等価回路モデル

・CPEについては、こちらの技術資料でご紹介しています。

■解析されたナイキストプロット(SOFCのインピーダンス解析結果)


■解析されたDRTスペクトル例(Z-ASSISTソフトウェアの画面)

以上の手順から、“SOFCのEISデータ”に対して緩和時間分布解析を行い、初期値と各分極抵抗成分を求めた結果を出力することが可能です。

6. まとめ

本稿では、DRT解析法を用いることで、等価回路フィッティングにおける分極抵抗成分の分離が自動的に実現可能であることを示しました。 Z-ASSISTを使用することで、インピーダンス解析に関する知識や経験が限られている場合でも、等価回路フィッティングに必要な初期値や回路構成を自動で導出が可能です。これにより、解析時間の短縮や、作業者の判断に起因するフィッティング誤差の低減が期待できます。

参考文献

・弊社作成『Z-ASSIST取扱い説明書』

上記、文書は本ページの製品サポートからダウンロードいただけます。ご覧いただくには、ご登録が必要です。詳細は以下を参照してください。

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