見えない振動や音の原因を“見える化”するFFTアナライザ。自動車の異音、建機の耐久性、家電の静音設計など、現場の課題を周波数領域で解析。迅速な原因特定と製品改善を支援し、開発スピードと品質向上に貢献します。
オートモーティブ・ソリューション部
03-3245-1058
FFTアナライザの事例、ソリューションご紹介
使用分野と機能
主な使用分野と良く使われる機能FFTアナライザは振動・騒音による問題が発生する以下の様な製品の、研究開発、品質管理、検査、サービス部門などで使用されています。
車両の静粛性・乗り心地・快適性・操縦性などの改善
静粛性、快適性、操縦安定性といった車両性能を高めるには、NVH(Noise, Vibration, Harshness)特性の定量的な把握と、その原因特定が不可欠です。OROSは周波数領域での高精度な振動解析を可能にし、構造体や搭載ユニットが引き起こす共振や伝達経路の把握に貢献します。
当社のFFTアナライザは、広帯域なFFT解析に加えて、1/Nオクターブ分析による騒音レベル評価にも対応。実走行条件下や試験ベンチにおいて、ドライバーが実際に感じる不快な音源を定量的に抽出できます。また、加振試験による共振周波数の特定と、実験モード解析(Experimental Modal Analysis)と一緒に用いることで、ボディ、サスペンション、内装部品などの固有振動数とモード形状の抽出が可能です。これにより、振動の根本原因の可視化と構造最適化に直結した対策が講じられます。
近年のEV化・軽量化に伴い、車体構造の複雑化が進む中、OROSはマルチチャンネル同時計測やトラッキング解析、トランスファーファンクション(FRF)解析などの高機能を搭載。プロト開発から製品化直前のチューニングまで、技術者の意思決定を支援する強力なツールです。
回転機械の信頼性向上に貢献― トラッキング・ねじり振動・共振解析まで対応
高速回転を伴うタービン、エンジン、電動モーターの研究開発においては、わずかな振動やトルク変動が重大なトラブルを引き起こす要因となります。当社のOROSは、回転機械に特化した振動解析機能を豊富に搭載し、回転体の性能評価・異常検知・構造最適化に最適なツールです。
まず、オーバオール測定機能により、全体的な振動レベルや音圧レベルをリアルタイムでモニタリングし、異常兆候の早期検出が可能です。さらに、FFT解析により、軸受、ギヤ、羽根車などの個別要素が引き起こす周波数成分を明確に特定できます。
また、回転次数比(Order Tracking)やRPMトラッキング分析に対応しており、加減速中の回転数変動に追従しながら、構成部品ごとの次数成分(1X, 2Xなど)を正確に抽出可能です。これにより、負荷条件や温度変化による構造応答の変化も、時系列で把握できます。
さらに、回転ねじり振動分析(Torsional Vibration Analysis)では、軸トルクの微細な変動成分を高精度で解析。特にEVやハイブリッド車において重要となる、モーターとエンジンの連携タイミング評価や、トルク伝達系の剛性・共振リスク評価に威力を発揮します。
そして、ハンマリングや加振器を用いた加振による共振周波数の測定にも対応。加振器と加速度センサを組み合わせた実験モードにより、構造物の固有周波数や減衰特性を明確化し、回転機械の設計段階における共振回避設計に貢献します。
製品の静音化を実現するFFTアナライザの活用例 ― 騒音源の定量化と対策立案を効率化
建設機械やプリンター、エアコン、冷蔵庫などの製品では、使用環境での騒音レベルの低減が求められています。OROSのようなFFTアナライザは、騒音源の特定とその周波数特性の可視化により、開発段階での静音設計を強力にサポートします。
オーバオール測定により、機器全体の音圧レベル(dB)をリアルタイムで把握でき、騒音が許容範囲を超えていないかを即座に判断可能です。異音の発生や設計変更による改善効果の定量評価にも有効です。
さらに、FFTによる周波数分析を活用することで、例えばファンモーターやギヤの回転に起因する特定周波数のピークを検出できます。これにより、振動や構造共鳴がどの部位で発生しているかを明確にし、的確な対策が立案できます。
加えて、1/Nオクターブ分析では、人間の聴感特性に合わせた帯域ごとの騒音評価が可能です。騒音の心理的影響を考慮した静音化設計や、ISO・JIS等の規格に基づいた製品評価に活用され、客観性の高いレポート作成を実現します。
これらの機能を組み合わせることで、試作段階での異音・騒音の早期発見と原因特定、さらには効果的な設計改善による製品価値向上につながります。
ナノレベルの精度を守る振動解析 ― 微小振動の可視化と構造最適化にFFTアナライザを活用
高精度な加工・観察を求められる顕微鏡、工作機械、半導体製造装置では、微小な振動が光軸ズレや画質低下、加工誤差の原因となることがあります。こうした課題に対し、OROSは微小振動の周波数成分の見える化と構造共振の特定を通じて、的確な対策の立案を支援します。
周波数分析(FFT解析)により、フロアノイズや機械内部から伝わる高周波振動まで、広帯域で周波数成分を検出。振動源の特定だけでなく、クリーンルーム床や架台の構造的な弱点を視覚的に把握できます。(VCカーブ測定に必要な1/3オクターブ分析にも対応。)
さらに、加振による共振周波数の測定では、実際に加振器を用いて装置や架台の振動応答を取得し、固有周波数を特定。これにより、外乱や装置動作時に共振を引き起こすリスク帯域が明らかになります。
加えて、ME‘scopeVESなどのソフトウエアの追加で実験モード解析(Experimental Modal Analysis)を行い、構造物のモード形状や減衰特性を把握することで、補強設計や免震構造の改善ポイントを定量的に導き出せます。
ナノ加工や高倍率観察といった最先端精密分野において、OROSのようなFFTアナライザは微小振動の影響を最小化し、装置性能の最大化を実現するための強力な解析ツールです。
サーボ機構や電気回路の周波数応答測定に ― 精密制御と安定性評価を支えるFFTアナライザ
精密な位置決め制御を求められるサーボ機構や、フィルタ・アンプ・制御系設計における電気回路では、周波数応答関数(FRF)の測定が、安定性評価と制御性能の最適化に欠かせません。FFTアナライザは、これらの系に対し高精度かつ広帯域な周波数応答解析を実現し、理論モデルと実機挙動のギャップを的確に捉えるツールです。
FFT解析により、入力信号と出力信号間のゲインおよび位相差を算出。サーボ制御系の開ループ/閉ループ特性の可視化や、制御遅れ・共振点の特定を可能にします。
また、加振による共振周波数の測定では、加振信号(正弦波・ランダム・チャープ等)を入力し、系が持つ固有振動数や減衰特性を測定。制御ゲイン設定や機械要素との干渉帯域の回避設計に活用されます。
さらに、 ME‘scopeVESなどのソフトウエアで実験モード解析を応用することで、機械構造や電気機械ハイブリッド系における構造応答と制御応答の連成挙動を明らかにし、モデリングの精度向上やフィードバック制御系の設計に役立ちます。
OROSは、制御工学・電気回路設計・メカトロニクス分野における高精度なシステム同定と周波数応答解析に最適なソリューションです。
応用事例
OROS社FFTアナライザOR30シリーズを利用した応用事例集
OROS社FFTアナライザOR30シリーズならではの様々な機能によって提供できるソリューション事例をご紹介します。
(※画像クリックでPDF表示)
切削加工機の振動計測
切削加工条件の変更による機械共振問題を特定するためにOROS社FFTアナライザOR30シリーズを使ってどのようなアプローチができるのかをご紹介しています。
出典:ツールエンジニア 2012年8月臨時増刊号
風力発電設備のモニタリングと異常診断(英語)
風力発電設備内の回転機械(ギアボックスやジェネレータ等)から生じる振動騒音を計測することは、設備のメンテナンスや長寿命化には欠かせません。OROS社FFTアナライザOR30シリーズの強みである回転機械のリアルタイム分析能力に加えて遠隔操作・モニタリング、スタンドアロン機能を使用することで、より効率的に風力発電設備の設備診断を行うことができます。
ディーゼルエンジンカムシャフトの回転ねじれ計測(英語)
小型ディーゼルエンジンの試作機において、タイミングベルトとカムシャフトの回転ねじれ振動が共振し、大きな振動を生むという問題が生じています。OROS社FFTアナライザOR30シリーズに搭載された6個のタコチャンネルで高精度に回転変動・回転ねじれを計測することで、どの回転次数が振動に対して支配的であるのかを明らかにしています。
OROS製品ラインアップ
O4 プラグアンドプレイ 4chFFT アナライザ
USB-C バスパワーで駆動、PCとケーブル一本で接続し、専用解析ソフトウェアNVGateにて、すぐにFFT分析を行えます。重い、大きいFFTアナライザから解放されませんか?
※クリックしてPDFを表示・保存できます
OR30シリーズ マルチJOB FFTアナライザ
OR30シリーズマルチジョブFFTアナライザは、PCベースの高性能・高機能FFTアナライザです。高速な演算処理能力、高い信頼性、使い勝手の良い操作性を継承しつつ、さらに演算処理速度の高速化を進め、 リアルタイム解析能力を従来機種(OR20シリーズ)の16倍以上に高めました。インターフェースとしてはLANケーブルを採用。市販のLANケーブルで接続可能です。
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動画コンテンツ
製品紹介、デモンストレーションなどの動画を公開しています。
製品・サポートページ
OROS社FFTアナライザのユーザ様向けに使用方法等の情報を公開しています。