技術資料
BCS/BCS-800シリーズでのCONT-TEMP2を用いた温度制御方法の比較
1. はじめ
温度制御下での充放電試験を実施する場合に有効な手法として、BioLogic社製充放電装置と当社開発の温度制御ソフトウェア「CONT-TEMP2」を組み合わせたシステムを提案しています。 BCS-800シリーズからBCSシリーズへのメジャーアップデートに伴い、充放電測定制御ソフトウェアおよびシステム構成が大きく変更されました。本資料では、従来BCS-800シリーズ(BT-Lab)やBioLogic社製ポテンショガルバノスタット(EC-Lab)を用いて温度制御を行っていたユーザーを対象に、BCS(BT-Test)において「CONT-TEMP2」を使用して温度制御を行う方法を紹介します。
2. 温度制御時のシステム連携の比較(BCS-800シリーズとBCSシリーズ)
図1に、BCS-800シリーズにおける温度制御の処理フローを示します。BCS-800シリーズでは、BT-Labソフトウェアが測定シーケンス全体を制御しており、外部ソフトウェアを起動するTechniqueである「EXTAPP」を使用して、BT-Labが適切なタイミングでTTTriggerを引数付きで起動することで温度制御を実現していました。
一方、BCSシリーズでは、システムの安定性向上を目的として、測定制御をBCS本体(サーバー側)で実行する構成に変更されています。
ユーザーPC上のBT-Testソフトウェアは、測定条件の設定やモニタリング機能を担いますが、測定開始後は制御処理に直接関与せず、BCSシリーズ単体で測定を行うことが可能です。この設計変更により、従来のようにPC側から直接TTTriggerを起動することができなくなりました。
そこで、BCSシリーズでもCONT-TEMP2を用いた温度制御を可能にするため、新たにインターフェースソフトウェア「TTTriggerRunner」を開発しました。TTTriggerRunnerは、CONT-TEMP2 Ver.2.5.0以降に同梱されており、BCSシリーズと通信してEXTAPP Taskの実行を検知し、適切な引数を付与してTTTriggerを起動します。これにより、従来と同様に恒温槽をBCSシリーズ環境でもCONT-TEMP2と組み合わせて使用することが可能となりました。
TTTriggerRunnerは初期設定完了後に起動することで自動的に動作し、TTTriggerはバックグラウンドで制御を行います。
ユーザーは従来と同様に、充放電制御ソフトウェア(BCS-800シリーズではBT-Lab、BCSシリーズではBT-Test)およびCONT-TEMP2のみを操作すればよく、ソフトウェア追加による操作の複雑化はほとんどありません。

図1. BCS-800シリーズでの温度制御の流れ

図2. BCSシリーズでの温度制御の流れ
3. 温度制御設定の比較(BCS-800シリーズとBCSシリーズ)
図3は、BCS-800シリーズを用いてCH1(A1)の温度を30℃に制御するBT-LabのExperiment設定例です。BT-Labでは、Program NameにEXTAPP実行時に起動する実行ファイルを指定し、Parameters欄に半角スペース区切りでCH番号と制御コマンド(例:T30、STANDBYなど)を入力します。「Wait until the application closes」にチェックを入れることで、温度が所定値に達してから次のTechniqueに進むように設定できます。この設定を恒温槽に含まれる各チャンネルに行い、各チャンネルのExperimentを一度に実行することで、CONT-TEMP2で温度制御が実施されます。各チャンネルに別の引数の設定を行う必要があり手間であるため、チャンネル数が多い場合は、Sync TechniqueやGroup機能を用いて設定を簡略化する方法もあります。詳細は当社CONT-TEMP2ソフトウェア付属のマニュアルEC-Lab+CONT-TEMP2_Manual Rev.Aの「8.2.複数の測定条件を複数チャンネルで同時に実行する場合」をご参照ください。
※マニュアルは、本ページの製品サポート(ユーザー専用)からダウンロード可能です。
ご利用には登録が必要です。詳細は以下をご参照ください。
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図3. BCS-800シリーズでのEXTAPPを用いた温度制御設定(BT-Lab)
BCSシリーズでBT-Testに同様の設定を行う例を示します(図4)。Taskのプルダウンリストから「EXTAPP」を選択し、「Wait until the application closes」は初期値のままとします(「Do not wait」には変更しません)。Application IDに「100」を設定すると、TTTriggerRunnerが動作します。Parameters欄には制御コマンド(例:T30、STANDBYなど)を入力します。CH番号については、TTTriggerRunnerが通信経由で取得するため、BCSシリーズでは設定不要です。これらの設定を完了すると、Test Planの準備が整います。
測定を実行する際は、図5に示すように、作成したTest Planを選択し、「New Test Run」から測定チャンネルをまとめて選択することで、該当チャンネルの測定を開始できます。なお、「EXTAPP」は有償オプションとして提供されています。BCSシリーズとCONT-TEMP2を同時に導入する場合は、オプション料がCONT-TEMP2の価格に含まれます。このように、BCS-800シリーズおよびBCSシリーズのいずれの場合でも、設定手順や項目に大きな差異はなく、概ね同様の構成で温度制御を実行することが可能です。

図4. BCSシリーズでの温度制御設定(BT-Test)

図5. BCSシリーズでの測定の実行
4. まとめ
BCS-800シリーズからBCSシリーズへの移行により、システム構成および制御ソフトウェアは大きく変更されていますが、温度制御については従来と同様にCONT-TEMP2を使用することが可能です。 BCSシリーズは、測定の安定性向上、データ管理の効率化、複数ユーザーによる同時利用の容易化など、運用面での利点を有しています。 これらの特長により、BCSシリーズ環境下でも従来と同等の温度制御を維持しながら、より効率的な測定運用を実現できます。
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