技術資料

OPEN/SHORT/LOAD補正について

1. 概要

OPEN/SHORT/LOAD補正(以下OSL補正)はインピーダンス測定を行う際に、測定ケーブルや測定治具の影響を測定データから取り除くために有用な手法です。

ケーブルや治具にはサンプルと直列には微小な抵抗成分(Rs)とインダクタンス成分(Ls)、並列には微小な浮遊容量の成分(Cp)と非常に大きな絶縁抵抗の成分(Rp)が含まれます。これらの成分を試料の測定とは別に補正データとして測定しておき、測定データから差し引く方法がOSL補正になります。

図1. 装置ケーブルと治具・サンプルの接続例図とその電子回路図

1-1. OPEN補正

OPEN補正では、測定回路を開放した状態(図2)でインピーダンス測定を行い、主にサンプルに並列に発生する容量成分を測定し補正を行います。サンプルと並列に入る容量成分に測定電流が流れこんでしまうような、インピーダンスの大きなサンプルや高い周波数帯での測定を行う場合において、非常に有効な補正手法となります。

図2. OPEN補正時の接続図と電子回路図

1-2. SHORT補正

SHORT補正では、測定回路を短絡した状態でインピーダンス測定を行い、ケーブルや治具に含まれる抵抗成分およびインダクタンス成分を測定し、補正を行います。SHORT補正測定時にはサンプルと並列にある成分には電流が流れないため、ケーブルや治具が有する小さな抵抗値やインダクタンスの影響が現れやすい、インピーダンスの小さなサンプルや低周波数帯の測定において、非常に有効な補正手法となります。

図3. SHORT補正時の接続図と電子回路図

1-3. LOAD補正

LOAD補正は、サンプルの代わりに物性値が既知の抵抗器もしくはキャパシタを接続し、特に高周波帯のサンプル測定結果の精度を高める補正です。接続する抵抗器もしくはキャパシタの物性値は、サンプルの物性値に近ければ近いほど補正の効果が高くなるので、適切な抵抗器もしくはキャパシタを用意する必要があります。

図4. LOAD補正時の接続図と電子回路図

2. OSL補正時の注意事項

2-1. 補正時に使用するケーブル・試料について

測定ケーブルや測定治具に含まれる抵抗・容量・インダクタンス成分をできるだけ正確に補正するためには、実試料の測定を行う際と同じケーブルと測定治具を用いて補正測定を行います。

また、補正時には測定ケーブルと治具以外の抵抗・容量・インダクタンス成分がなるべく含まれないことが望ましいため、先に示した図のようにOPEN補正測定時は治具の電極間距離をできる限り離して測定し(図2)、SHORT補正は治具の電極間を短絡させて測定する方法(図3)が最も効果的な補正方法になります。もし、治具形状などによりOPENやSHORT補正測定時に試料を用いる必要がある場合は、試料に含まれる抵抗・容量・インダクタンス成分も含まれて補正データが取得されることに注意が必要です。

図5. OPEN、SHORT補正測定時に試料を用いる必要がある場合の例

LOAD補正に抵抗器やキャパシタを用いる場合、使用されている素材や構造によって、物性値がさまざまであり、適しているものと適していないものがあります。温度特性が優れているもので、抵抗器であればインダクタンスが小さいものが好ましく、キャパシタであればTanδの小さいものを使用することを推奨します。ただし、必ず使用する素子のデータシートを参照し、使用に適しているかを判断する必要があります。


表1. LOAD補正時に持ちいつ抵抗器・キャパシタの推奨と非推奨例一覧

2-2.補正時と測定時の周波数について

補正ファイルに記録されているデータの周波数範囲が、測定ファイルに記録されているデータの周波数範囲をすべてカバーするように周波数の設定を行います。


表2. 補正時に必要な周波数範囲

また、補正データに含まれない周波数と周波数の間のデータは周波数補間により求められるため、周波数範囲は完全に一致していなくても補正は可能です。しかしながら、周波数範囲設定を同一にすることにより、周波数補間による誤差を最小限に抑えられます。

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