技術資料
リチウムイオン電池(LIB)の劣化要因
1. はじめに~劣化の要因について~
リチウムイオン電池(Lithium-ion Battery, LIB)の劣化は、使用や保管の過程で徐々に進行し、主に「容量の低下」と「内部抵抗の増加」として現れます。劣化は単一の要因によって起こるものではなく、以下のような複数の要因が複雑に関与しています。
① 温度
② 充電状態(State of Charge, SOC)
③ 充放電条件
④ 保存条件
特にEV(電気自動車)や電動工具、蓄電池システムなどの実運用環境では、これらの要因が同時に作用し、電池性能に大きな影響を与えます。
2. 各要因による劣化
温度、充電状態、充放電条件、保存条件がリチウムイオン電池に与える影響を以下に示します。
①温度
・高温では電解液および電極の化学反応が活発になり、電解液の分解や SEI 膜成長、ガス発生が
進む。
・低温では内部抵抗の増大により出力が低下し、リチウムイオン移動が遅くなり負極でのリチウム
析出が起こりやすくなる。
②充電状態(SOC)
・満充電に近い状態では、正極が高電位となるため酸化反応が進行し、構造劣化を招きやすくな
る。
・過充電状態では、電極反応の進行により電極の劣化やリチウム析出が起こりやすくなる。
・過放電状態では、集電体が溶解し内部短絡が発生しやすくなり、絶縁破壊のリスクが高まる。
③充放電条件
・高レートの充放電は、内部抵抗による発熱が増え、また高温状態と重なると劣化が急速に進む。
・パルスの瞬間的な負荷、リップルの充放電に重畳される交流信号で劣化が進む。
④保存条件
・高温かつ高い充電状態での長期保存は、劣化を急速に進行させる。
上記要因により、電池容量が減少、また電池内部の内部抵抗が増え、電圧降下が大きくなり、発熱が増え電池の劣化に繋がります。
これらの要因を再現、測定することが性能を評価する上で必要です。
3. 測定事例
各種劣化条件は、当社取り扱い製品により再現できます。BioLogic社電気化学測定システム、BioLogic社充放電システム、および恒温槽を組み合わせることで、前述の劣化要因を模擬し、劣化前後や劣化進行中のデータを取得できます。
例)リップル電流
リップル状の電流負荷は、EVや電動工具、インバータ電源などで発生しやすく、通常の充放電に加えて瞬間的な高電流が繰り返されます。 このリップルにより局所的な発熱が生じ、熱ストレスによって劣化が加速します。その結果として、1kHz程度のリップル電流を重畳させることで、劣化が進行し、電池寿命が短くなることが確認されています。

図1. 定電流試験中におけるリップル電流印加のイメージ
※参考文書「EC-Labによるアプリケーション別測定および解析例」p319『14.7 External Control(アドバンスドモデルのみ)』に詳細記載
上記文書は本ページの製品サポートからダウンロードいただけます。ご覧いただくには、ご登録が必要です。
■電気化学測定ラボサポートページお申し込みについて
BioLogic社電気化学測定システムでは、通常の充放電試験にリップル(※直流に重畳される交流成分)を重ねて印加することができます。ファンクションジェネレータなどの外部信号発生器を用いて、ポテンショスタットのアナログ入力に交流信号を加えることで、定電流試験中にリップル電流を印加できます(図1)。
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