技術資料
高抵抗サンプルにおけるガード電極の必要性
I. はじめに~ガード電極とは~
ガード電極は、高絶縁性を有する誘電体サンプル(コンデンサに用いられるセラミックスやプラスチックなど)のインピーダンス測定において重要な役割を果たす電極の一つです。
絶縁性の高いサンプルを測定する際には、サンプル表層に漏れ出すリーク電流や、測定原理上避けられない浮遊容量を介して流れる電流の影響により、測定値が本来の値から逸脱する可能性があります。こうした測定誤差を回避するために、ガード電極が用いられます。
II. ガード電極の主な役割
■II.1 ガード電極の構造
・ガード電極を中心電極の外側に配置し、ガード電極を接地させます(図1)。
図1(a)は、液体や粉体サンプルの測定に最適な東陽テクニカ製SH2-Z型4端子サンプルホルダの専用ホルダの一部です。
図1. (a) SH2-Zのホルダ画像、(b)ガード電極付サンプルホルダの側面概要図
■II.2 ガード電極がない場合
測定するサンプルの抵抗が高い場合、サンプル表層や浮遊容量にリーク電流が流れてしまうことで測定誤差が生じ、測定の安定性に悪影響を及ぼします。
図2. ガード電極がない場合の概要図
■II.3 ガード電極を用いた場合
サンプル表面を流れるリーク電流は、ガード電極を介してグランドへ逃がされます。その結果、電極の中心部を通過する電流のみを正確に測定できます。(図1左)。 また、浮遊容量に流れた電流も接地されたガード電極を通じてグランドへと落とされます(図1右)。
図3. ガード電極を用いた効果の概要図
III. ガード電極の効果
<サンプル表層に発生するリーク電流の排除>
サンプル表層に漏れ出るリーク電流をグランドに落とすことで、測定精度および測定の再現性を向上させます。
<浮遊容量によるリーク電流の排除>
サンプル外側に発生した電界を吸収しグランドへと落とすことで、測定される容量値はサンプルに流れる電流のみとなり、測定精度および測定の再現性を向上させます。
IV. ガード電極を用いた材料評価の適用例
<絶縁性材料の評価>
高抵抗および誘電体などの絶縁性材料のインピーダンス測定において、ガード電極の効果が期待されます。
―高分子材料、セラミックス、プラスチックなどのマテリアル評価
V. まとめ
ガード電極は、高抵抗なサンプルの測定において、測定精度の向上や測定精度の安定化において極めて有効です。誘電体などの絶縁性材料における正確なデータ取得を実現するために用いることが可能です。
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