SPECTRAL CT 新たな局面を迎えたラボ用X線マイクロCT

SPECTRAL CTは、サンプルとの相互作用によって減衰する入射X線のスペクトルを利用して、従来のマイクロCTでは不可能だった材料内部の化学情報を3次元的に明らかにすることができます。非破壊で材料内部の任意箇所の化学情報を取得でき、内部構造・ミクロ組織と組み合わせて評価することが可能です。

またSECTRAL CTは、3次元的化学情報を取得することができる、ラボ用マイクロCTでは世界初の技術です。鉱業やリサイクルの工程におけるレアメタルの特定はもちろん、従来のマイクロCTではコントラストづけが困難な工業材料中の異なるポリマーの分離識別、生物試料のコントラスト最適化といった応用が期待されます。

SPECTRAL CTの特長

K吸収端の検出による元素同定

元素種に特有のK吸収端エネルギーを検出することにより、特別な解析知識を用いることなく、各種レアメタルや希土類元素の同定が可能

TrueContrast™

1回のX線スキャンで、160keVまでの吸収スペクトルを収集。任意のエネルギー範囲に分けて抽出表示することが可能で、従来のマイクロCTでは十分なコントラストが得られないような材料においても、マテリアルコントラストを得ることが可能

従来のCTによるスライスとSPECTRAL CTによるマルチエネルギースライスの比較(模式図)

スペクトラムマッチング

各種物質のデータベースを搭載。データベース上のスペクトルと参照・比較することで、化学組成・濃度・密度について迅速に評価が可能

スペクトルの比較により、材料間の相違や類似性を評価

TESCAN UniTOM XLの高品位・高精細イメージングにスペクトル情報を統合

SPECTRAL CT機能は、多様なサンプルタイプに対し複数の解像度でイメージング可能な、マルチスケールマイクロCTシステムのTESCAN UniTOM XLCoreTOMシステムに搭載可能です。機能追加に伴う制約はなく、SPECTRAL CT機能が搭載されても、UniTOM XLCoreTOMシステムがもつ基本性能・標準機能を損なうことなくそのまま活用することができます。

SPECTRAL Suite - 強力なスペクトル解析ツール

SPECTRAL Suiteは、スペクトルデータの取得やその再構築・分析の機能を有しており、TESCAN社独自のSPECTRAL CT検出器の能力を最大限に引き出します。TESCANのマイクロCT本体の制御ソフトウェアであるAcquilaTMとの連携により、広域で取得したあと、内部の任意の箇所へ直感的にズーム可能なVOIS (Volume-of-Interest Scanning)ワークフローを使用して、材料内部の任意の箇所にて化学成分に関するデータを取得することができます。 取得・再構成されたスペクトルは、可視化・解析・比較することができ、マルチエネルギーCT、K吸収端検出、原子数チャートの抽出などといった高度な分析評価を可能にします。

SPECTRAL CTを搭載したUniTOM XLシステムの導入事例

SPECTRAL CT機能が搭載されたX線マイクロCTシステムの1号機は、University of Pau(フランス/ポー大学)に導入されました。同大学のPeter Moonen教授は、このTESCAN UniTOM XLシステムを用いて、岩石や金属材料のマルチモーダル解析を行っています。SPECTRAL CTとマイクロCTの融合により、エネルギー・資源分野での新たな分析アプローチの創生が期待されます。

SPECTRAL CT搭載製品