事例紹介・技術資料

ナノインデンターによる生体材料やゲルの評価事例

生体材料や液中の高分子材料といった軟質な材料は、筋肉や細胞の研究といった医学的な側面から圧力センサーなどの保護膜として用いるシリコーンゲルや溶液中のリチウムイオン電池のバインダーフィルムのような工業的な分野まで、非常に多くの場所で活用されています。こうした材料は粘性的な特性を持ち、その流動性やしなやかさをうまくコントロールすることで実用上の不具合を無くす取り組みがなされております。 このページでは従来インデンテーション装置では測定が難しかった、弾性率がkPaオーダーのサンプル特性評価事例を紹介します。

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材料の機械特性の3次元マッピング

NanoBlitz 4D はナノメカニクス社のコントローラの超高速積算能力と高感度アクチュエータの組み合わせで、1 インデントを3.5 秒で実現し、最高30 × 30 のデータ密度で、ダイナミック試験を連続実行し、機械特性にXYZ 軸の座標系を加えた4D データの取り込みを行います。さらなるスピードアップ、最大データ数の増加、対応試料の範囲の増加のために開発が続けられています。

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スマートフォン保護フイルムの測定例

スマートフォンの画面に貼り付けるフイルムには、傷つき等から保護するために様々な機能が施されています。今回、ナノインデンターで表面の硬度・ヤング率の違いや回復性、割れ性等の様々な機械特性を評価しました。高分子材料の材料に対し、このような評価がナノインデンターで実現できるという参考にしていただけましたら幸いです。

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ナノインデンターによる高速多点試験と試験結果の有意差について

試験結果とt検定

 薄膜の品質管理において製造プロセスと薄膜特性の関係を明確にすることは非常に重要です。硬さ試験に関してはナノノインデンターを利用することで、より薄い膜厚に対しても評価が可能になりました。では、どの程度の僅かな違いが評価可能なのでしょうか?僅かな違いを判定するためには経験的には、いわゆる「N増し」を行います。しかし、ナノインデンターの測定では1試料に対して行う試験数は10回程度ではないでしょうか?もし、測定時間が律速になり、試験数が制限されるのであれば、Keysight Technologies社のExpress Test機能がその制限を解消します。この機能では1秒で1回の押し込み試験を完了させることが可能です。
 本紹介事例では、この機能を利用して短時間に大量に収集した試験結果に対する統計的な
有意差の判定について紹介します。

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ナノインデンターによる破壊靱性試験

石英_クラックイメージ

破壊靱性は材料の破壊に対する強さを示す指標の一つで「硬さ」ではなく「もろさ」を示すパラメータです。材料の亀裂が大きくなることに対する抵抗の強さを示します。セラミック材料は硬い反面、もろい傾向にあり、JIS R-1607ではファインセラミックの破壊靱性試験方法が定義されています。この規格では、予め亀裂を作った材料に曲げ試験を行う「予亀裂導入破壊試験法」とビッカース圧子の押し込みにより材料に亀裂を形成する「圧子圧入法」があります。本紹介事例ではナノインデンターを用いた「圧子圧入法」による破壊靱性試験について紹介しましす。

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ナノインデンターによる圧壊試験

粒子圧壊のモデル

ナノインデンターは一般的には薄膜や微小部位の硬度やヤング率を測定する為に利用されます。しかし、ナノインデンターには圧壊試験機としての側面もあります。当然、一般的な圧壊試験機に比べれば、桁違いに小さな荷重の印加になります。しかし、微小荷重と微小変位の制御と検出が可能な能力を利用することで、通常の圧壊試験機では不可能な微粒子やマイクロピラーの圧縮試験機として利用が可能です。本事例ではナノインデンターの微小荷重圧壊試験機として側面を紹介させて頂きます。

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ナノインデンターによるMEMS評価例

AFM用カンチレバーの曲げ試験

MEMSは「Micro Electro Mechanical Systems」の略称で、シリコンやガラスなどの基板上に電子回路と微小動作(駆動)する機械要素部品を集積したデバイスです。圧力センサー、加速度センー、
マイクロミラー、RF-MEMSスイッチ等、幅広い産業で利用されています。微小荷重(負荷)と微小変位の検出・制御が可能なナノインデンターを利用することでMEMS内で使用されている機械要素部品の曲げ試験や疲労試験が可能になります。本事例ではナノインデンターを利用した微小機械要素部品の機械特性評価例を紹介させて頂きます。

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ナノインデンターによるクリープ試験

試験力と押込み深さ(試料変形)の時間推移

クリープ現象とは試料に印加する試験荷重を一定に保持した場合に、試験時間の経過とともに押込み深さ(試料変形)が増大する現象です。ゴムや高分子材料では室温で発生する現象です。金属材料の場合、一般的には高温環境下で発生する現象ですが、スズや鉛など融点の低い金属では室温でも発生することが知られています。クリープ評価は硬度やヤング率同様にISO14577で規定されています。ナノインデンターでクリープ試験を実施することで、より小さな試験力を制御し、わずかな変位を検出できるだけでなく、薄膜材料や微小部位に対する試験も可能になります。

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