技術資料
ケーブル長さによるインピーダンス測定への影響
1. はじめに
MHz帯を含む高周波数域でインピーダンス測定を行う際には、測定系に含まれる寄生成分の影響を無視できません。特に、測定ケーブルに起因する容量(C)成分やインダクタンス(L)成分は、測定結果の再現性や高周波側の挙動に影響を及ぼす可能性があります。
配線に由来するこれらの成分は、測定ケーブルの長さや取り回し(曲げ状態)によっても変化します。本稿では、セルケーブルの長さの違いがインピーダンス測定結果に与える影響について、実測データを基に整理します。
2. 測定条件
BioLogic社製ポテンショ/ガルバノスタットを用い、セルケーブルの長さを変更した場合に、高周波数域のインピーダンス測定結果へどのような影響が現れるかを比較しました。
測定条件
- サンプル:ダミーセル(等価回路は下図参照)
- 使用機種:BioLogic社製ポテンショ/ガルバノスタットVSP
- 測定手法:PEIS
- 周波数範囲:1MHz~100mHz
- 赤線:セルケーブル長5m
- 青線:セルケーブル長1.5m

3. セルケーブル長さによる測定結果の比較

図1. セルケーブル長さによる測定結果の比較(赤線:セルケーブル長5m / 青線:セルケーブル長1.5m)
上記測定結果から、セルケーブル長5mの場合には、1.5mの場合と比較して高周波数側でプロットの乱れが大きく、短いケーブルでは確認されなかった円弧が新たに現れていることが分かります。
これは、約500Ωの大きな直列抵抗成分に加え、ケーブル長の増加に伴って付加された微小な容量(C)成分によって時定数が形成され、高周波帯域において新たな円弧として観測されたものと考えられます。
測定ケーブルには固有の容量成分が含まれており、その値はケーブル長が長くなるほど増加します。 このため、サンプルのインピーダンス値が比較的高い条件では、ケーブル長による影響が測定結果に現れやすくなります。 一方で、サンプルのインピーダンスが低い場合には、ケーブル長による影響が目立たないケースもあります。
また、ケーブル長が長くなると、容量成分に加えてインダクタンス(L)成分の影響が現れる可能性もあり、 高周波数域での測定結果に影響を及ぼす要因となります。 このため、設置環境などによる制約がない場合には、 高周波数域でのインピーダンス測定においてセルケーブルは可能な限り短くすることが望ましいと考えられます。
4.まとめ
高周波数域でのインピーダンス測定では、セルケーブルに起因する容量成分やインダクタンス成分が、測定結果の再現性や高周波側の挙動に影響を及ぼす場合があります。 測定への影響を抑えるためには、可能な範囲でセルケーブルの長さを短くすることが有効な対策の一つです。
一方、電池評価などで恒温槽を使用する場合や、測定環境・耐熱性の制約により、 ケーブル延長を避けられない実験条件も存在します。そのような場合には、ケーブル長による影響を考慮した測定系の構成や、影響低減を目的とした治具の利用を検討することも一案となります。ご興味がありましたら、以下の問い合わせボタンよりお問い合わせください。
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