技術資料

燃料電池のセル評価解析プロトコルと評価システムについて

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1. はじめに

脱炭素社会の実現に向けた世界的な取り組みが加速する中、燃料電池技術は再び注目を集めています。特に2025年以降は、実用化に向けた技術革新と市場の拡大の両面で大きな進展が見られます。たとえばモビリティ分野においては、燃料電池車(FCV)に加え、トラック市場でも導入が進んでおり、長距離走行や高積載が求められる用途においては、電気自動車(EV)に対して優位性を持つケースもあります。 本稿では、近年注目されている燃料電池のセル評価解析プロトコルについて紹介するとともに、当社が提供する燃料電池評価システムの概要についてご説明します。

2. PEFCセル評価解析プロトコルについて

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業」の一環として、共通の評価方法および耐久試験方法としてのセル評価解析プロトコル(以下、NEDOプロトコル)を公開しています。 このプロトコルは、固体高分子形燃料電池(PEFC)における電解質膜、電極触媒、ガス拡散層、セパレータなどの各部材に対する研究・開発において、共通の評価および耐久試験の指針となるものです。 NEDOが公開している「PEFCセル評価解析プロトコル」の詳細については、こちら(外部サイトに遷移)をご参照ください。 以下に、プロトコルの主な区分を示します。

セル性能評価プロトコルの主な構成
(1)電解質膜
 A. 膜単体での評価方法
 B. セルでの評価・耐久方法
(2)電極触媒(ハーフセル・RDE)
(3)電極触媒・電極の触媒層
 A. 評価方法
 B. 耐久方法
(4)拡散層
 A. 評価方法
 B. 耐久方法
(5)バイポーラプレート
 A. 評価方法
 B. 耐久方法

3. 燃料電池評価システム AutoPEM

前述のとおり、燃料電池の部材やセルの発電性能および耐久性を評価するには、セル評価解析プロトコルを含む多様な試験条件および試験内容に対応する必要があります。当社では、これらのセルを評価するための燃料電池評価システム「AutoPEM」を自社で開発し、国内外で提供しています(図1)。以下に、本システムにおける燃料供給装置およびソフトウェアについてご紹介します。

■3.1 燃料電池供給装置

本システムでは、燃料電池に供給するガスの条件(流量、露点、圧力)を制御する機能を備えています。


流量制御
MFC(マスフローコントローラ)を使用しており、一般的にはアノード側に水素(H)ガス、カソード側に酸素(O)ガスを供給します。不純物や改質ガスを模擬するために、複数の異なるガス種を追加することも可能です。
通常のMFCでは、フルスケール流量に対して2%~100%の範囲で制御が可能であり、制御誤差は約1%です。たとえば、1 L/minのMFCを使用する場合、20 mL/min~1 L/minの範囲で制御でき、誤差は約10 mL/minとなります。小流量から大流量まで幅広く対応する必要がある場合には、異なる流量レンジのMFCを組み合わせることで対応できます。


露点制御
バブラー方式の加湿器を採用しており、加湿器の水温がそのまま露点温度となります。60℃~80℃の範囲で±1℃の露点精度を実現しており、近年ではより高い発電効率が求められる中、特に燃料電池車用途においては高露点での評価が必要とされています。本システムでは、加湿器の水温を最大120℃まで設定することが可能であり、また低露点制御オプションにより20℃の露点にも対応しています。さらに、加湿ガスと無加湿ガスを混合することで、マイナス露点の制御も可能です。


圧力制御
セルの下流側に圧力弁を設置することで、セルに供給されるガスの圧力を調整します。標準仕様では20~200 kPaGの範囲で制御が可能であり、オプションにより最大350 kPaGまで対応可能です。圧力を高めることで、セル(MEA)に供給されるガスの単位時間あたりの供給量を増加させることができ、発電効率の向上が期待されます。なお、NEDOプロトコルにおいても、圧力条件が試験項目として設定されており、セルおよびシステムが所定の圧力に耐えられることが求められます。

燃料電池評価システム

図1. 燃料電池評価システム AutoPEM

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■3.2 統括管理ソフトウェア TFT

当社の燃料電池評価システムには、標準機能として統括管理ソフトウェア(TFT)が搭載されています(図2)。TFTでは、システムのフロー図や各種流量・温度・計測結果をリアルタイムでグラフ表示ができます。
また、ガス供給条件に加え、電子負荷装置や電気化学測定システムの計測条件についても、TFTが一元的に制御を行い、測定データの一括管理を実現しています。
さらに、TFTでは任意の測定項目を組み合わせてシーケンスを作成することができ、NEDOプロトコルに準拠した試験内容に合わせた測定シーケンスを構築することで、完全自動運転による評価試験ができます。

TFTソフトウェア

図2. 統括管理ソフトウェア TFT

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