技術資料
電気化学測定器におけるノイズ源切り分けのポイント
目次
1. はじめに~ノイズを拾っている箇所の切り分け方法~
電気化学測定器では、一般的に次のような測定系を組んで測定を行います。
図1. 電気化学測定時の測定系イメージ図
このような測定系において、ノイズは電気的な遮蔽の少ない部分から流入してきます。特に「測定対象物」「接続コネクタ」「測定ケーブル」の3点から流入してくるケースが多く、これらのうち、どれが原因であるのかを切り分けることが重要となります。本稿では、そのポイントを記述します。
2. 測定対象物が原因かどうかの切り分け
市販されている金属皮膜抵抗器(出来るだけ測定対象物の抵抗値と近いもの)や付属のテストボックスを使用し調査します。周波数依存が少なく、応答電流が安定している素子を使用することが望ましいです。 測定対象物の代わりに上記サンプルを接続し、ノイズが発生したときと同等程度の電流が流れる測定を行った場合に、同じようにノイズが観測されるかを確認します。変化が無い場合は元の測定対象物は原因ではないと推測できます。
図2. 金属皮膜抵抗器での測定例
3. 接続コネクタが原因かどうかの切り分け
測定対象物の電極部や、電極へ接続するコネクタ部(バナナプラグやワニグチクリップ)がアンテナのような役割となって、外部からの電磁波を受信して、ノイズとなってしまう場合があります。このような場合には、シールドされていない箇所をシールドする必要があります。最も確実な手法としてはシールドボックスやアルミホイルなどの金属遮蔽物で囲ってしまう方法です(図3)。シールドした時に、ノイズが減少するか確認します。シールドする金属は必ず接地した状態で使用します。
図3シールド有無によるノイズの影響イメージ図.
4. 測定ケーブルが原因かどうかの切り分け
独自のケーブル等で不用意に測定ケーブルを延長すると、それらがノイズを拾ってしまっているケースがあります。このような場合には、まず、延長ケーブルを使用せずに測定を行い、その結果を確認します(図4)。
図4. 延長ケーブルが原因かどうかを切り分ける際の手順
5. 上記で変化が見られない場合
●電源ノイズや環境の調査
最初に、ノイズの周波数を調査します。もし、50/60Hzおよびその倍数の周波数であれば、電源に起因したノイズを疑い、アースラインや電源ラインに対して対策を行います。
●測定条件の再チェック
どれだけ対策を行っても、想定した以上のノイズが観測されてしまう場合も考えられます。測定時の設定に問題がある可能性と、測定時の設定に問題がないか改めて確認します。
測定結果からノイズを除去
最終手段として、ノイズが重畳した測定結果からノイズ波形を除去できる場合があります。
ハードウェアやソフトウェアにそのような機能があるか確認します。
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