技術資料

ナイキストプロットとボードプロットについて

1. 交流インピーダンス法

ナイキストプロットおよびボードプロットは、電気化学インピーダンス分光法(Electrochemical Impedance Spectroscopy, EIS)によって得られたデータの表示方法として広く使用されています。 EISとは、試料に交流電圧を加え、その応答として得られる電流を測定することで、電極反応におけるインピーダンス特性を解析する手法です。インピーダンスはオームの法則を利用して以下のように計算できます。


Z(𝜔)= V(𝜔) / I(𝜔)

Z(𝜔):角周波数 𝜔におけるインピーダンス
V(𝜔):交流電圧
I(𝜔):交流電流


インピーダンスは複素数として以下のように表すことができます。


Z(𝜔)=Z’(𝜔)+jZ’’(𝜔)

Z’(𝜔):実部(抵抗成分)
Z’’(𝜔):虚部(リアクタンス成分)


また、極座標形式では以下のように表されます。


Z(𝜔)=|Z(𝜔)|e

|Z(𝜔)|:インピーダンスの大きさ
θ:位相角

2. ナイキストプロット

複素平面上にインピーダンスを表示する方法を、ナイキストプロットといいます。横軸にインピーダンスの実数成分、縦軸に虚数成分を取り、周波数を変化させながら測定したインピーダンスデータをプロットします(図1)。
ナイキストプロットでは、システムの周波数応答を曲線として表現できるため、全体の特性を視覚的かつ直感的に把握しやすいという特長があります。 一方で、複数の時定数が存在し、それぞれの抵抗成分のオーダーが大きく異なる場合には、各要素を明確に識別することが難しくなることがあります。

3. ボードプロット

横軸に周波数 f の対数、縦軸にインピーダンスの振幅と位相差を取って表示する方法を、ボードプロットといいます(図2)。
ボードプロットでは、対数スケールを用いることで周波数依存性を視覚的に把握しやすく、特に高周波域におけるインピーダンスの挙動が明確に表れるという特長があります。 一方で、値の近い複数の抵抗成分が存在する場合には、縦軸が対数スケールであることにより振幅の違いが見分けにくくなることがあります。

参考文献

電気化学会.電気化学測定マニュアル 基礎編.丸善株式会社,2002,p141

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