技術資料

Z-RWでのZ-ASSIST解析結果活用について

I. はじめに

Z-RW-Analysis(以下Z-RW)は新しい等価回路フィッティング手法として注目されているRW(ランダムウォーク)法を採用したインピーダンス解析ソフトウェアです。初期値を自動算出する機能を備えており、RW法によって初期値への依存度を抑えた等価回路フィッティングを実現します。しかしながら、設定モードによっては図1に示すように解析結果にばらつきが生じたり、解析に時間を要したりする場合があります。そのため、どのモードを選択すべきか判断が難しいケースもあります。
本記事では、この課題を解決する手段として、Z-ASSISTを用いて初期値を算出し、その結果をZ-RWに入力する手順をご紹介します。この方法により、複雑で解析が困難なデータに対しても、解析時間を短縮しつつ初期値への依存を抑えた高精度な等価回路フィッティングが可能となります。

図1. Z-RWソフトウェアによるインピーダンスフィッティング画面
初期値算出モード「1-01」(青線)では測定データに対して適切なフィッティング結果が得られているが、「1-02」(オレンジ線)や「1-03」(緑線)では解析結果が測定データとかけ離れておりフィッティング精度にばらつきが見られる。

II. Z-RWへのZ-ASSIST算出の初期値入力方法について

以下の手順1と2に沿って操作することで、Z-ASSISTで算出した初期値をZ-RWに入力できます。

手順1. Z-ASSIST操作画面での初期値コピー手順

手順2. Z-ASSISTでコピーした初期値のZ-RW設定画面への入力手順

上記の手順に従ってZ-ASSISTで算出した初期値をZ-RWに入力することで、図2に示すように高精度なフィッティングが可能になります。

図2. Z-ASSISTで算出した初期値を用いたZ-RWによるフィッティング結果

III. まとめ

複雑で解析が難しいデータに対しても、Z-RWとZ-ASSISTを併用することで、解析結果のばらつきを抑えつつ、初期値への依存を低減した高精度な等価回路フィッティングが可能になります。さらに、解析時間の短縮にも効果があります。 たとえば、初期値自動算出モードで3つのモードを選択して解析を行った場合、処理に約1分~1分30秒を要しましたが、Z-ASSISTで算出した初期値を使用することで、約30~40秒で解析が完了しました。 このように解析時間が短縮されることで、バッテリーのSoC(State of Charge)を変化させながらEIS測定を行う場合や、サイクルごとにEIS測定を行うような大量のデータを扱う場面でも、Z-RWとZ-ASSISTを効果的に活用できます。

IV. 参考

1) 弊社作成 Z-Assist 取扱説明書
2) 弊社作成 Z-RW-Analysis取扱説明書
1)と2)の取扱説明書は、本サイトの製品サポートページからダウンロードいただけます。ご利用には事前にお申し込みが必要です。詳しくは、こちらからご覧ください。
3) 参考URL:Z-RW-Analysis インピーダンス解析ソフトウェア | 東陽テクニカ | “はかる”技術で未来を創る | 脱炭素/エネルギー
4) 参考URL:Z-ASSIST インピーダンス解析支援ソフトウェア  | 東陽テクニカ | “はかる”技術で 未来を創る | 脱炭素/エネルギー

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