技術資料

FORC(フォーク)測定の基礎とそれに適した高速・高感度測定VSM

概要

磁性材料の研究や磁気特性評価では、これまで以上に高速で高感度な測定が求められています。今回のオンラインセミナーでは、FORC(フォーク)測定の基礎から最新のVSM「8600シリーズ」まで、研究者の皆さまに役立つ実践的な情報を紹介しました。
FORC:First Order Reversal Curve

Lake Shore(レイクショア)社とFORC(フォーク)測定の歩み

Lake Shore(レイクショア)社は1967年に創業した、温度センサや温度モニタ・コントローラの世界的なリーディングサプライヤです。最近ではクライオスタット製品の製造も手がけ、幅広い計測ソリューションを提供しています。
FORC(フォーク)測定への取り組みは、ノイズが小さく、弱い磁化の安定測定に優れている装置を提供していたPMC社から技術および事業を引き継いだことがきっかけです。
PMC社の製品は、岩石などに残留磁化として記録されている過去の地球磁場を分析、研究する古地磁気学の研究者に広く使用されていました。

FORC(フォーク)測定とは

フォーク測定(FORC)は、磁化反転の挙動から粒子の特性や磁区構造を解析する手法で、ナノ材料、永久磁石、記録材料、古地磁気学などに活用されています。

古地磁気学でのフォークダイアグラムの利用

  1. SD(単磁区)粒子:等高線が閉じていて安定した残留磁化を示す
  2. MD(多磁区)粒子:等高線が開き、より複雑な磁区構造を示す
  3. PSD(疑似単磁区)粒子:両者の特徴を合わせ持つ

古地磁気解析では岩石に残る過去の地球磁場を読み解く際に活躍しています。

FORC(フォーク)測定に適した装置とは

FORC(フォーク)測定では、100ループ前後の繰り返し測定が必要です。そのため、高速で磁場を掃引できる電磁石と、ノイズの少ない磁気測定装置が理想的です。 主に使用される装置は以下の通りです。

  1. 振動試料型磁力計(VSM)
  2. 磁場勾配型磁力計(AGM)
  3. BHトレーサ
  4. 微分処理を行うFORC(フォーク)ダイアグラムではノイズが増幅されやすいため、装置の性能差が結果に大きく影響します。

測定パラメーターの大事な3ポイント

セミナーでは、FORC(フォーク)測定の精度を左右するパラメーターとして以下の3つをご紹介しました。

  1. 飽和磁場の設定
    Hsat:まずヒステリシス測定を行い、確実に飽和させるため少し余裕を持った磁場値を設定します。
  2. 測定範囲Hc、Huの設定
    Hc:保持力の2~3倍を目安に設定し、ピークが切れないよう注意します。
    Hu:ヒステリシスカーブから予測することはできません。そのため、実験により決定する必要があります。例えば、±300Oe、±500Oe等で測定してみて、結果を判断するなどを行います。
  3. ループ数の設定
    Ha:分解能アップにはループ数を増やしますが、その分測定時間も長くなります。一般的には100ループ前後がバランスの良い設定です。

ダイアグラム変換とスムージング

FORC(フォーク)測定の生データは、そのままでは解析が難しいため、専用ソフトでフォークダイアグラムに変換します。Cambridge大学のRichard Harrison博士が開発した「FORCinel」 ソフトが用いられています。またその場合、IGOR Proが必要です。
スムージング(平滑化)はノイズを抑えるために重要ですが、かけ過ぎると特徴が消えてしまいます。「FORCinel」では、最適なSFを自動で計算してくれる機能があります。 ただし、いつもこの値が適切であるとは限りません。そのため、最終的には形状をみて判断することをお勧めいたします。

測定事例の紹介

セミナーでは、以下の3つの実測データを紹介し、FORC(フォーク)測定の応用範囲が非常に広いことを示しました。

  1. ① ニッケルナノワイヤー 470 μemu というとても弱い磁化のナノワイヤーを用いたFORC測定例を紹介しました。ワイヤー特有の横方向ピークがしっかりと観測されます。
  2. ② NdFeB 磁石の温度変化 100~400℃で温度変化させた場合のFORC(フォーク)測定を行いました。フォークダイアグラムの形状は大きく変わらないものの、温度上昇により保持力が低下(左にシフト)していく様子が確認できました。
  3. ③ 岩石(ギリシャ・ロドス島) 単磁区的な特徴を持つ岩石と、多磁区成分が増えた岩石を比較し、地質的な違いをフォークダイアグラムで視覚的に捉えたことを紹介しました。

Lake Shore社製品ラインアップ

  1. F71型3軸テスラメータ

    0点調整不要、高精度(0.05%)、50 kHz帯域に対応。 温度変化しても安定しており、長期測定が可能です。

  2. 磁気フィールド イメージングシステム「CMOS-MagView」
  3. 高分解能 カー効果(Kerr効果) 顕微鏡

    Kerr効果顕微鏡(最高空間分解能300nm)無方向性電磁鋼板の観察も可能な、高分解能システムです。

  4. 磁気モーメント測定システム「M-Axis」

    磁気モーメントとは、磁石の強さ(磁力の強さ)とその向きを表すベクトル量です。短時間で極性や傾きなどが測定でき、出荷検査にも向いています。

  5. 小型電磁石・三軸電磁石

    10 kgで1.5 Tを発生させるモデルや、上部空間が空いているため光やプローバと組み合わせて実験できるプロジェクション電磁石があります。

  6. 高速・高感度 VSM 振動試料型磁力計 8600シリーズ

    今回のセミナーでご紹介したLake Shore社VSM8600シリーズです。
    【主な特徴】

    • 最大 3.26 T
    • 高感度 25 memu(従来比6倍)
    • 10 kOe/s の高速スイープ(従来比50倍)
    • 温度オプション交換が5分以内

    実際のデモ動画では、46ループのフォーク測定を4分32秒で完了しており、従来の7400シリーズで3時間以上かかっていた測定が劇的に短縮されていることを紹介しました。研究効率を大きく改善する、まさに次世代のVSMと言えるモデルです。

    Lake Shore社製 8600

    デモ動画約6分40秒(画像クリックで再生)

詳しい製品情報・デモ測定・技術相談については、以下までお問い合わせください。

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