脱炭素社会の実現に向けた標準規格「API 670」適合製品のご紹介

製品情報

 

昨今、国内のみならず世界で大きな課題となっている環境問題への取り組みから、エネルギー業界では、石油や石炭、天然ガス(LNG)といった化石燃料から再生可能エネルギーへとシフトする動きが出てきており、今まさに転換期にあるといっても過言ではありません。国内のエネルギー業界においては、火力発電が電源構成の中で大きな割合を占めており、この転換期において火力発電を上手に活用しながらシフトしていく必要があります。

 

アメリカでは、石油・ガス関連企業で構成される団体American Petroleum Institute(以下、API)が、「Climate Action Framework」としてアメリカの石油・ガス業界で取り組むべきアクションを設定し、世界のエネルギー需要に応えながら、同時に低炭素社会に挑戦していく姿勢を示しています。この中では、二酸化炭素回収や水素利用、さらにはメタンガスに関する新技術への貢献などが言及されています。

「API 670」について

APIには各種の課題に取り組む分科会でさまざまな議論がされています。その分科会の一つに、当社が取り扱う米国PCB Piezotronics社(以下、PCB社)が参加しています。石油・ガス関連のアプリケーションにおいて、エンドユーザーとベンダーのグループで構成され、設備の監視・保護におけるハードウェアの標準要件について議論されており、その標準規格は「API 670」として発行されています。

加速度センサに関する規定

「API 670」の第4章および第5章は、製油所で使用される加速度センサのいくつかの要求仕様を規定しています。これらの仕様は次のとおりです。

一般的な加速度計の仕様に加えて、規格の第5章では、ギアボックス、ポンプ、ファン、およびモータなど、ベアリングを備えた機械のケーシング振動の監視に関する追加のガイドラインを提供しています。

PCB社製センサの中で工業用途に分類されるIMIセンサは、上記の標準規格のすべての要件を満たす数少ない加速度センサの一つで、3つのモデル(622/623/628シリーズ)があります。
622/623シリーズのセンシング材料はセラミックで、人工的に分極処理をして圧電効果を発揮できるようになります。628シリーズのセンシング材料はクオーツで、自然状態で圧電効果を発揮します。622/623シリーズはノイズレベルが比較的小さい反面、長期安定性はクオーツの628シリーズには劣るため、定期的な校正(少なくとも年に1回)が推奨されます。一方、628シリーズは長期安定性に優れており、各センサの操作ガイドラインで示される範囲内での使用においては、校正値が5年程度安定するとされています。

IMIセンサ

フィールド試験に関する規定

同規格では、ベンダーによるベンチテスト要件に加え、設備建設会社による、試験温度範囲内(上記仕様表に規定)での機械保護システムの各構成部品のフィールド試験実施とその結果を文書化することも規定されています。規格の中では、ケーシング振動システムの場合、使用される加速度センサと校正されたリファレンスとなる加速度センサを同時に加振する加振器を使うことが示されています。
この際に使用される加振の振幅レベルと周波数は、以下のように規定されています。

「*」は必須の試験ポイントを表しています

フィールド試験では現場で使用可能な加振器(振動校正器)が必要で、当社取り扱いのThe Modal Shop社製ポータブル振動校正器(型番:9110D)は、フィールド試験に最適です。

コンパクトな上、バッテリーで駆動し、機械保護システムの測定チャネル全体の妥当性を確認するだけでなく、個々のセンサの校正にも使用できます。一体型精密クオーツ基準加速度センサと閉ループ振幅制御により、5Hz~10kHzの周波数範囲にわたり安定して優れた振動校正が実施可能です。頑丈なPelican®Stormケースに収納されているため、すぐに現場へ持ち出すことができ、試験所の精度を現場で構築することができます。IMIセンサの校正が可能なほか、オプションの近接センサ・キットを使うことで、他社製の近接センサも校正することができます。

本製品は、規格に記載されている近接センサの静的校正に加え、4140鋼製ターゲットに対する動的校正も可能なため、技術者はタービン運転速度での実際のシャフト振動をシミュレートすることができ、機械保護システムにおける警告、および、警報のしきい値の確認が可能です。

9110D 軸振動センサ校正器

ポータブル校正器

このように、東陽テクニカでは規格に適合した製品を扱っており、お客様の環境に応じてさまざまなご提案が可能です。
脱炭素社会の実現に向けて大きな転換期を迎えているエネルギー業界を、状態監視・予知保全という観点で今後も支えてまいります。

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