今日も社会のどこかで東陽テクニカ TOYO in SOCIETY

東日本大震災 被災地における取り組み

写真左:2011年4月15日 岩手県山田町の海上の様子

写真右:マルチビームソナーでの調査準備をする当社社員

そのとき、私たちにできること

東日本大震災 被災地における取り組み

(掲載日:2019年03月07日)

東日本大震災により亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、
被災された皆さまとそのご家族の方々に心よりお見舞い申し上げます。

震災後に入った1本の電話

2011年3月11日14時46分、東北地方を中心に東日本の広い範囲をマグニチュード9.0、最大震度7という大地震が襲いました。この地震に伴い、津波は最大で40mに達し、ありとあらゆるものが海に流出しました。それらは大量のがれきとなり、船舶の航行や漁業再開の妨げとなっただけでなく、多数の行方不明者の捜索をより困難なものとしてしまいました。
そんな過酷な状況の中、支援の一つとしてこの取り組みを行うきっかけとなったのは、4月初めに入ったあるNPOからの1本の電話でした。
「行方不明者の捜索を行っているが、海の濁りが激しいため見つけるのが困難なばかりでなく、水中に漂うがれきで救助隊自身が危険にさらされている。濁った水の中でも見ることができるという音響カメラを借りることはできないか?」というものでした。
未曾有の大災害の中、当社に何ができるかを考えた結果たどりついた結論は、「所有している機材が役に立つのであれば、被災地に機材と共にエンジニアを派遣する」ことでした。
東陽テクニカは「ソナー」と呼ばれる各種水中探査装置を取り扱っており、中でも「音響カメラ」や「マルチビームソナー」はがれき調査や行方不明者捜索に役立つのではないかという予感を持っていました。

エンジニアの派遣

最初の派遣地は岩手県の山田町でした。2011年4月11日、音響カメラや発電機などの機材のほか、水、食料、ガソリン、寝袋などをワゴン車に積んで、2名のエンジニアが東京の本社を出発しました。

山田湾に到着してみると、津波で流された船が船底を水面に出してあちこちに浮いています。行方不明者の捜索は養殖カキ棚や陸上からのがれきが浮いている下で行われていましたが、陸から流された土砂やがれきで水が濁っており、思うようにダイバーが潜れない状況でした。そこで音響カメラを使いどこにどの程度のがれきがあるのかを調べて、ダイバーの安全な捜索活動をサポートしました。

また海だけでなく、付近の沼にも津波が押し寄せ多くのがれきが沈んでいました。沼は水の濁りが激しく水中が全く見えないため、手付かずの状態でした。ここでも音響カメラが役に立ちました。小型船に音響カメラを装着して水中を撮影し、がれきのある場所(特異点)をGPSで地図上に書き出していきました。そのデータをもとに捜索が行われました。

がれきの浮く海の中を音響カメラで調査するがれきの浮く海の中を音響カメラで調査する

音響カメラが捉えたがれき映像音響カメラが捉えたがれき映像

海底のがれき調査

山田湾はカキやホタテの養殖で有名ですが、津波により漁船のほとんどが沖に流され、壊れた養殖いかだなどががれきとして海底に多く沈んでおり、養殖業を続けることができなくなっていました。2011年6月、広範囲にわたりマルチビームソナーを使った海底調査が行われ、海底がれきマップが作成されました。マップはがれきの撤去をする際に有用であり、行方不明者の捜索、漁場の回復などにつながりました。
この調査は、水産関係施設等被害状況調査事業(水産庁)の一部として独立行政法人水産総合研究センター水産工学研究所(現:国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産工学研究所)により実施され、東京大学 生産技術研究所の浅田 昭教授のご協力のもと、データ解析が行われました。この調査には当社エンジニアも参加しました。

海底がれきマップ:カキ養殖いかだの係留アンカーが引き波によって流された際に海底をひっかいたと思われる痕跡が見える海底がれきマップ:カキ養殖いかだの係留アンカーが引き波によって流された際に海底をひっかいたと思われる痕跡が見える

支援を行った被災地

以後2011年9月までの半年間で、延べ約20回、日数約2ヶ月間被災地へ赴きました。
支援を行った被災地を地図に示します。

支援を行った被災地支援を行った被災地

2012年からは、青森県から千葉県にかけて被災した300以上の港で復興のための作業が始まりましたが、いまだに数多くの行方不明者もいらっしゃり、被災地が元通りになったわけではありません。
地震国である日本では、いつどこで大きな地震が起こっても不思議はありません。また地震だけでなく、台風や大雨などによる災害にも備える必要があります。東陽テクニカは、当社ならではの方法―“はかる”技術―で防災や災害復興の役に立ちたいと考えています。

東日本大震災の規模

マグニチュード:9.0
震源:宮城県牡鹿半島の東南東沖130kmの海底
津波の最大遡上高:40.5m
被害地域:東北地方と関東地方の太平洋沿岸部
被災した港の数:300港以上

LINE facebook
Page Top
本ウェブサイトではサイト利用の利便性向上のために「クッキー」と呼ばれる技術を使用しています。サイトの閲覧を続行されるには、クッキーの使用に同意いただきますようお願いいたします。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。