がん診断のより一層の精度向上と効率化のために
画像診断を通じて医療の現場を支える
(掲載日:2019年3月22日)
死亡者数の多い肺がんとその診断の難しさ
1981年以降、日本人の死因の第一位は「がん(悪性新生物)」が続いています※1。そして身体の部位別のがんの死亡者数で最も多いのが「肺がん」です※2。肺がんは一般的な検査方法であるX線画像診断での早期発見が難しく、また検査数に対して画像診断を行う読影医師が諸外国と比較して不足しているという問題があります。
がんの部位別死亡数(2017年)
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」
胸部X線検査は比較的費用が安く、撮影時間も短くて被ばく量も少ないため、肺がんの一般的な検査方法として広く普及しています。しかし肺がんの病変はX線画像の中に白くかすかにしか映し出されないため、これを見逃さず正確な診断を行うには経験と高い集中力が必要です。医師一人が一日に数百件もの画像診断を行うこともあり、一件の読影にかけられる時間はどうしても短くなってしまいます。医師不足による読影件数の負担に加え、集中力の持続、体調の変化などが影響をおよぼすことも懸念され、経験を積んだ医師であっても常に正確な診断を続けることは難しいのです。
さらにX線画像上に白く映る肋骨や鎖骨などの骨組織と重なると、同じく白く映る肺がんは発見しにくい場合もあります。肺がんの画像診断は少数の読影医師が膨大な数を、限られた時間の中で正確に行わなければならず、大きな負担になっています。東陽テクニカは最新の画像処理技術の提供を通じて、X線画像による肺がん検査のより一層の精度向上と効率化という課題に取り組み、医療現場の負担を減らすサポートをしています。
※1:出典:「人口動態調査(2017年)」(厚生労働省)
※2:2017年統計。出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」
読影効率を高めるソリューション
東陽テクニカが提供する「胸部X線骨組織透過ソリューション」は、X線画像上で肺と重なる骨組織を画像処理によって自動的に透過し、肺組織を見やすくします。これにより病変を見づらくする骨組織の影響を減らし、読影にかかる医師の負担を軽減します。また、健康診断や人間ドックで異なる年、異なる日に撮影された複数の胸部X線画像をもとに、変化した部分を強調した画像(経時差分画像)を生成するソリューションも提供しています。医師の経験や感度に依存している画像診断にコンピュータによる客観的な情報を加えることで診断をサポートし、読影の効率を高めます。
また近年増加しているCTによる検査でも、CT画像中の血管を透過して病変を見やすくする最新技術の提供を始めています。
「胸部X線骨組織透過ソリューション」
経時差分画像
画像診断を通じた医療への貢献
乳がん検査でもX線画像による診断が行われています。乳房X線検査装置はマンモグラフィと呼ばれ、画像診断では肺がん検査同様、熟練した読影技術が求められます。東陽テクニカが提供する乳がん画像診断のためのソリューション「マンモグラフィ画像ビューア」は、読影を助けるさまざまな画像表示機能により正確な画像情報と読影環境を提供し、読影のより一層の精度向上と効率化に貢献します。
「マンモグラフィ画像ビューア」
東陽テクニカはピンクリボン運動に賛同し、乳がんの早期発見に貢献するため、医師や読影技師に向けた画像診断に関する講習会のサポート活動を10年以上にわたり続けています。
これからも最新の画像診断ソリューションの提供を通じて、日本の医療へ貢献してまいります。