Scribner Associates(スクリブナーアソシエイツ / USA)
580型 充放電測定システム(8ch)
580は、3極式セルの制御に対応した1A出力の充放電装置です。最小レンジは10μAを装備し、CV制御時も自動電流レンジ切替により安定した電流測定ができます。抵抗測定(周波数範囲 1Hz~1kHz、2点)もオプションで追加することができます。
株式会社東陽テクニカ 理化学計測部
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特長
電池開発における最新の試験条件を網羅した充放電装置の進化系
580型 高性能充放電装置の5つの特長
5端子測定
通常の充放電装置では制御/計測の電圧計1つのみですが、本充放電装置は電圧計を2つ装備しています。
ビーカーセルの場合、参照極-作用極間に加えて、参照極-対極間の電圧を同時に測定することができます。参照極付のラミネートセルのようなフルセルの場合にも、正極-参照極、負極-参照極のそれぞれの分極測定ができます。
6桁電流レンジ
1A~10µAの6桁電流レンジを持ち、かつ、Autoレンジ機能を有しています。
薄膜電池や全固体型電池、革新電池では電池容量が小さいため、µAオーダーの微小電流で電流を制御する必要がありますが、580型充放電装置は、アナログフィードバックによる高安定制御により、10µAレンジでも0.1%以内という高確度で充放電試験が可能です。
交流インピーダンス測定機能(オプション)
1kHz~1Hzのうち任意2点でのインピーダンス測定が可能です。
電池の充放電サイクル試験中に内部抵抗、反応抵抗の推移を計測することができます。
ユーザーフレンドリな制御ソフトウェア
制御ソフトウェアは、BCycleをご用意しております。
洗練されたGUIで製作されており、Cレートでの充放電設定、容量でのカットオフなど電池試験に必要な設定項目を網羅しています。
恒温槽との連動
指定の恒温槽であれば充放電試験シーケンス中に恒温槽の温度制御プログラムを組み込むことができます。
恒温槽は最大8台まで並列接続できます。
テクノロジー
①5端子測定
580型充放電装置はメインの電圧計(V+-V-)に加えて、補助電圧計(Aux-V-)が組み込まれています。(上図参照)
これにより、ビーカーセル試験では、下図のようにサンプルに測定端子を接続することで、参照極(V-) - 作用極 (V+)間での電圧制御を行いながら、参照極(V-)-対極間(Aux)の電圧モニタが可能です。特にNa電池やMg電池に代表されるような革新電池の場合、対極の電圧が安定しないため、作用極だけでなく対極のモニタリングも重要です。
また、参照極を導入したコインセルやラミネート型セル用のようなフルセルの場合でも、通常の充放電を行いながら、参照極(Aux)に対する正極(V+)と負極(V-)のそれぞれの分極測定が可能です。
②6桁電流レンジ(10µA~1A)
580型充放電装置は、10µA~1Aの6桁電流レンジを持ち、かつAutoレンジ機能にも対応していますので、基礎研究段階のあらゆる電流レベルにも対応できます。薄膜電池や全固体型電池、革新電池などでは開発段階ゆえ、電池容量が小さくサブµAオーダーでの微小電流制御が必要となる場合もあります。580型充放電システムは最小10µAレンジを有し0.1%の確度で電流制御可能ですので、1µAの設定でも高確度で充放電試験が行えます。
また、Autoレンジ機能を有しており、CC-CVモードでの充放電時におけるCV制御時の電流測定もAutoレンジ切替にて高確度で行うことができます。例えば、5mAhの電池において5mA(1C)でCC充電を行い、CVモード時のカットオフ電流値を50µA (0.01C)と設定した場合、580充放電装置では最良の電流レンジを選択し 10mA→1mA→100µAと切り替わりますが、固定レンジ(Autoレンジを有さない機器)の場合、10mAレンジ固定となり、CVモード時のカットオフ電流測定精度が悪くなります。この結果、充放電における積算容量誤差も大きくなります。
③交流インピーダンス測定機能(1kHz~1Hz, 2点)
580型充放電装置は、1kHz~1Hzのうち任意2点をソフトウェアで設定しインピーダンス測定を行います。一般に、二次電池を等価回路に置き換えた場合、下記のように表すことが可能です。
交流信号を印加し、その周波数をスイープすると左下図のようなスペクトルが測定されます。この結果から、各成分の抵抗値を見積もることができ、この抵抗値は電池の劣化を表す指標となります。
580型充放電装置ではこの周波数のうち任意の2点を選択してインピーダンスを測定することができます。任意のサイクル毎にインピーダンス測定を行えますので、充放電サイクル中での電解質抵抗や電極ー電解質界面抵抗の推移を評価することができます。
④ユーザーフレンドリな制御ソフトウェア
ソフトウェア BCycleBCycle制御ソフトウェアは充放電装置特有の設定の煩わしさや機能不足を解消したユーザーインターフェースで製作されております。主な特長として市販の充放電装置では希少である各チャンネル独立にリアルタイムグラフの表示が行えるため、サイクル試験の途中でも前のサイクルの波形の確認を行うことができ、状態の把握が容易に行えます。その他、Cレートでの充電設定、容量でのカットオフなど電池試験に必要な設定項目も網羅しています。
特長
- 日本語及び英語対応
- 選択した測定項目のみの実行が可能
- 各チャンネル リアルタイム表示
- 独立動作の優れたマルチタスク機能
- Windows8/10対応
⑤恒温槽との連動
580型充放電装置は、指定の恒温槽であれば充放電試験シーケンス中に恒温槽の温度制御を組み込むことが可能です。これにより、電池容量の温度依存性などを自動で測定できます。GIPB通信を使用の場合、恒温槽は最大8台まで並列接続可能です。
仕様
チャンネル数 | 8ch(最大24ch) |
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電流/電圧範囲 | -2V ~ +10V |
出力/制御電流 | ±1A |
電流レンジ | 1A ~ 10μA |
制御確度 | 電流:レンジの0.1%以内 電圧:レンジの0.1%以内 |
測定確度 | 電流:レンジの0.1%以内 電圧:レンジの0.05%以内 |
制御モード | 定電流(CC), 定電圧 (CV), 定電流-定電圧(CC-CV), 定電力(CP), 抵抗測定(HFR), Run External |
セル接続 | 5端子(I+, I-, V+, V-, AUX) |
最小サンプリング間隔 | 10msec |
インピーダンス測定 | 1Hz ~ 1kHz (任意の2点, HFRオプション) |
インターフェース | USB2.0 |
外形寸法(WxD x H) | W:430mm × D:540mm × H:150mm |
重量 | 9.0kg |