技術資料

磁石・磁性材料評価の最前線 ― 磁気モーメント測定から磁区観察までをカバー ―

概要

モータ、センサ、アクチュエータなどでは、磁石や磁性材料の品質評価が求められます。特に、 磁気モーメントのばらつき、着磁方向のズレ、表面磁化分布の異常といった課題は、製品性能に直結します。
本記事では、30分オンラインセミナーの内容を基に、量産ラインでの全数検査から研究開発用途まで対応可能な、ドイツ発の磁気計測ソリューションを3カテゴリに分けてご紹介します。

成形磁石の全数検査を実現する
磁気モーメント測定装置(M-axisシリーズ)

従来、磁石の検査にはホールセンサやコイルによる局所測定が用いられてきました。しかしこれらは一点測定であり、磁石全体の特性を短時間で把握するには限界があります。また、スキャン方式は精度が高い一方で時間を要するため、抜き取り検査向けにとどまるケースが多く見られます。
磁気モーメント測定装置(M-axisシリーズ)は、成形磁石をステージ中央に置くだけで、磁石を単一ダイポールと仮定したベクトル解析を行い、モーメントの大きさおよびモーメントの方向を瞬時に算出・表示します。
装置内部に配置された複数の3軸磁気センサのデータを合成することで、リアルタイム測定を実現しています。校正されたリファレンスマグネットとの比較では、誤差1%以内の測定精度が確認されています。
さらに、合否判定ランプ表示も搭載可能で、量産ラインへの組み込みにも適しています。
※多極磁石やラジアル配向磁石など、単一ダイポール仮定が成立しない形状は測定対象外となります。

磁場を“見える化”する
「磁気光学式 表面磁化可視化装置(CMOS-MagView)」

磁石表面の着磁状態を直感的に確認したい場合には、磁気光学式の可視化装置が有効です。 本装置はファラデー効果を利用し、磁場によって偏光回転した光の変化を画像コントラストとして取得します。磁石をセンサ上に置いて撮影するだけで、表面磁化分布を瞬時に画像化できます。 特長は以下の通りです。

  • 測定レンジは3種類(2mT, 65mT, 125mT)
  • センササイズは最大45×60mm
  • 簡易的な磁束密度換算が可能(オプション)
永久磁石の着磁確認、多極着磁検査、磁気エンコーダ評価、磁気タグ・磁気インクの検証、電磁鋼板の観察など、幅広い用途に活用が見込めます。
研究用途だけでなく、検査においても「高速・直感的」に評価できます。

磁区を高分解能で観察する
「磁気光学Kerr効果顕微鏡」

さらに詳細な解析が必要な場合には、磁気光学Kerr効果(MOKE)顕微鏡が活躍します。 Kerr効果は、磁性体表面で反射した光の偏光を測定します。本装置は最高約300nmの空間分解能を実現し、磁区構造を鮮明に観察可能です。 特長として、

  • 極・縦・横の3Kerr像の観察モードを光学系変更なしで切り替え可能
  • 外部磁場印加下でのリアルタイム観察、面内/面直の磁石ユニット交換も手軽
  • ピエゾステージによる揺れ補正
  • LED照射切替と差分処理などの技術を駆使しての高コントラスト化
  • 液体ヘリウム温度付近から600℃までの温度域に対応するステージを提案可能
などが挙げられます。
ネオジム磁石などの強磁性材料、電磁鋼板などの軟磁性材料、さらにはスピントロニクス分野のスピンバブルやレーストラックメモリ研究などにも、アカデミアから先端材料開発まで幅広くご利用いただけます。

まとめ(目的に応じた最適な選択)

目的 推奨装置
磁石の全数検査・方向判定 磁気モーメント測定装置
着磁状態の可視化 磁気光学可視化装置
磁区解析・基礎研究 Kerr効果顕微鏡

磁気評価は「測る」「見る」「解析する」の3段階で考えることで、より精度の高い品質管理と開発効率向上につながります。
量産現場の品質安定化から最先端研究まで、目的に応じた適切な評価手法の選定が、競争力強化の鍵となります。

本記事でご紹介した製品ラインアップ

関連する記事

評価ソリューション

物性評価ソリューション

カタログをご用意しております

ダウンロード

物性評価ソリューションに関するカタログ

カタログのダウンロード

物性評価ソリューションに関するカタログでは
測定環境の構築に最適なソリューションをご紹介しております。
ぜひ、お役立てください。

ダウンロード

ダウンロードには会員登録(無料)が必要です。

お問い合わせ

株式会社東陽テクニカ 
脱炭素・エネルギー計測部

お問い合わせフォーム