電気化学ソリューションマガジン Vol.07

様々な電気化学測定法(CV 以外の基本測定)のご紹介

平素は弊社製品をご愛顧いただき誠にありがとうございます。
理化学計測部 電気化学チーム マーケティング担当です。

さて今回は、今までご紹介してきた CV(サイクリックボルタンメトリー)以外のテクニックについて一部ですがご紹介します。
一風変わった充放電システムのご紹介などもありますので、ぜひ最後までお付き合いください!

description  目次

  1. 様々な電気化学測定法(CV 以外の基本測定)
  2. 新製品のご紹介(NOVONIX 社 精密充放電システム 10A モデル)
  3. 過去のオンラインセミナー動画入手方法のご案内

1.様々な電気化学測定法(CV 以外の基本測定)

前号までは CV(サイクリックボルタンメトリー)の概要をお伝えしてきました。
一方、電気化学測定テクニックには、CV 以外にもその印加する電圧や電流の波形の違いなどにより、他にも多くのテクニックがあります。
今回はそれらのうち、ベーシックなものをピックアップして簡単にご紹介します。

≪クロノポテンショメトリー:CP≫

  • 定電流を流した際の電位変化を計測
    • 一定の電流を印加するため,測定中のオーム降下(電圧降下)も一定となる
    • 電極反応の可逆性によらず、以下の Sand 式から拡散係数や化学種の濃度が算出できる。
      • i*τ^(1/2)=n*F*C*D^(1/2)*π^(1/2)/2
      • τ:遷移時間(電極表面の酸化還元物質の濃度が 0 になるまでに要する時間)、
      • n:反応電子数、F:ファラデー定数、C:濃度、D:拡散係数
      ※ただし、溶存化学種の単純な電極反応で得られる CP 曲線の場合に限る。
    • リチウムイオン電池などの充放電曲線も、基本は定電流制御によるものなので類似の波形がみられるが、以下のような理由で大きく異なる点があるので、理論通りの波形にはならない。
      • 生じるレドックス反応は、層状の化合物間への Li+のインターカレーションによる
      • 活物質などを含む電極内での Li+拡散係数は一定でなく、構成する粒子の径や表面様態に依存する
      • 各電極内での Li 挿入の分布状態は均一でない

≪クロノアンペロメトリー:CA≫

  • 定電位、もしくは電位ステップを行ったときの時間に対する電流応答を計測
    • 予め CV 測定などで反応系の概要(酸化還元電位、反応の可逆性、化学反応の有無)を 調べておくと、その電位を用いて CA 測定を行うことで、拡散係数や速度定数等のパラメーターを、以下の Cottrell 式から算出できる。
      • I=-n*F*D*C/(π*D*t)^(1/2)
      • n:反応電子数、F:ファラデー定数、C:濃度、D:拡散係数、t:時間
    • 全ての系が Cottrell 式に従うわけではない。
      Cottrell 式を適用できるかどうかは電流 I と時間 t^(-1/2)をプロットしてみれば良い。
      従わない場合つまりプロットが原点を通らず、直線からずれてくる時には以下のようなことが考えられる。
      • 充電電流の減衰が遅い(電極面積が大きい、電気二重層容量が大きい、溶液抵抗が高いなど)
      • 電解時間が長すぎるデータを使用(対流や非線形拡散、触媒反応が関与しているなど)
      • 有限拡散の系である(平板電極を用いた場合や電極表面に修飾された物質が酸化還元するなど)
      • 吸着や析出を伴う反応系の場合(金属の電析など)
    • ステップさせる電位や、解析対象とする時間範囲を誤ると,正しい結果を得ることができない。
      ファラデー電流が電位に依存しなくなる条件、つまりステップ先電位を変化させ、クロノアンペロメトリーの波形が変化しないステップ電位を調べたうえで測定を行う。そうすればオーム効果も抑えることができる。

≪クロノクーロメトリー:CA≫

  • 定電流もしくは定電位電解を行ったときの時間に対する電荷量の変化を計測
    • 多くの金属、特に貴金属、アクチノイド等の定量に用いられている。
    • 標準試料の用意や検量線の作成を必要としない絶対定量法。
      以下のファラデーの法則に基づいている。
      • Qt=n*F*Co*V
      • Qt:電気量(全電解のための理論値)、n:反応電子数、F:ファラデー定数、Co:初期濃度、
      • V:測定溶液の体積
      この時の電解効率ε=Q/Qt で表される。Q は測定された電気量である。
      • 定電位クーロメトリーでは、誤差の要因として除去しきれなかった溶存酸素がバックグラウンド電流として乗ってしまうことや、温度変化などが誤差の要因になる。
        これには電解電位より 300mV ほど正(還元反応の場合)、もしくは負(酸化反応の場合)の電位を前電解した後に電位をステップさせ電解する方法などがある。

≪パルスボルタンメトリー≫

  • 少しずつ波形を変えたパルス電位を印加して、一定時間ごとの電流値を計測
  • 印加する電位波形の違いにより、ノーマルパルス(NPV)・微分パルス(DPV)・矩形波ボルタンメトリー(SWV)などの種類がある
    • >電気二重層への充電電流の寄与が抑えられるため、CVなどの電位掃引を行う手法に比べて対象物質への測定感度を挙げることができる。そのため化学種の微量分析に用いられることが多い。
    • パルスボルタンメトリーは、CV と異なり、 電位掃引が順方向でも逆方向でも得られる波形はほぼ変わらない。
    • なかでも SWV は、NPV や DPV に比べ測定時間の短さ、感度の高さ(充電電流の寄与を抑える度合い)により近年良く用いられている。
      NPV や DPV ではパルス印加後、もとの電極表面の状態に戻すため、待ち時間を設ける必要がある分測定時間が長くなる。

2.新製品のご紹介(NOVONIX 社 精密充放電評価システム 10A モデル)

お客様のご要望にお応えして、カナダ NOVONIX 社から精密充放電評価システム 10A モデルが発売となります。 今までの大電流モデル(20A モデル)において、スペックやコストの面で悩まれていたお客様にも待望の新モデルです。

≪精密充放電評価システム全体の主な特徴≫

  • カナダ・ダルハウジー大学 Jeff Dahn 教授が提案した、高精度クーロン効率測定[HPC:High Precision Coulometry ]
    (長期サイクル試験不要で電池の寿命評価が可能。副反応の評価にも応用可能)
  • 安定度 20ppm、測定確度 50ppm で 5 桁オーダーのクーロン効率測定を実現
  • 付属の恒温槽により±0.15℃以下の安定性を保持
  • 低ノイズ測定により高感度な dQ/dV 曲線を取得可能

≪新製品 10A システムの特徴≫

  • チャンネルあたりのコストが抑えられる(20A モデル比)
  • ワイドレンジの電流測定が可能(10mA~10A レンジ、オプション 1mA,100μA レンジ)

▼ 精密充放電評価システムの詳細はこちらから
  https://www.toyo.co.jp/material/products/detail/uhpc.html

NOVONIX 社では Dahn 研の設計に基づく低温の DTA(示差熱分析)システムを製品化しました。 この電解液 DTA システムによりバッテリー電解液の特性変化を非破壊で解析することが可能です。

▼ 電解液 DTA システムの詳細はこちらから
  https://www.toyo.co.jp/material/products/detail/dta-1.html

3.過去のオンラインセミナー動画入手方法のご案内

【ご利用方法】

  1. オンラインストアに会員登録
    https://www.material-store.toyo.co.jp/regist.php
  2. カテゴリ内の「オンラインセミナー動画」をクリック
  3. ご希望のセミナーをカートに入れる
  4. 注文確定
    ※ オンラインストアに記載されている通り単価¥0 ですので、費用は一切発生いたしません
    ※ 商品の性質上、納品書や請求書の伝票は発行されません
  5. ご注文をいただきしだい、動画URLをお送りいたします
    ※ お送りしたURLを社外へ転送することはご遠慮ください

2020年9月9日に開催し大好評をいただきました「Bio-Logic 社製電気化学測定システムの使い方~基礎~」オンラインセミナーの動画の公開を開始いたしました!
残念ながらセミナーを受講いただけなかったお客様や復習としてもう一度見たい、というお客様のお役に立てますと幸いです!

▼ 過去開催したオンラインセミナーの動画はこちらから
  https://www.material-store.toyo.co.jp/list.php?c_id=60

【掲載オンラインセミナー】

  • Bio-Logic 社製電気化学測定システムの使い方~基礎~
  • 二次電池評価におけるEC-Labソフトウェアの機能紹介と電気化学測定上の注意点
  • 電気化学におけるインピーダンス解析ソフトウェアのご紹介

4.あとがき

今号も最後までお読みいただきありがとうございます。
本メールマガジンが少しでもみなさまのお仕事、ご研究のお役に立つことが出来れば幸いです。

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