物性評価ソリューションマガジン Vol.02

M91 型 Hall 効果測定コントローラ、
CMOS-MagView 磁気フィールド可視化システムのご紹介

平素より弊社製品をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。

さて、今月号では新製品とまだ皆さまには馴染みが薄いと思われる、理化学計測部取扱い製品のご紹介をさせていただきます。

1. 新製品:LakeShore 社製 M91 型ホール効果測定コントローラ

まず初めにホール測定の概略を説明いたします。
皆さまが普段使われている電子機器には多くの半導体が使われています。
この半導体の電気を伝える能力(輸送特性)は電気的な抵抗値(抵抗率=比抵抗)で表すことができますが、より詳しく半導体中を移動できる電荷(電子欠損=正孔(ホール)や電子)の含有量(キャリア濃度)と電荷がどのくらいの速度で動くか(キャリア移動度)の評価も重要になります。

M91型 MeasureReady FastHall™ホール効果測定コントローラ

製品詳細

これらの比抵抗・キャリア濃度・キャリア移動度等を測定することをホール測定と呼んでいます。
「ホール」はホール効果(半導体に磁場をかけると磁場と垂直な方向に起電圧が発生する現象)の 「ホール」です。
弊社で販売している磁気測定機器もこの現象を利用し環境磁気を電圧に変換して測定しています。
ではなぜ、この「ホール」を測定することが先の3 指標を測定することになるのかというと、ホール効果で生じる起電圧がこれらの指標と結びついているからなのです。なお、ホール効果の「ホール」と正孔の「ホール」は違う単語です。
ホール効果は「Hall 効果:発見したEdwin Herbert Hall さんから」で正孔は「Hole:電子が存在しない孔状の欠陥」です。
詳しくは、弊社の無料情報誌「東陽テクニカ テクニカルマガジン」の15 号をご覧ください。

マガジン15号はこちら

さて、新製品のホール測定コントローラは、従来、測定をスタートさせてから結果が出るまでに3 分弱必要だったところ、それを数秒まで短縮することを可能にしました!
弊社での実測ですと最大で弊社従来機器の50 倍の測定速度にもなります。このような高速測定を実現するために、製造元のLakeShore 社では電気回路と磁場に関する相反定理を使用し、従来必要とされていた試料に印加する磁場の反転作業を不要とした、画期的な「FastHall™」測定法を考案しました。(米国特許:9797965)

従来機器を使用されているお客様も一度測定をご覧いただきますと、その測定速度に驚かれると思います。
私も最初に見た時には余りの速さにびっくりしました。本当に一瞬です!

検査時間の圧縮による生産効率のUP が見込めるほかに、磁場の反転が不要になりましたので
「もしかしたら反転した磁場の絶対値は一緒ではないのでは?」
といった心配がなくなりますし、超伝導マグネットを使用した強磁場ホール効果測定も非常に行いやすくなります。
また、Wi-Fi(!)使用による測定にも対応していますので、システムのワイヤレス化や環境チャンバー内に機材を設置してフィールドスルー不使用測定といったことも可能になりました。

応用物理学会ランチョンセミナー(北海道大学にて開催)

ご好評いただいた、本製品を紹介の様子を掲載しています

応用物理学会ランチョンセミナー

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2. Matesy 社製 CMOS-MagView 磁気フィールド可視化システム

磁気測定は皆さまにとってとても馴染み深いものかと思います。
思い返すと最初の磁気測定は、磁石の上に厚紙を置いて砂鉄を振りかけることだったかもしれません。
また、それで磁石に砂鉄がくっついて、いくら頑張ってみても落ちなくて、結局そのままになってしまった経験などもありました。

この砂鉄の事象のように磁気画像が撮れたら便利だなぁと思われたことないでしょうか?
従来は1 点1 点磁気測定機器でマッピングを行ったり、シミュレーションを行ったりするしかありませんでしたが、簡単にカメラ(といっても焦点がピンポイント(センサ部表面)という制限はありますが)のように磁気画像が撮れる機材が弊社にはあります。

Matesy 社製 磁気フィールド可視化システムCMOS-MagView

製品詳細

Matesy 社は、2008 年にドイツの研究開発機関である「INNOVENT Technology Development」よりスピンアウトして設立された会社で、独自の磁気による測定技術を持つ計測装置メーカーです。
他にもいろいろな磁気測定機器を製造しており、その製品の一つがCMOS-MagView です。

弊社WEB には測定画像例や動画もありますので、一度アクセスしていただけると珍しい「磁気写真」が掲載されています!
フェライト磁石表面といったポピュラーな物の他、電磁鋼板や磁気インク画像がご覧いただけます

私もラバー磁石(NSNS となっているんですよ。ご存知でしたか?)を測定してみたり、お札(日本銀行券にもいくつかの場所が磁気インクで塗られているんですよ)や 切符の磁気インク画像を見てみたりしたことがありますが、普段一般には見られないものが見られるということは面白いですね

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3.おわりに

本メルマガでは今までお客様にとってあまり馴染みがなかった製品から、温度センサのような消耗品まで実例を交えて紹介していく予定です。

取り扱ってほしいテーマやご感想など、いつでもお待ちしております。

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