PCB社技術情報

音響技術に関するFAQ

Q15 マイクロホンは、どれくらいの頻度で校正すれば良いですか。

FAQ ID:セクションⅥ:メンテナンスと取扱方法

A

一般的に、マイクロホンユーザにとって校正は、メーカの工場で行うフルスイープ校正と、測定現場で行う一点校正の二種類があり、適切な校正頻度はそれぞれで異なります。

メーカの工場での校正はより詳細な試験であり、毎年または2年ごとに行われることが多いですがこの頻度はマイクロホンメーカがはっきりと定めているものではなく、お客様ごとに異なってきます。マイクロホンの使い方、使用環境、法的要件、リスクレベル、社内規定などを踏まえて、最適な校正頻度を決める必要があります(下記詳細を参照)。これに対して測定現場で行われる1点校正は、測定結果を正確なものにするために、毎回測定の前後に行うことを推奨します。

2種類の校正方法に関しての詳細

1. メーカーの工場での校正

工場での校正では、まず基準周波数で感度をチェックしてから、全周波数レンジについて線形性をテストします。これには、back-to-back基準マイクロホンか、静電気アクチュエータ(下記写真参照)を用います。この工場でのアクチュエータを使ったスイープを伴う校正の際にのみ、グリッドキャップを取り外すことができます。

様々なアクチュエータ

お客様がどれくらいの頻度でこの校正を行うかは、校正費用に費やせる予算にもよりますし、その他にも例えば以下のような要因によります。

■ 品質管理部門からの内部要求がどの程度であるか。品質管理部門の内部規定で、全てのセンサについて標準校正頻度が定められているかどうか。

■ 規格や法的要件に準拠する必要があるかどうか。その場合には、校正頻度は高くなります。

■ どれくらいの頻度でマイクロホンを使うか。適切に保管されていて数か月に一度しか使わないマイクロホンの校正は毎日使うマイクロホンと同じ頻度で行う必要はないでしょう。

■ マイクロホンはどのような環境で使用されているか。過酷な環境で使用され、極端な温度やほこりや油やその他の汚染物質にさらされるマイクロホンは、管理されたラボ環境で使われるマイクロホンよりも、頻繁に校正する必要があります。

■ 落下させたり酷使したりしたことはあるか。マイクロホンを落下させただけでも、感度が変化して仕様を満たさなくなることがあるので、まずは1点校正(詳細については下記参照)して、感度が大幅に変化していたら、次回の測定試験までにメーカに返送して校正してもらうことを推奨します。

校正例

もしかなりの数のマイクロホンがある場合は、マイクロホン校正システムの購入をお勧めします。例えば、下記の9350CはThe Modal Shopから販売されています。これがあれば、メーカ工場で行われるようなスイープ校正を社内で行うことができ、費用も時間も節約できます。

マイクロホン校正システム モデル:9350C

2. 現場での一点校正

現場での1点校正は、スピーカホンまたはピストンホンを用いて行われます。ハンドヘルドタイプの校正器のいくつかの例を以下に示します(下記写真参照)。

ハンドヘルドタイプの校正器各種

目的は、1点(多くの場合は250 Hzまたは1 kHz)で感度を計測し、マイクロホンが正常に動作していて感度が変化していないことを確認することです。感度が変化すると、計測結果が不正確になります。1点校正では、全ての周波数レンジをチェックできません。感度が大幅に変化していなければ、工場での前回の校正時からスイープ特性がフラットなままであるということです。1点校正が行われるもう一つの理由は、測定結果をより正確なものとするために、温度、湿度、気圧の変化を補正するためです。マイクロホンの感度は温度、湿度、気圧に伴い変化します。工場校正時と現場の環境が大きく異なれば補正が必要です。これが毎回の測定の前後に1点校正を行うことを強くお勧めする理由です。

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Q14 アンチエイリアスの原理とは何ですか。アンチエイリアスはどのように利用されますか。

FAQ ID:セクション I:定義と専門用語

A

アンチエイリアスの原理と、高周波数マイクロホン信号が判別できなくなる理由については、こちらのビデオで詳しく解説いたします。(約6分13秒)

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Q13 ノイズフロア計算によって、不要なノイズ源を発見することは可能ですか。

FAQ ID:セクション I:定義と専門用語

A

製品試験の過程で、ノイズフロアの計算は、製品設計プロセスの一環として利用できます。こちらのビデオで詳しく解説いたします。(約6分29秒)

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Q12 音響透過損失とは何ですか。

FAQ ID:セクション I:定義と専門用語

A

音響透過損失の測定や、物質の吸音や損失の測定については、こちらのビデオで詳しく解説いたします。(約9分)

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Q11 デシベル加算とは何ですか。また、デシベル加算はノイズの評価や低減にどのように使われますか。

FAQ ID:セクション I:定義と専門用語

A

音響計測における音源(デシベル)の重ね合わせについては、こちらのビデオで詳しく解説いたします。(約8分7秒)

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Q10 ノイズ源の特定、ビーム形成、ホログラフィー、音響パワーマッピングのために、音響指向性パターンはどのように使われますか。

FAQ ID:セクション I:定義と専門用語

A

音響測定における指向性パターンについては、こちらのビデオで詳しく解説いたします。(約4分53秒)

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Q9 1/4インチ計測用マイクロホンと1/2インチ計測用マイクロホンは、それぞれどのような場合に選択すべきですか。

FAQ ID:セクションⅡ:お勧めのマイクロホン

A

1/4インチ計測用マイクロホンと1/2インチ計測用マイクロホンにそれぞれ適した使用目的については、このビデオをご覧ください。(約2分36秒)

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Q8 音圧マッピング、ビーム形成、ホログラフィー、ノイズ源の特定を、複数のマイクロホンを使ってコストをかけ過ぎずに行う必要があります。どのようにすれば良いでしょうか。

FAQ ID:セクション Ⅱ:お勧めのマイクロホン

A

アレイマイクロホンが、安価な解決策となります。アレイマイクロホンの使い方については、このビデオをご覧ください(約2分55秒)

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Q7 閉鎖空間または高温環境下で音圧測定を行う必要があります。どのマイクロホンを使うべきでしょうか。

FAQ ID:セクションⅡ:お勧めのマイクロホン

A

狭くてアクセスが難しい場所や高温下(800℃まで)の測定には、プローブマイクロホンが推奨されます。 より詳しい説明については、こちらのビデオをご覧ください。(約3分9秒)

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Q6 サーフェスマイクロホンを使うべきなのは、どのような場合ですか。

FAQ ID:セクション Ⅱ:お勧めのマイクロホン

A

サーフェスマイクロホンは、真の表面音圧とノイズを計測するために使われます。サーフェスマイクロホンは、閉鎖空間内の計測に最適化されていて、試験中に風によるノイズの影響を低減するよう設計されています。さらに詳しい説明については、このビデオをご覧ください(約4分6秒)

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Q5 音響試験にプリポラライズド型マイクロホンを使うべきなのは、どのような場合ですか。

FAQ ID:セクションⅡ:お勧めのマイクロホン

A

外部分極型計測用マイクロホンとプリポラライズド型計測用マイクロホンの違いについては、こちらのビデオをご覧ください。(約6分15秒)

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Q4 マイクロホンの手入れや取扱はどのようにすれば良いですか。

FAQ ID:セクションⅥ:メンテナンスと取扱方法

A

精密機器ですので、取扱には注意が必要です。計測用マイクロホンの保護とメンテナンスについては、こちらのビデオをご覧ください。(約4分20秒)

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Q3 温度係数とは何ですか。温度係数はどのように適用されますか。

FAQ ID:セクション I:定義と専門用語

A

温度が変化すると、マイクロホンの感度に影響が出ることがあります。IEC 61094-4 (計測用マイクロホン) 規格で必要とされる係数は、温度の変動による感度の変化を見積もるために使われます。

詳細情報:
ダイアフラムの堅さと、ダイアフラムとバックプレート間の空隙は、バネのように作用します(下図参照)。温度、湿度、気圧の変化は、上述のバネ効果を変化させ、従ってマイクロホンの感度を変化させます。感度の変化を補正しないと、エンドユーザーが正確に計測しようとしている音圧の計測値が不正確になります。

wave

環境の変化に伴う感度の変化を補正するもっとも良い方法は、しばらく待ってマイクロホンが安定してから、試験環境における正確な感度を携帯型校正器(CAL200等)で計測することです。

携帯型校正器(またはピストンホン)をお持ちでなければ、仕様書にある係数を用いて計算をして、環境の影響を見積もることができます。この例では、気温の変化による感度の変化を補正します。

全ての校正証明書には、オリジナルのマイクロホンの感度と、校正時の環境条件が示されています(下記参照)。

CAL

温度係数(下表参照)を用いて、環境影響を加えたり差し引いたりできます。正数であれば、右上がりの傾きを意味します(低温では感度が低く、高温では感度が高くなります)。

TEDS

上述の377B02型マイクロホンを使って100℃の環境下で計測する際の感度を計算するには、校正証明書にある温度との差に係数をかけてください。

∆T = 100℃ – 21℃ = 79 ℃ temperature change 79 ℃ * 0.009 dB/℃ = 0.71 dB
377B02型マイクロホンの例では、感度は49.62 mV/Paであり、これは -26.09 dB re 1V/Paに等しくなります。温度変化に伴う感度の変化0.71 dBを-26.09 dBに加算すると、次のような感度が得られます。
0.71 – 26.09 = -25.38 dB re 1V/Pa

新しく求められた-25.38 dB re 1V/Paに、適切な対数換算式を当てはめてmV/Pa単位の感度に換算すると、100℃では53.83 mV/Paというより高い感度が得られます。49.62 mV/Paから53.83 mV/Paへの変化は、直接気温の変化によるものです。

IEC61094-4規格では温度係数は-10℃から+50℃まで求めるよう規定されていますが、PCBでは試験の結果、係数がマイクロホンを使用可能な120℃まで有効であることを確認しました。

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Q2 TEDSとは何ですか。

FAQ ID:セクション I:定義と専門用語

A

TEDS(Transducer Electronic Data Sheet)とは、センサ内でトレーサビリティデータを記録してあるチップのことです。マイクロホン用TEDSチップは、プリアンプに内蔵されており、0.9形式または1.0形式でプログラムできます。マイクロホンを多数使用する際に、センサの位置を特定するのにTEDSは特に便利です。PCBの130xXX型センサや上位機種の378xXX型システムは、1.0でプログラミングされています。

TEDSチップは、センサに関するデータを記録する小さな部品です。PC用のUSBメモリを小さくして、フォーマット済のテンプレートを追加したようなものです。TEDSチップには、型番、S/N、校正日、分極タイプ等のセンサに関する情報を記録してあります。 規格はIEEEが定めていて、IEEE (P)1451.4やIEEE 1451.4が一般的です。これら規格バージョンの中に、センサ毎に異なったIDテンプレート番号があります。TEDSはリーダーで読み取ることができます。または、TEDS書込ソフトを使って読み取ったりプログラムしたりすることができます。

IEEE (P)1451.4にある接頭辞「P」はpreliminary(暫定的)の略であり、PCBのマイクロホンとプリアンプの組み合わせにおいてはバージョン0.9です。PCBのマイクロホンで最も多いIDテンプレートはテンプレート12であり、マイクロホンとプリアンプです。テンプレート16はプリアンプだけのテンプレートであり、プリアンプが別で注文されるとプログラムされて出荷されます。マイクロホンとプリアンプを共にアセンブリとして注文された場合には、プリアンプだけのテンプレート(16)は削除され、他のマイクロホンとプリアンプのテンプレートが優先され、TEDSリーダーを立ち上げると表示されます。バージョン0.9の例を以下に示します。

TEDS

The Modal Shops 400B76型リード/ライトソフトを使った際のスクリーンショットの例を下記に示します。TEDS IEEE P1451.4の暫定フォーマットで列の制限がありました。そのため、型番は最初の3文字だけであり、バージョンはrev(リビジョン)を表わす文字であり、最後の2ケタはバージョン番号です。テンプレートでは、型番の前にある0を省略しています(下記参照)。下記の型番は、378B02です。型番に加えて、S/N、校正日、感度、そしてプリポラライズド型(1)か外部分極型(0)かが示されます。お客様のメモはASCIIの欄に記入できます。

TEDS

バージョン1.0 (IEEE 14.51.4)では、PCBではマイクロホンにテンプレート27と28を使用します。

TEDS

バージョン1.0では、テンプレートが拡大され、音場タイプやマイクロホンサイズなどの追加情報を含んでいます。

TEDS

0.9でフォーマットされた製品を購入しても、PCBにてTEDSフォーマット1.0にプログラミングし直すことが可能です。ただし、一旦1.0にしてしまうと、0.9のフォーマットに戻すことはできません。そのため、PCBでは慎重を期して、上位機種の378システムも、バージョン0.9でプログラミングしています。どちらか不明の場合は、購入記録を見て、378xXX (0.9)またはTLD378xXX (1.0)のどちらにプログラミングされているかを調べてください。
加速度計には別のテンプレートがあり、いくつかのテンプレートは、型番にTLA、TLB、TLC(プログラミングするテンプレートを示します)を含むLMSソフトと共に使用するためのものです。
お客様側でTEDS読み出しについて問題が生じたら、TEDSリーダーがあるかどうかまず確かめて、メーカー、型番、そしてバージョン0.9または1.0のどちらに対応しているかを調べてください。

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Q1 マイクロホンで計測できる最小の音圧レベル(SPL)はどれくらいですか。

FAQ ID:セクション Ⅳ:仕様説明

A

音響マイクロホンアセンブリのノイズフロアは、構成するマイクロホンとプリアンプのノイズの和となります(加速度計や圧力計の(ブロードバンド)分解能仕様のようなもの)。 計測可能な最小の音圧レベル(SPL)は、「カートリッジ熱ノイズ」と定義されるマイクロホンのノイズフロアより高くなります。
計測可能な最小の信号については、プリアンプの電気ノイズの他、ケーブル、電源、ソフトウェア、フィルター、データ収録装置と設定、背景雑音等、試験構成に含まれるコンポーネントからのノイズも考慮する必要があります。 本項目では、マイクロホンとプリアンプのアセンブリに焦点を置いています。ノイズフロアは、マイクロホンとプリアンプの合計となります。下図に示す通り、低周波数ではプリアンプのノイズが高く、高周波数ではマイクロホンのノイズが高くなっています。

TEDS

ノイズフロアは、1/3(またはその他の)オクターブバンドでdBまたはdBAで示すことができます。ダイアフラム(振動板)が大きいほど、また感度が高いほど、マイクロホンのカートリッジ熱ノイズのノイズフロアを低くすることができます。一般的な1/2インチ自由音場型マイクロホンのノイズフロア仕様は、15-20 dBAです。dBAの意味については、第1項(訳者注:別項目のようです)を参照して下さい。1インチマイクロホンのノイズフロアは約10-15 dBAであり、1/4インチマイクロホンのノイズフロアは約30-60 dBAです。定格線形(またはZ特性)ノイズフロアはより高くなります。 新型378A04は特別なマイクロホンであり、定格ノイズフロアは6.5 dBA (標準値5.5 dBa)です。PCBの378A04型マイクロホンとPCBのプリアンプを組み合わせてノイズフロアを実際に計測したデータを下図に示します。

TEDS

ノイズフロアは周波数に依存します。基本的には、ノイズフロアはマイクロホンやプリアンプの使用可能な周波数レンジにおける全周波数のカーブの下にあるエリアを意味しますが、特定の周波数や1/3オクターブバンドを見ると、ノイズフロアは上図のようにずっと低いことがあります。100 Hz 1/3オクターブバンドを見ると、A特性ノイズフロアは約 -24 dBAです。これは負数であり、ヒトの可聴域を大幅に下回っており、同じ100 Hzバンドでの線形スケールによる値は約 -5 dBです。

また、環境や測定能力を踏まえて、使用目的に最適なマイクロホンを選ぶことが重要です。ユーザーが無響室(または防音室か防音環境)をお持ちでなければ、背景雑音はマイクロホンやプリアンプのノイズフロアよりも大きい可能性が高く、378A04を使ってもより安価な378B02を使っても測定結果は変わらないでしょう。逆に、ユーザーが非常に低いノイズの計測を目指していて、本来のローノイズ試験に必要な設備をすべてお持ちの場合には、新型378A04 がPCBのプリポラライズド型マイクロホンの中で最も優れたローノイズ性能を発揮します。

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