FAQ

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音響技術

ID.セクション Ⅳ:仕様説明

Q. 81 マイクロホンを、設計された音場以外でも使用できますか?その場合はどのような補正が必要ですか?

A.


基本的にはその音場用のマイクロホンの使用をお薦めします。拡散音場で音圧レベルを計測するには、拡散音場型マイクロホンPCB® 「378C20」または「378A21」を推奨します。この場合適切な計測値が得られますし補正が不要になるので補正作業によるエラーの心配がなくなります。また、理論的な拡散音場と比べてエンドユーザーの拡散音場はやや不完全であるため、拡散音場型マイクロホンはより実環境に近い計測を可能にします。

拡散音場マイクロホンをお持ちでなく購入も困難である場合は、メーカーの補正表があれば、既存のマイクロホンを使用して音場型に応じてマニュアル補正することができます。自由音場型(FF)マイクロホンを拡散音場に補正した例を下記に示します。他のマイクロホン音場応答(自由音場FF、拡散音場RI、音圧)で補正することもできます。

下図では、½インチPCB® 377B02マイクロホンを、自由音場(FF)、拡散音場(RI)、音圧応答に補正した場合を示します。図に示す通り、補正はマイクロホンの静電気アクチュエータ応答に対して行われます。½インチマイクロホンを使用する場合、3つの音場型の応答の差は、1 kHzまではごくわずかです(½インチマイクロホンをどのような音場で使用しても、1 kHz以下の周波数では、マイクロホンの直径に比べて波長が大きいため、同様な応答が得られます)。下図のように、1 kHzを超えると応答カーブ間の乖離が大きくなります。

自由音場カーブでは補正値が大きく、拡散音場や音圧応答では補正値が小さいことに留意して、必要な音場にマニュアル補正する際には、補正値を加算するのか減算するのか判断してください。



下表は、任意の10の1/12オクターブバンド中心周波数における補正値を示しています。



PCBマイクロホン「377B02」は、自由音場(反射面の無い開空間)で正確に測定できるよう設計されています。「377B02」を使って自由音場における10kHzでの正確な応答を得るためには、第二列で示されているように4.99 dBを加算する必要があります。

第3列(拡散音場)を見ると、10,000 Hzでの補正値は1.42 dBとなっています。

自由音場型マイクロホンを、拡散音場での計測に使用してマニュアル補正するには、ネットの計測値(実測値)(例として90 dBとします)に補正値を加減します。自由音場型マイクロホンを拡散音場で使用して90 dBの信号を計測した場合、計測した周波数帯の補正値応答から、2種類の音場間の差を差し引くことになります。

10 kHzにおける自由音場と拡散音場との差は、4.99 – 1.42 = 3.57 dBとなります。

拡散音場カーブは自由音場応答よりも低いので、自由音場測定結果から拡散音場の計算結果を差し引く必要があります。

従って、自由音場型マイクロホンを自由音場で周波数10 kHzで使用して90.00 dBと測定した場合、同周波数の拡散音場では測定値は86.43 dBとなります。

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