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音響技術

ID.セクション I:定義と専門用語

Q. 3 温度係数とは何ですか。温度係数はどのように適用されますか。

A.


温度が変化すると、マイクロホンの感度に影響が出ることがあります。IEC 61094-4 (計測用マイクロホン) 規格で必要とされる係数は、温度の変動による感度の変化を見積もるために使われます。

詳細情報:
ダイアフラムの堅さと、ダイアフラムとバックプレート間の空隙は、バネのように作用します(下図参照)。温度、湿度、気圧の変化は、上述のバネ効果を変化させ、従ってマイクロホンの感度を変化させます。感度の変化を補正しないと、エンドユーザーが正確に計測しようとしている音圧の計測値が不正確になります。

wave

環境の変化に伴う感度の変化を補正するもっとも良い方法は、しばらく待ってマイクロホンが安定してから、試験環境における正確な感度を携帯型校正器(CAL200等)で計測することです。

携帯型校正器(またはピストンホン)をお持ちでなければ、仕様書にある係数を用いて計算をして、環境の影響を見積もることができます。この例では、気温の変化による感度の変化を補正します。

全ての校正証明書には、オリジナルのマイクロホンの感度と、校正時の環境条件が示されています(下記参照)。

CAL

温度係数(下表参照)を用いて、環境影響を加えたり差し引いたりできます。正数であれば、右上がりの傾きを意味します(低温では感度が低く、高温では感度が高くなります)。

TEDS

上述の377B02型マイクロホンを使って100℃の環境下で計測する際の感度を計算するには、校正証明書にある温度との差に係数をかけてください。

∆T = 100℃ – 21℃ = 79 ℃ temperature change 79 ℃ * 0.009 dB/℃ = 0.71 dB
377B02型マイクロホンの例では、感度は49.62 mV/Paであり、これは -26.09 dB re 1V/Paに等しくなります。温度変化に伴う感度の変化0.71 dBを-26.09 dBに加算すると、次のような感度が得られます。
0.71 – 26.09 = -25.38 dB re 1V/Pa

新しく求められた-25.38 dB re 1V/Paに、適切な対数換算式を当てはめてmV/Pa単位の感度に換算すると、100℃では53.83 mV/Paというより高い感度が得られます。49.62 mV/Paから53.83 mV/Paへの変化は、直接気温の変化によるものです。

IEC61094-4規格では温度係数は-10℃から+50℃まで求めるよう規定されていますが、PCBでは試験の結果、係数がマイクロホンを使用可能な120℃まで有効であることを確認しました。

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