モーダル解析~シェーカ加振とハンマ加振に違いはあるのか

モーダル解析

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モーダル解析におけるシェーカ加振とハンマ加振の違いを解説。各手法の特徴・メリット・適用シーンを比較し、振動試験における加振方法の最適な選び方をわかりやすく紹介します。

1. YesでもありNoでもある

最初に結論から述べますと、YesでもありNoでもある というのが答えになります。
これは非常に重要なポイントで、

  • 理論的(数学的):違いはない(No)
  • 実務的・測定上: 違いがある(Yes)
という意味です。この「二重性」を理解するために、モード解析の基本式から解説していきたいと思います。

2. モード解析の出発点:運動方程式

世の中に存在するあらゆるシステムは、基本的に運動方程式で表すことができます。

"質量"×"加速度"+"減衰"×"速度"+"剛性"×"変位"="外力"

多自由度系(Multiple DOF)では、これを行列形式で表します。
この方程式はラプラス領域で扱う方が簡単です。時間領域→ラプラス領域に、運動方程式のラプラス変換をとると、次のように記述できます。

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この式をまとめると次の式になります。

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[M]:質量行列(Mass)
[C]:減衰行列(Damping)
[K]:剛性行列(Stiffness)
[B(s)]=[M]s^2+[C]s+[K]:システム行列
{X(s)}:応答
{F(s)}:入力(加振力)


[M], [C], [K]の行列は対称行列のため、システム行列[B(s)]も対称行列です。
システム伝達関数は、 システム行列の逆行列であり、 次の式で表されます。

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システム行列[B(s)]も対称行列のため、逆行列である[H(s)](=FRF行列)も対称です。 多くの場合、周波数応答関数は次のようにモード重ね合わせ(モーダルサム)で表されます。

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[pk]:極(固有振動数、減衰)
[Ak]:留数(モード形状の情報)
この伝達関数を表す式には、入力の種類(シェーカ or ハンマ)は、登場しません。

つまり、モード特性そのものは加振方法に依存しないといえます。

そして、個々の項は次のように求められます。

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[B(s)]と[H(s)]は、[M]、[C]、[K]が対称であるため、対称であることを覚えておいてください。

3. 相反性

これまでの導式から、[H(jω)]も対称であることが分かり、これは以下の式を意味します。

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これを相反性(Reciprocity)と呼びます。
この式の物理的な意味について解説すると、

  • 点 i を加振して、点 j の応答を測る
  • 点 j を加振して、点 i の応答を測る
両社は理論的にはまったく同じFRFが得られるという事です。
ここが冒頭の「理論的には違いがない(No)」の理由です。

4. シェーカ加振とインパクト加振の特徴

実務的な視点で両者に違いがあるかを議論する前に、まずはシェーカ加振とインパクト加振の特徴についての理解を深めていきたい。

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5. 理論から考えるモーダル試験:単純梁の加振試験

3つの測定位置を持つ単純な梁の衝撃試験状況を考えてみましょう。測定可能な入出力FRFは全部で9種類あります。
3 × 3 = 9 FRFs

今回のケースでは、加速度計を点3に設置し、点1、2、3で梁に衝撃を与えてFRFを測定します。

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左図:Impact Test Measurements(インパクト試験)
ハンマを 点1 → 点2 → 点3 に移動
加速度計は 点3に固定
測定されるFRF:h31,h32,h33

右図:Shaker Test Measurements(シェーカ試験)
シェーカを 点3に固定
加速度計を 点1 → 点2 → 点3 に移動 測定されるFRF:h13,h23,h33

点3は、すべての測定で同じ応答点となるため、基準位置と呼びます。
ハンマを使ったインパクト試験では、基準点から次の測定点へと移動していくため、測定されるFRFはFRF行列の1行目、つまり最後の行から得られます。 シェーカ試験では、シェーカを点3に設置し、加速度計をビーム上の点1、点2、点3に移動させてFRF(周波数応答関数)を測定します。各測定において力が同じ点に加わるため、点3は依然として基準位置となります。力が固定されているため、測定されたFRFはFRF行列の1列目、つまり最後の列から得られます。

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測定値を見ると、シェーカ試験のh13はインパクト試験のh31と完全に一致していることがわかります。また、シェーカ試験のh23は衝撃試験のh32と完全に一致しています。これが相互性の原理です。

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h13=h31
h23=h32
h33=h33

理論的には、シェーカ試験でデータを収集してもインパクト試験でデータを収集しても、結果は変わりません。加振方法はFRFの数学的定義に含まれないため、理論的にはデータは全く同じです。
実際、構造物の同じ箇所に衝撃を与え、加速度計を様々な測定位置に移動させることで、衝撃試験を実施できない理由はありません。重要なのは、理論的には、入出力特性が得られる限り、データの収集方法は問題ではないということです。

しかし、この「理想的な仮定」が崩れたらどうなるでしょうか。

6. 実務面から考えるモーダル試験

前提として、モード解析(Experimental Modal Analysis)は、機械構造物・精密装置・半導体製造装置・自動車・航空宇宙分野など、幅広い工学分野で用いられている基本技術です。
その中核となるのが加振方法の選択であり、代表的なものとして以下の2つがあります。

  • インパクト(ハンマ)加振試験
  • シェーカ(加振器)による加振試験
現場ではしばしば次のような疑問が挙げられます。
「同じ構造を測っているのに、なぜシェーカ試験とインパクト試験で結果が違うのか?」
「そもそも、両者に理論的な違いはあるのか?」

まずは実務の観点から、実際に試験を実施することを考えてみましょう。
ここで覚えておくべき重要な点は、試験対象となる構造物は、伝達関数FRFデータを取得したい構造物だけではないということです。
構造物に加えて、データ取得に関わるすべての要素に影響を受けます。
  • 構造物の吊り下げ装置
  • 取り付けられたセンサの質量
  • 加振器/スティンガー配置による剛性向上効果
理論的には、インパクト試験の結果とシェーカ試験の結果に違いはないはずですが、実際にはデータ収集の実務的な側面によって違いが生じる場合が多いというのが現状です。

例 ① 加速度計の移動による影響(ロービング質量効果)

最も顕著な違いは、シェーカ試験における加速度計の移動(ロービング)によって生じます。
加速度計自体の重量は構造物全体に対しては非常に小さいものの、構造物の局所的な部分に対しては、無視できない影響を与える場合があります。
とくに、複数のセンサを移動させながら測定するマルチチャンネル計測では、この影響が顕著になります。
この問題は、軽量構造物において特に重要です。
加速度計の重量は構造物全体の総重量に比べて非常に小さいかもしれませんが、構造物の各部分の実効重量(局所モード質量)に比べてかなり大きくなる可能性があります。

対策方法
この影響(ロービング質量効果)を低減するためには、以下の方法が有効です。

  • 構造物のすべての応答点に、あらかじめ加速度計を取り付けておく。
  • 測定していない箇所には、加速度計の代わりとなるダミー質量を設置する。
これにより、測定位置による質量のばらつき(移動質量の影響)を防ぐことができます。

例 ② シェーカ/スティンガーの影響

もう一つの違いは、シェーカおよびスティンガーの影響です。
シェーカを構造物に取り付けることで、以下の要素が構造物に影響を与える可能性があります。

  • アタッチメント(スティンガーなど)の質量
  • 接続部の剛性
これにより、本来の構造物の固有振動モードが変化する場合があります。 スティンガーは、シェーカの影響(特に横方向の力や剛性)を構造物から切り離すために使用されます。 しかし、実際には完全に影響を排除することは難しく、一部の構造物では依然として影響が残る場合があります。

例 ③ ハンマリング試験との違い

ハンマ加振による試験では、シェーカのような取り付け構造が不要なため、
  • 付加質量
  • 接続剛性の影響
といった問題が基本的に発生しません。
そのため、シェーカ試験と衝撃試験で異なる結果が得られる場合があります。

7. まとめ

シェーカとハンマ、加振方法による違いについて議論してまいりました。
理論的(数学的)に違いはないは、実務的・測定上は違いがあるという、この「二重性」を理解し、両者の特徴を知っておくことが大切です。

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8.製品紹介

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ハンマリングでは共振点以外にもFRF、位相、コヒーレンス等多くの物理量を監視する必要があります。
OROSではダブルハンマリング検知、コヒーレンス監視に加え、条件を満たさないデータを自動的にリジェクトする機能があります。

計測パッケージ例

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Modal Theorical FAQ - OROS Wiki(外部リンク)別ウィンドウ・外部リンク)


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