ISO 16063-22 - 基準センサによる衝撃校正

加速度計校正の概要

振動衝撃校正規格のパート22では、「基準トランスデューサとの比較による衝撃校正」について説明しています。前回解説した一般的な加速度計の校正技術と比較すると、衝撃校正は特別な方法です。衝撃加速度の大きさおよびパルス幅に応じて、いくつかの認められた装置および方法があります。

2次衝撃校正のための不確実性基準条件(ISO 16063-22:2005(E)より)

衝撃装置 加速度ピーク強度a
(km/s2 )d
最小パルス幅a,b
(ms)
不確実性限界(%)
振り子 1.5 3 5
ドロップボール 100 0.100 5
空気圧ピストン 100 0.100 5
ホプキンソン棒/速度センサ 100 c 0.500 10
ホプキンソン棒/加速度センサ 100 c 0.050 6
スプリットホプキンソン棒/力センサ 100 c 0.050 10

a ピーク値と持続時間の変動= +/-10%
b パルス幅はピーク値の10%で測定されます。
c より大きな加速度(ピーク値)およびより短いパルス持続時間が測定可能ですが、1次測定方法には基づきません。
d 100 km/s2 = ~10,000 g

この規格は、各装置の基本的な仕組みと、様々なデータ収録および処理方法について説明します。

数0.1 km/s2 (~10 g) ~ 100 km/s2 (~10,000 g)の広い有用範囲における商用衝撃校正で最も一般的なのは、圧縮空気型装置です。この装置は、飛翔体を収容するバレルに結合された空気圧加圧リザーバで構成されています。アンビルと衝撃面の緩衝材の両方の質量を調整し、リザーバ圧力を変化させることで、様々な持続時間と振幅の衝撃パルスを発生させることができます。データ取得は従来、高速時間データ収録で処理されていましたが、一部のシステムでは広帯域FFT方式に移行しています。より主流である空気圧法の利点は次のとおりです:広い有効振幅範囲、プライマリー校正法へのトレーサビリティ、安全で簡単な操作、インパルス持続時間と大きさを容易に調整できること、十分な再現性があること。最新の圧縮空気型衝撃校正は、標準の加速度計校正ワークステーションとシームレスに統合され、加速度計校正データベースを構成し、校正証明書の印刷、保存、再呼出、トレンド分析などの標準機能を簡単に使用できます。

ホプキンソン棒は、最大1000 km/s2 (~100,000 g)の非常に高い衝撃レベルに使用されます。圧電型ロードセルを内蔵したスプリットホプキンソン棒、または中央にストレインゲージを取付けた(または自由端に速度または加速度の基準を設置した)シングルエンドホプキンソン棒によって、非常に高い衝撃レベルの測定が実現できます。

スプリットホプキンソン棒による衝撃校正では、剛性の高い圧電型ロードセルを試験片の替わりに設置します。インパクトの時間が、出力棒の長さに対し、十分長いと仮定すると、出力棒の応答は剛体運動と見なすことができます。したがって、加速度はニュートンの第2法則F = maを使って計算されます。ここでは、力Fが測定され、mは試験中のトランスデューサの質量です。

シングルエンド(またはワンバー)ホプキンソン棒による加速度計校正は、ストレインゲージまたはレーザードップラー変位計を基準とし、被校正加速度センサの出力を積分して得られる速度で、比較校正します。また同方法では、ストレインゲージまたはレーザードップラー計による変位量を2回微分して得られる加速度値との比較校正も行います。シングルエンド(またはワンバー)ホプキンソン棒型装置は、力センサ、出力棒およびその固定装置が不要となるため、装置が簡素化されます。

ドロップボール法では、通常、試験センサおよび基準センサを設置して磁気的に取付けられたアンビルを、ドロップボールをガイドするために管の内側に置きます。ボールの直径および質量、さらには衝撃界面の材料を変えることによって、衝撃パルスの振幅および持続時間をコントロールすることができます。データ収録は通常、高速時間データ収録により行われ、ピーク振幅法によって解析されます。自動車の衝突試験用途など、1 km/s2 (~100 g)から10 km/s2 (~1000 g)の範囲では、ピーク振幅法で一般的に試験されています。ドロップボールは100 km/s2 (~10,000 g)まで使用できますが、ドロップボール法では位置合わせが非常に重要です。ボールが中心から外れると、大きな回転が発生します。

最後に、振り子法の構成は基本的に、剛性フレーム、ハンマ振り子、および テスト用とリファレンス用の両方の衝撃加速度計を搭載したアンビル振り子からなります。ハンマ振り子は、所定の角度まで持ち上げられ、その後、ゴムパッドを介して加速度計が取り付けられたアンビル振り子に衝突するように落下し、ハーバーサインパルス形状を作り出します。試験トランスデューサの慣性マスの重心が基準トランスデューサの受感軸と一致するように、そしてトランスデューサを振り子の第1の軸方向振動モードのノード点に配置するように、特別な注意が必要です。振り子式衝撃試験は通常、時間記録のためのデジタルデータ収録装置を用いて行われ、解析方法としては最大値または多項式時間データフィットのいずれかが用いられます。振り子式の衝撃校正方法は、自動車分野で採用されるケースがあります。

ISO 16063-22規格書を購入してインターネットを検索すると、方法論を総合的に理解することができます。規格は時によっては複雑で理解できないように感じられますが、そのように感じる必要はありません。

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東陽テクニカのセンサ校正とは?