Z-3D 3Dインピーダンス解析ソフトウェア

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Z-3Dは、経時変化するサンプルのインピーダンスを3D(実数軸・虚数軸・時間軸Z-3Dは、時間情報を有するインピーダンス測定データを、3D(実数軸・虚数軸・時間軸)でプロットします。次に同じ周波数の測定点をスプライン関数を用いて時間補間 する事で、各時間、SOC(充電率)における瞬間のインピーダンスデータを決定・解析する事ができるソフトウェアです。Bio-Logic社のインピーダンス測定装置では、標準で時間情報が測定データに記録されるため、本ソフトウェアと共に使用する事で、腐食モニタリングや二次電池の充放電しながらのIn-situインピーダンス解析を行うことができます。また、各時間・SOC(充電率)におけるはインピーダンスデータは、ZView へ出力することができますので、等価回路の解析にも応用できます。

株式会社東陽テクニカ 理化学計測部
phone03-3245-1103

特長

  • 今まで系が変化して解析できなかったインピーダンス結果を解析可能にした、画期的なソフトウェア
  • 各時間・SOCにおける瞬間のインピーダンスをZView交流解析ソフトウェアへ容易にエクスポート可能
  • OS: Windows 10 Pro (64 bit) / Windows 11 Pro (64 bit)
  • 解析対象例
    • 充電・放電しながらのin-situインピーダンス解析
    • 経時変化しやすいサンプルの腐食モニタリング

原理

3Dインピーダンス法は、実数軸・虚軸・時間軸から構成される3Dナイキスト線図から、ある時間の瞬間のインピーダンスを決定する手法です。時間軸を加えて解析することにより、インピーダンスの時間変化を追跡することが可能です。 インピーダンス測定中に測定系が変化してしまうサンプルでも、3Dインピーダンス法を用いれば、インピーダンス解析が可能になります。これにより、二次電池の充電・放電中のin-situインピーダンス解析や、経時変化しやすいマグネシウム・亜鉛合金等の腐食モニタリングが可能になります。

3Dインピーダンス法概要

Bio-Logicの優位性①

応答電圧振幅値の制御による電流インピーダンス測定(GEIS-AA)

GEIS-AA は、印加交流電流振幅に対する応答電圧振幅をフィードバックし、予め設定した応答電圧振幅値以下に抑えるよう交流電流振幅を自動調整する機能です。従来の電流インピーダンス測定(GEIS)では、低周波数領域でインピーダンスの増加に伴い応答電圧振幅が大きくなり、印加交流電流振幅値によっては線形性が保つことができませんでした。 GEIS-AA では、応答電圧振幅に合わせて交流電流振幅を自動調整するため、GEIS 中も線形性を保ちながら低周波数領域まで測定することができます。また、3Dインピーダンス法を行うためにGEISを用いる場合がありますが、その際にもGEIS-AAの機能により線形性を保持することができます。

測定事例

以下の測定条件でインピーダンス測定を行い、電圧インピーダンス測定(PEIS)とGEIS、GEIS-AAを比較した際の a)ナイキスト線図および b)周波数における交流電圧/電流振幅値を示します。GEISは電流振幅が一定のため、低周波数領域で電圧振幅が大きくなっているのに対し、GEIS-AAでは応答電圧振幅が設定値の10mVより大きくならないよう交流電流振幅を自動調整しております。そのため、GEIS-AAは低周波数領域でもPEISとのほぼ同じインピーダンス結果を得ることができています。

測定条件

  • サンプル  :リチウムイオン電池(18650型)
  • OCV電圧  :3V
  • 振幅電圧  :10V
  • 振幅電流  :150mA
  • 周波数範囲 :100mHz ~ 10kHz

Bio-Logic 社製電気化学測定システムのアドバンスドモデルは、インピーダンス測定の前提条件である線形性、不変性、因果性を評価するために「EIS quality indicators」という機能を搭載しています。THDは、高周波成分全体と基本は成分の比で表し、線形性を満たしているかを評価する指標となります。以下にGEIS(左図)とGEIS-AA(右図)のTHD比較を示します。GEIS ではDC 電流が200mA を超えると低周波数領域でTHD が増加していますが、GEIS-AAでは同一条件でもTHD は増加しておらず、線形性が保たれたインピーダンス結果であると判断できます。

交流電流振幅 790mA(GEIS-AA は応答電圧振幅 10mV)に設定、DC電流別のTHD比較

Bio-Logicの優位性②

EC-Labソフトウェアを使用したインピーダンス測定結果の品質評価

インピーダンス測定は電極界面の評価に有効な測定手法ですが、正確な測定を行うためには、①線形性、②不変性、③因果性の3つの条件を満たす必要があります。インピーダンス測定の品質・信頼性を上げるため、EC-Labソフトウェアでは「EIS quality indicators」という機能を用いて以下の3点を評価することができます。
 ※「EIS quality indicators」の機能はスタンダードモデルeタイプボード(10kHz 以下)およびアドバンスドモデル(100kHz以下)に限ります。 。

① 全高調波歪み(THD : Total Harmonic Distortion)

THDは、①線形性を満たしているかを評価する指標となります。
THDは高調波成分全体と基本波成分の比で表し、次の式を用いて表されます。

| Yf |:基本周波数f(または第1高調波)における信号の振幅
| Yk |:k番目の高調波の振幅。
※EC-Labでは、電位、電流それぞれの6つ以上の高調波(N = 7)で計算

② 非平衡歪み(NSD : Non Stationary Distortion)

NSDは、②不変性を満たしているかを評価する指標となります。
サンプルが平衡状態でない場合、応答信号には基本周波数に加えて隣接する周波数成分が含まれるため次の式を用いて表されます。

| Yf |:基本周波数f(または第1高調波)における信号の振幅
| Yf-Δf| & | Yf +Δf|:基本周波数のすぐ隣のピークの振幅
Δf:周波数分解能

③ SN比(NSR : Noise-to-Signal Ratio)

NSRは、③因果性を満たしているかを評価する指標となります。
基本周波数以外の周波数には計測器由来や外乱ノイズをも含まれ、次の式を用いて表現されます。

 Δf:= 1 / T、Tは測定の取得時間
※これは、以下に含まれていないすべての信号を表します。

  • 基本周波数
  • THDを計算するために使用される6つの高調波
  • NSDを計算するために使用される基本周波数に隣接する周波数の信号

測定事例

以下の測定条件でインピーダンス測定を行い、その際のa)ナイキスト線図およびb)応答電圧のNSDを示します。約1Hz以下の周波数でNSDが上昇しており、-20mA(青色)では15mHz、-25mA(赤色)では50mHzでNSDは5%を超えます。電流値の増加に伴いNSDも増加しており、これは測定系が時間とともにより急速に変化しているからだと考えられます。

b)応答電圧のNSD

a)ナイキスト線図

測定条件

  • サンプル  :リチウムイオン二次電池(18650型)
  • 測定条件  :電流制御でのインピーダンス測定
  • 放電電流  :-20mA(青色)、-25mA(赤色)
  • 振幅電流  :10mA
  • 周波数範囲 :10mHz~100kHz

Bio-Logicの優位性③

インピーダンス測定でのターミネーション機能

3Dインピーダンス法を用いて充放電中のインピーダンス解析を行う際には、充電・放電電流に交流信号を重畳させ、充放電測定の設定電圧値までインピーダンス測定を繰り返し行います。EC-Labソフトウェアではインピーダンス測定の設定項目に終了機能(Limits)が追加され、インピーダンス測定中に設定された時間・電圧などで測定を終了し、次の測定シーケンスに移行することができます。これにより、3Dインピーダンス法を用いた充放電サイクルを行うことができます。