電気化学ソリューションマガジン Vol.06

電気化学測定法-CV(サイクリックボルタンメトリー)3.測定事例

平素は弊社製品をご愛顧いただき誠にありがとうございます。
理化学計測部 電気化学チーム マーケティング担当です。

日に日に変わる社会の状況とそれに伴い生活の変化適応するのが大変な毎日ですが、みなさまは"新しい生活様式"に慣れてきたでしょうか?
先日、都内の家電量販店にオンライン会議用のヘッドセットを購入しに行きましたが、テレワーク用の特設コーナーの多くの商品が売り切れていて大変驚きました!
弊社でもお客様との打ち合わせをオンラインで行う機会が増えていますが、対面と異なり、なんとなくぎこちない雰囲気になるときがあります。
新しい働き方が当たり前になってきているのを感じながらも、私が対面と同じ感覚でオンライン営業を出来るようになるにはまだまだ時間がかかりそうです……。

さて今回は、電気化学計測の汎用テクニックであるCV(サイクリックボルタンメトリー)に関する紹介の第3 回目となります。
今回は、アプリケーション例を中心にご案内いたします。

1.電気化学測定法-CV(サイクリックボルタンメトリー)3.測定事例

前号ではCV 測定の結果から、どのような反応系かを(主に可逆性において)推測できるという内容でし た。
ただ、研究においてCV がメインになる、或いはCV だけで完結することは比較的稀で、他の測定テクニックと組み合わせて行うことが多いと思います。あらゆる電気化学の研究で用いられるCV ですが、ここではその使用例をいくつかアプリケーション別に紹介します。

電気化学ソリューションマガジン Vol.05

≪電池≫

  • リチウムイオン電池などに使用する有機電解液や固体電解質の電位窓・分解電圧測定
    • 固体電解質の分解電圧は2 極でも測定できるが、正確な測定は3 電極系で行われる。作用極,参照極は金属Li、対極はAu などの構成で、電位の掃引速度は数mV/s 程度でやや遅めに設定し、-0.5~+6.0V vs. Li/Li+程度でCV 測定すれば、多くの電解質の安定な電位範囲を確認できる。
  • 正極活物質の評価
    • LiCoO2 などの正極活物質は、例えば以下のような3 極式(あるいは2 極)を構成して、CV 測定によって評価されている。
      作用極が評価対象のLiCoO2 ほか、参照極,と対極にLi 金属を用い、1M LiPF6 などの電解質を含むEC-DMC 混合溶媒などの電解液でCV 測定を行う。実際は電極反応や溶液中の抵抗増による分極や、電極内のリチウムイオンの拡散の影響が現れるため、 掃引速度を通常よりも遅く(1mV/s 以下など)して、分極や拡散の影響をなるべく抑えて測定することが望ましい。
      電池を組んで測定を行うより、活物質の単粒子や薄膜でCV 測定を行うほうがより電極材料の評価もしやすいためそのような測定を行う場合もある。

BioLogic 社の充放電システムでは、充放電試験だけでなくCV 測定も標準で使用できます。オプションでインピーダンス測定も可能なため、1 台で電池の一連の電気化学的な評価を行うことができ、セルの接続を変えたり移動したりする手間も削減できます。

BioLogic 社製充放電システム

≪燃料電池≫

  • 燃料電池に使用する白金触媒の有効表面積(ECA)の算出
    • 0.4 V. vs. RHEよりも負側あたりに現れる水素吸脱着によるCV波形と、電気二重層容量による電流プロットを水平に延長した線、これらで囲まれる領域の積分値(電荷量)を、210 C/cm2で除することでECAが求まる。このECAをもとに、一酸化炭素COを添加した場合の吸着量も、表面積(電荷量)の減少から見積もることが可能。
ECA 算出の詳細

≪バイオ・分析≫

  • 血糖や尿酸などのバイオセンサー開発
    • 測定対象の生体関連物質に合わせ、選択性や感度を高めた修飾電極などを作用電極(センサー)として用いる。
      この作用電極によるCV 測定で得られた酸化もしくは還元によるピーク電流値と濃度の関係より検量線を作成してセンサーとする。医療現場ほか様々な場面で各種電気化学センサーが活躍している。
  • 抗酸化剤の定量
    • 食品を始め、化粧品や医薬品などにも用いられている、電気化学的に活性なアスコルビン酸やポリフェノール類などを対象に測定。
  • 酸化還元酵素など生体関連分子の反応系の評価
    • 生体内の反応の多くは電子移動が関わるため電気化学的な評価が可能。CVは酸化還元電位、電極反応速度、反応電子数、拡散係数の算出に応用されている。
  • 水質分析における遷移金属イオンなどの定量
    • より高感度に測定を行う際には別の電気化学測定テクニックもよく用いられる。

≪腐食・めっき≫

  • ステンレス鋼などの不働態皮膜の評価
    • >CVにより電位変化による皮膜の形成、破壊、再形成などの挙動を考察可能。
  • めっき液に用いる抑制剤や光沢剤のような有機添加剤の評価や定量
    • CVの応用テクニックでCVS法(Cyclic Voltammetry Stripping)が有名。
      CVS法は、めっき液中でのCV測定によって、作用電極表面にめっきされる金属を析出、または剥離(溶出)させて、添加剤の影響などを評価する手法。
      作用電極を回転させることで新鮮なめっき液をバルクから電極表面へ供給できるようにもする。

≪物理電気化学≫

  • 電気二重層容量の推定詳細
  • 有機化合物の電子移動過程の推定
    • ピークの数や形状から何電子反応かなどを推定
  • 液液界面イオン移動ボルタンメトリー
    • 水溶液と有機溶媒の界面に電位差を与え、界面を移動するイオンの量に伴う電流として測定する手法。
      酸化/還元しづらいイオンでも電気化学的評価が可能等の特徴もある。リン脂質単分子膜を油水界面とすることで、細胞膜を模擬したイオンの挙動などに応用されることもある。

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4.あとがき

今号を含め3回にわたって、CV(サイクリックボルタンメトリー)測定の基本というテーマでご紹介をさせていただきました。 メインテーマとしてのCVの解説は一区切りとなりますが、CVは本当に汎用性が高い手法なので、今後も触れる機会があるかもしれません。
次回はCV以外の電気化学測定テクニックについてご紹介する予定です。

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