部の始まり
今から30年以上前の通信自由化が実施された頃、“通信回線”といえば固定電話をつなぐ電話回線のみでした。その後パソコンが登場して、データ通信やインターネットが利用できるようになりました。このパソコンがビジネスシーンに登場したのも同じ頃です。OSはマイクロソフト社のMS-DOS、CPUはインテル社のIntel 8086が主流で、まだとても高価なものでした。時を同じくして、 1987年頃、当社のデータ通信営業部(現在の情報通信システムソリューション部)は、モデムの評価装置、ISDN/フレームリレー解析装置、ATM試験機(∗写真1)、そしてOSI7階層のプロトコル解析で世界初のLANプロトコルアナライザ「スニファー(Sniffer)」(∗写真2)を他社に先駆けて国内に紹介し、ネットワーク・通信市場に本格参入いたしました。
∗写真1
ATM(非同期転送モード)を評価・導通試験する試験機「AX/4000シリーズ」
∗写真2
LANのプロトコルをOSI7階層モデルで解析するLANプロトコルアナライザ「スニファー」
ICTの変遷
ICT(情報通信技術)革命が急速に進展する約10年前の1993年、携帯電話(PHSを含む)の国内普及率は1.7%でした。それがITバブルの2000年頃になると50%を超え、2005年には75%を超えるまでになりました 1)。同s時にブロードバンドネットワークの拡充に伴い、インターネットがとても身近なものになりました。
この市場ニーズに合わせて、携帯電話のフェージングシミュレータが当部の製品ラインアップに加わりました。そして、市場ではトリプルプレイ(音声、映像、データ通信のIP化)という言葉も登場し、大手キャリアによるサービスのIP化が加速。この時期に、当社が20年以上代理店をしているSpirent社の、機能拡張性・高速性を備えた次世代IPテスタ「TestCenter」を発売しました。また、ECビジネスのスタート・普及に合わせて、Spirent社の「Avalanche」というWebサイトへの同時アクセスを検証する負荷試験製品も市場へ投入しました。このように、2000年代の前半はICTの大きな変革があった時期で、当部も取り扱い製品を増やしました。
スマートフォン革命
∗写真3
数年前、あるイベントに集まる人々の様子
携帯電話の普及率が90%を超え、これ以上成長の余地も少なくなった2010年頃から急速に普及したスマートフォン。2010年に9.7%だった普及率は、たった3年で62.6%、と全携帯電話市場の半数を超え、急速に身近なモバイルITツールとなりました 2)。
写真3は数年前のイベントに集まる人々を撮影した写真です。人々がスマートフォンで写真や動画を撮っています。 10年前には想像できなかった、ICTが生活を大きく変えた象徴的な風景です。
モバイル端末が単なる通話機から、デジタルカメラ・ビデオ・パソコン・ボイスレコーダ・ゲーム機などさまざまな電子機器の機能を持つツールへと進化し、インターネットが生活に不可欠なインフラとなった今、“はかる”ニーズやお客様の期待も大きく変わりました。より高速なネットワーク試験、より多様なアプリケーション試験、そして通信事業のお客様の商用ネットワークを使った実証試験や実際の運用に対応したり、仮想環境という新しいインフラサービスを縁の下で支える運用・管理・トラブルシューティングツールを提供したり、と時代の変化に対応し、常に新しい視点で製品を見つけ出しお客様に紹介・提供しています。2000年頃、当社が販売していた代表的な製品が「SmartBits 200」(∗写真4)、「ClearSight」(∗写真5)です。
∗写真4
イーサネット通信のビットエラーを検出・評価するパケットジェネレータ「SmartBits 200」
∗写真5
ポータブルでのラダー解析を実現したイーサネットのプロトコル解析装置「ClearSight」
そして今
∗写真6
400Gイーサネット高速通信用負荷試験装置「Spirent TestCenter」
2018年、東京オリンピックが2年後に迫った現在。400Gイーサネットという超高速通信の時代が目前になりました。企業はクラウドサービスを利用し、ますます設備の効率利用を推進しています。2017年には、海外からの訪日客は3,000万人目前にまで増え 3)、それに伴い公衆無線LAN(Wi-Fi)の整備も加速しています。
また、政府の働き方改革の下、各企業は限られたリソースを最大限に活用するために、各種自動ロボットや人工知能の利用を促進しなければなりません。このように、時代はICT基盤を活用した変換点を迎えています。400Gの超高速イーサネットの開発・評価試験システム(∗写真6)、5G無線通信シミュレータ・基地局試験装置、そして仮想環境における監視ソリューション(∗写真7)、さらに、自社開発製品で100Gbpsの高速でパケットキャプチャでき大容量ストレージを持つ第三世代のパケットキャプチャ /解析システム(∗写真8)と、優れた目利き力で時代を先取りした製品を提供し、お客様への貢献を続けてまいります。
202X年に向けて
ICTは、今後も大きな変革と共に我々の生活をより良い方向にドライブするでしょう。次世代無線通信技術(5G)の登場、つながるクルマや自動運転技術の実用化、フィンテックによる金融トレードの高速化、8K映像放送技術による大容量データ転送化、オリンピックスタジアムやスポーツアリーナの公衆無線通信を利用したデジタルメディアの推進、と身近なところでたくさんの新しいサービスの登場が期待されています。
当部は、お客様が期待する目利きした商材をは提供しつづけて参ります。
1) 出典:総務省。情報通信統計データベース「携帯電話・PHSの加入契約数の推移」
2) 出典:総務省。平成27年7月17日「平成26年通信利用動向調査の結果」
3) 出典:日本政府観光局(JNTO)。統計データ(訪日外国人・出国日本人)「国籍/月別 訪日外客数(2003年~2018年)・2017年 訪日外客数(総数)」
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