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クラウド・仮想化:NFVについて

NFVとは

NFV (Network Functions Virtualisation)とは、従来ハードウェアとソフトウェアが一体化した専用アプライアンスとして提供されていたネットワーク装置を、仮想化技術をベースに汎用サーバ上でのソフトウェアで実現しようという取り組みです。ハードウェアとソフトウェアを分離することによって、次のようなメリットが期待されています。

  • 柔軟なスケーリング
  • 迅速なサービス提供
  • ハイアベイラビリティ
  • ピーク負荷の円滑化

ETSI NFV ISGの活動

NFVは欧州電気通信標準化機構 (ETSI: European Telecommunications Standards Institute)に属するNFV ISG (Industry Specification Group)で標準化が進められています。
2013年から公式な活動が始まったETSI NFV ISGですが、その活動は2年間のフェーズとして区切られ、それぞれのフェーズで成果を挙げています。

1) フェーズ1:2013~2014年

この期間はETSI NFV ISGの活動初期ですが、市場調査や要求事項の確認に重点が置かれました。フェーズ1では次のようなドキュメントが公開されました。
  • ユースケース
  • フレームワーク
  • コンセプトと用語
  • 要求仕様

これらの活動を通して、ETSI NFV ISGは大きく注目を集めることとなりました。

2) フェーズ2:2015~2016年

フェーズ2ではETSI NFV ISG内のワーキンググループが再構成され、より詳細なインタフェースや標準仕様の作成を目指した活動が行われました。多くのドキュメントや標準スペックが新たに公開されましたが、ドキュメントやスペックの概要はこちら(英文)pdf_logo_21x24.pngからも参照できます。

3) フェーズ3:2017~2018年

NFVはマルチベンダ環境で動作するケースが多く想定されるため、異なるベンダ間での相互接続性は従来のネットワーク以上に重要となります。 そのニーズに応えるため、フェーズ3ではETSI NFV ISGが主催し各社がプログラムを持ち込んで試験を行う相互接続イベント (プラグテスト) が実施されました。2018年10月時点では、3つのプラグテストレポートが公開されています。

このように市場調査や要求事項の確認から標準化および初期のPOC、そして相互接続イベントとETSI NFV ISGの活動は順調に進化を続けています。
なおETSIは欧州の組織となるため、ETSI NFV ISGのドキュメント上では仮想化のスペルもアメリカ英語で一般的に用いられる"Virtualization"ではなく、イギリス英語の"Virtualisation"が用いられています。

NFVのフレームワーク

ETSI NFV ISGではフレームワークと用語が定義されています。
NFV_zu1.png
図1. NFVリファレンス・フレームワーク
  • VNF: Virtual Network Function
    VNFはその名の通りネットワーク機能を仮想化したものとなります。従来ルータやファイアウォールなど専用シャーシやアプライアンスとして動作していたネットワーク装置を、仮想化基盤上でソフトウェアとして動作するものとなります。
  • NFVi: NFV Infrastructure
    NFViはVNFが動作する仮想化基盤を指しています。通常はHypervisorが動作するサーバやサーバリソースが該当します。
  • NFV MANO: NFV Management and Orchestration
    NFV MANOはVNFやNFViのリソース管理やオーケストレーション機能を有します。またOSS/BSSと連携し、通信サービスを円滑に提供する仕組みも盛り込まれます。NFV MANOはさらにNFVO (NFV Orchestrator)、VNFM (VNF Manager)、VIM (Virtual Infrastructure Manager)の3つに機能に分割されます。

それぞれの用語を深く知る必要はありませんが、概要を把握することでNFVに対する理解がより深まります

NFVのユースケース

ETSI NFV ISGでは想定されるユースケースをドキュメント: GR NFV 001として公開しています。
最初の公開は2013年10月ですが、その後も改定が続けられています。2017年5月に公開されたV1.2.1では、計15のユースケースが紹介されています。
ETSI GR NFV 001【V1.2.1】(英文)pdf_logo_21x24.png

2017年2月には、次世代のモバイル技術である5Gをサービス提供するオペレータの立場でのホワイトペーパが発行されています。5Gを実現するための鍵となる技術の一つとして、NFVは位置づけられています。

White Paper on NFV priorities for 5G (英文)pdf_logo_21x24.png

NFVのテストケース

ETSI NFV ISGでは先に紹介したプラグテストの実施のほかに、テストに関するガイドラインやスペックを作成し公開しています。

TST 007: Guidelines on Interoperability Testing for MANO (英文)pdf_logo_21x24.png

TST 007はMANOの相互接続テストに関するガイドラインとなり、VIM、VNFM、EM/VNFおよびNFVO間の相互接続テストについてまとめられています。

TST 009: Specification of Networking Benchmarks and Measurement Methods for NFVI (英文)pdf_logo_21x24.png

TST 009はNFViのベンチマークと測定手法に関するスペックとなります。
このスペックでは、NFViのパフォーマンスやスケーラビリティをテストするためのベンチマークを規定しています。従来のネットワークは専用アプライアンスで構築され、パフォーマンスやスケーラビリティがある程度一定の水準を保つことが出来ていました。NFVでは事前の検討や設計が十分でないと、パフォーマンスにゆらぎが生じてサービス品質が保てない場合があります。
TST 009では標準的なNFViのベンチマークトポロジとして、次のように記載されています。

NFV_zu2.png

図2. 標準的なNFViベンチマークトポロジ (ベースライン/シングルVNF)

NFV_zu3.png

図3. 標準的なNFViベンチマークトポロジ (マルチVNF)

また従来からネットワークのベンチマークとして行われてきたスループット試験やレイテンシ試験に加えて、次の2つの試験が新たに提案されています。

  • Delay Variation (遅延のゆらぎ)
  • Loss (フレームロス)

どちらの試験もNFV特有のパフォーマンスのゆらぎを考慮した内容となります。

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