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従来の胸部X 線画像のその先へ 画像処理で拓くさらなる可能性


はじめに


胸部X線画像、俗にいうレントゲン写真ですが、誰しも1 度はその検査を受診したことがあるでしょう。我々にとってとても身近な検査です。  図1:胸部X 線画像例その検査によって得られる胸部X線画像からは様々な病気を発見することができます。胸部X 線画像は元々結核を予防するために撮影されてきたものですが、現在ではその様相が変わり、定期的な健康診断の他、特定の病気にかかっているかを調べる検診等で使用されています。その例の1つが「がん検診」です。特に肺がんに対する検診において胸部X線撮影は必須とされています。肺がんは日本人男性の死亡率が国内トップであり、その死亡者数は年間およそ50,000人と考えられ、その数は年々増えています。肺がんはその病気の度合いが      第1期~第4期まで分かれており、第1期に発見することができればその5年生存率は約7割と言われています。つまり早いステージで肺がんを発見できればそれに応じた対策をとることができます。その為にもいかに肺がんを早期に発見できるかが鍵になります。                                                              図1:胸部X 線画像例
                                                                  
進む院内フィルムレス

病気の早期発見の1つの方法に画像診断という方法があります。これは体の内部を目に見える画像という形で表示し、それを見て病気かどうかを判断する、というものです。画像診断というとレントゲンフィルムをシャウカステンと呼ばれるライトボックスにかけて検討を重ねる医師の姿を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。現在ではこのレントゲン写真は電子データに置き換わり、シャウカステンの代わりには医用画像診断用の高輝度モニタが使用されます。また従来のレントゲンフィルムはこれまで患者さん毎に封筒に入れて院内のフィルム倉庫に保管されていることが一般的でした。現在では医用画像サーバに電子データとして格納され、病院内のネットワークを通じてあらゆる場所で画像を観察、確認することが可能になっています。当然ながら画像を生成する様々な検査装置もデジタル化されており、現在ではこのような背景の下、院内電子化、さらにはフィルムレス化が急速に進みつつあります。

撮影装置のデジタル化


風景や人物を撮影する一般的なカメラと同様に医療業界においても検査装置のデジタル化が急速に普及しています。胸部X線撮影においては人体を透過したX線を医療用フィルムで受け、それを現像して画像を作っていました。これが現在ではX 線の強弱をフィルムの代わりとなるIP(イメージングプレート)に記憶させ、それを読み取ることで画像を生成するCR(Computed Radiography)装置、さらにはX 線を直接検出することにより画像を生成するFPD(Flat Panel Detector)装置が一般的となり、その画像はデジタル化され、医療用モニタで観察されるようになりました。このモニタ上での診断はフィルムの時と比べ様々なメリットがあります。例えばモニタ診断では画像観察時に明るさやコントラストをリアルタイムに調整することができます。またフィルムを保管していたフィルム庫は不要となり、全て医用画像サーバに保管されることで物理的なスペースを削減することができます。もちろんデータ自体は時間経過による劣化もありません。

胸部X線画像読影

胸部X線検査は他と比較して検査時間が短く、さらに低被ばくという特徴から現在様々な目的で使用されています。しかしその簡便性とは裏腹にCT(コンピュータ断層撮影)やMR(I 核磁気共鳴撮影)に比べて画像から得られる情報量は限られています。そこから病気と思われる箇所(病変)を探していかなくてはなりません。それは非常に困難な作業であり、豊富な知識と経験が求められます。そのような中、胸部X線画像から病変を読み取ることを専門とする放射線専門医の数は年々減少しています。このような専門医の減少に対する解決策が待たれるところです。また胸部X線は先述の通り様々な場面で撮影され、用いられる検査であるがゆえに院内のすべての医師がかかわっていかなければなりません。多くの医師に対して診断を支援する画像やそれに関する技術が提供されれば、日々の診療に大きく貢献できることになります。

医師への読影支援

先に述べた通り、胸部X線画像は定期的な健康診断や特定疾患の検診、さらには院内における様々な機会で用いられています。対して「放射線専門医の減少」という背景において、どうすれば診療に携わる医師の支援ができるでしょうか。その答えの1つとして当社が展開しているのがClearRead シリーズです。ClearReadシリーズは日々の診療現場において撮影される胸部X線画像に対して、画像処理技術を通じて医師の業務を支援しようというものです。ClearReadシリーズは以下4製品があります。
● ClearRead BS
● ClearRead +Compare
● ClearRead +Confi rm
● ClearRead +Detect

ベース技術 ClearRead BS


ClearReadシリーズにおいて最も基本となる製品が骨組織透過ソリューションClearRead BSです。このClearRead BSは胸部X線画像における肋骨、鎖骨といった骨組織を画像処理によって透過させることにより、その骨組織に重なって見えづらかった異常陰影(病気と思われる部分)を見えやすくする、という技術です。この処理は専用の画像処理サーバを用いて全自動で実施され、診療に携わる方々の手を煩わせることがありません。また受診者の方に特別な負担を強いることもなく、普段のワークフローそのままで骨を透過させた画像を生成することが可能です。これにより異常陰影の発見に貢献することが期待でき、数多くの胸部X線検査を限られた人数で読影している健診施設を強力にバックアップします。
  
       図2:胸部X 線画像例                                図3:ClearRead BS画像例      

さらなる画像処理 +Compare、+Confirm


ClearReadシリーズはこのBSだけではありません。さらに3つの画像処理を加えることができます。
1つ目は胸部X線画像経時差分処理ソリューション ClearRead +Compareです。これは胸部X線画像上の骨組織を透過させるだけでなく、同じ受診者の方における今日の画像と過去の画像を重ね合わせ、その差をとることにより時間経過によって変化した部分をわかりやすくする、という技術です。例えば1年前は画像上から何も発見できなかった場合でもその1年後に病変が発見される、ということがあります。また既にある病変が時間経過により悪化する、逆に良くなっていく、といったように経時変化が発生した箇所を画像処理で強調する画像を生成します。医師はその変化部分に気づきやすくなりますので、それにより1枚の今回の画像だけを確認するよりもさらに精度よく病変、及びその変化をつかむことができます。数多くの受診者の画像を限られた時間で読影する必要がある健診業務で大きな力を発揮すると考えられています。
図4:胸部X 線現在画像例     
図4:胸部X 線現在画像例                                       図5:胸部X 線過去画像例

 



   図6:+Compareによる経時差分処理画像例
   図4、図5から骨組織を透過させた後2枚の画像を差分処理。








2つ目は骨組織透過と合わせて胸部X線画像上に映った医療用チューブ(栄養を送り込む管、カテーテルといったもの)を画像処理によって強調するClearRead+Confirmです。ICU(集中治療室)に入っている患者さんや入院している患者さんの中には医療用チューブを入れている方が多くいらっしゃいます。担当医師はそのような医療用チューブの位置を確認するため、日々胸部X線画像を撮影し、患者さんの状態を観察します。通常の胸部X線撮影と異なり、このようなケースではX線撮影室に赴くことができない患者さんが多いため、医療現場ではポータブルX線撮影装置(可搬性のあるX線撮影装置)が用いられます。このポータブルX線撮影装置はその装置の機構上通常の装置よりも淡い画像(全体的にコントラストが低い)になる傾向があります。その為医師は画像システム上で医療用チューブを見やすくするために画像の明るさやコントラストをマニュアルで調整する必要がありました。ClearRead +Confirmはこの手動による画質調整を画像処理によって実施します。骨を透過させ、かつ医療用チューブを強調してその位置確認を容易にすることで、確認にかかる時間を大幅に削減することができます。
図7:ポータブルX 線撮影装置による胸部X 線画像例        図8:ポータブルX 線撮影装置の +Confi rmによる強調処理例
 図7:ポータブルX 線撮影装置による胸部X 線画像例     図8:ポータブルX 線撮影装置の+Confi rmによる強調処理例

最後の3つ目は胸部X線画像に映っている結節(内臓にできる隆起物)を画像処理によって検出、その位置を表示するClearRead +Detectです。このような技術を広くCAD(Computer Aided
Detection:コンピュータ検出支援)と呼び、既にマンモグラフィ(乳房X線)画像に対するCADは国内外で実用化されています。胸部X線でもこのような検出支援を行うことができ、医師の読影、判断に役立てることができます。このClearRead +Detectは現在国内販売を開始していませんが、既に技術として完成されており、今後の展開が期待されます。

おわりに

今回ご紹介させていただいたClearRead シリーズは、医療機関における限られた医師数と膨大な数の撮影画像という背景のもとで、病気の早期発見、病変の検出、関心領域確認の支援といった要望に対し、様々なアプローチでこれからの医療を支える全く新しい技術です。当社としましては今後もこれまでにない新しい製品、技術を通じて国内の医療に貢献していきたいと考えています。
 

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アーカイブ

  • 胸部X線画像を巡る現在の問題点とその解決策の一つとしての最新画像処理技術

    国内の医療機関で日々撮影されている胸部X線画像。その読影に携わる医師が抱える現在の問題点、そしてその解決策の1つとして考えられるデジタルならではの画像処理技術について東京医科歯科大学の齋田先生にお話を伺いました。

  • ClearRead BSにおける胸部X線骨組織透過処理の動作原理

    胸部X線画像は多くの肺疾患の検出や診断に対して重要な役割を担っています。特にこの胸部X線画像上における結節(最大径3㎝以下の隆起)影の検出は肺が んの早期発見に貢献し、がんの進行を最前線で食い止めるための重要な防衛線と言えます。しかし結節影を検出する際、胸部X線画像上で結節影と肋骨・鎖骨等 骨組織とが重なり、検出が非常に困難になることがあります。

  • -わかりやすい胸部単純X線画像をめざして- 新しい画像処理技術によって拓かれる胸部画像診断

    ▽はじめに
    胸部画像診断と胸部単純X線写真の現状
    最近のデジタル画像処理技術進歩によって、胸部単純X線撮影が不得手としていた「小さいもの」「淡いもの」もかなり良好に検出されるようになって来ている。
    代表的な技術には①ダイナミックレンジ圧縮、②マルチ周波数処理、③経時的差分画像、
    ④仮想グリッド、⑤エネルギーサブトラクション法などがある。
    これらのいずれもが臨床的な有用性の高い技術であるが、中でも経時的差分画像(TS:Temporal Subtraction)は病変コントラストを明瞭にするためにはきわめて有用性が高い技術である。

  • -胸部単純X線画像の新たな展開- ClearRead BSによる骨除去画像の臨床的な有用性について

    ▽はじめに
    胸部画像診断と胸部単純X線写真の現状
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    胸部単純X線写真は胸部画像診断における重要度は従前ほど高くはないが、手軽に胸部病変を俯瞰できる点は臨床的に重要なため、現在でも必須の検査として使用されている。

  • 進化する乳腺画像診断 乳がんの早期発見

    進化する乳腺画像診断 乳がんの早期発見
    女性の8人に1人が乳がんになるといわれる米国などに比べ、日本は乳がんの少ない国といわれてきましたが、その状況もこのわずか10年ほどの間に大きく変 わり、日本人女性の乳がん罹患率(乳がんにかかる率)が急激に高まっています。10年前にはおよそ50人に1人とされていたものが、7~8年前は40人に 1人、ここ数年は30人に1人といわれ、最も新しい医療統計では、日本の女性18人に1人が乳がんにかかるとされています。

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