東陽テクニカ(液晶物性評価)

液晶物性評価システム LCE-X

液晶物性評価システム「LCE-X」は、液晶物性評価システム「6254型」及びTFT-LCD評価システム「LCM-3A型」の後継機種となります。電圧保持率、残留DC電圧及びイオン密度の測定を1台で行なえるシステムです。
同時測定の場合、最大8チャンネルまで拡張できますので、複数のサンプルを短時間に測定することが出来ます。一方、順次測定の場合、最大48チャンネルまで拡張できますので、大量のサンプルを測定する場合に効果的です。また、直流電圧印加モジュールを追加することで、実パネルでも電圧保持率やイオン密度の測定が可能になります。LCD材料の開発・品質管理、及び、LCDパネルの製造ライン立ち上げ・工程管理・不良解析の実現・歩留まり向上に寄与します。

LCE-Xでは従来の液晶物性評価システムのハードウエア及びソフトウエアを刷新しました。

  • 従来別々になっていた装置を統合し、All in Oneを実現。省スペース、コンパクトな形状
  • 電圧保持率の測定において、繰り返し精度を向上
  • イオン密度測定の測定周波数を0.001Hzまで拡張

を実現致しました。

株式会社東陽テクニカ 理化学計測部
phone03-3245-1103
Mail:keisoku[at]toyo.co.jp

特長

測定項目

  • 電圧保持率測定
  • イオン密度測定
  • 残留DC測定(印加波形に矩形波を重畳可能)

チャンネル数(モジュール数)

  • 同時測定:最大8CH(8モジュール)
  • 順次測定:最大48CH(3モジュール)
  • 実パネル用直流電源:最大8CH(1モジュール)
    なお、1台の装置には最大9モジュール実装可能

新規機能

  • All in Oneシステムにより省スペースで設置が可能
  • 電圧保持率測定での繰り返し精度の向上
  • イオン密度測定での測定周波数の拡大
  • 測定結果の自動保存機能の拡充

オプション

・恒温槽との連動(リモート制御可能、最大:1台)
・アンプ追加により、0~100V印加での測定可能
・お客様の液晶セルに合わせた特注サンプルホルダー

仕様

測定条件
電圧保持率 印加電圧 -10~10V
印加時間 10µ~10sec
開放時間 10µ~200sec
測定レンジ 10V,1V,100mV
測定サイクル数 1~10 Cycle
イオン密度 電圧振幅 0~10V
印加周波数 1m~20kHz
電流測定レンジ 1nA~10mA
測定サイクル数 1~10 Cycle
残留DC 印加電圧 -10~10V
印加時間 1~14,400sec
オフセット電圧 -10~10V
矩形波振幅電圧 -10~10V
(但し、オフセット電圧+矩形波電圧が
-10~10Vを超えない範囲)
矩形波周波数 10~240Hz
短絡時間 0.1~5sec
開放(測定)時間 1~3600sec

システム構成

構成機器

構成機器は下記の通りです。LCE-Xの筐体の中に、モジュール単位で任意波形発生ボード、インターフェースボード、アンプボード、スキャナボード、DCVボードを組み込みます。制御PCとはUSBケーブルにて通信を行います。測定用サンプルは恒温槽内に設置されたジグに接続します。恒温槽のリモート制御が必要な場合、GPIB-USBにて制御を行います。

同時測定

複数のサンプルを同時測定行う場合、下記の通りアンプボードを追加して、ジグと接続します。最大8CHまで増設が可能です。

順次測定

複数のサンプルを順次測定行う場合、下記の通り1枚のアンプボードに対して、16CH順次切り替えられるスキャナボードを追加します。
スキャナボードは3枚まで増設が可能で、最大48CHの測定が可能です。

TFT-LCDパネル測定

TFT-LCDパネルを測定する場合は、TFTのゲートやパネルのスイッチに電圧を印加する必要があります。LCE-XはDCVボードを追加することで、最大8CHまで、直流電圧(DCV)を印加することが可能です。

機能

電圧保持率(VHR)測定

電圧保持率(VHR)はLCDパネルの品質管理には最も有効で、一般的なパラメータです。
下図の様にパルスでサンプルセルに電圧を印加し、その後のオープン状態の電圧を計測。印加電圧と測定電圧の比を電圧保持率として測定・計算します。電圧保持率が大きいほど、サンプルセル内の不純物の量が少なく、高品質のパネルと言えます。


印加波形

測定波形

下記にLCE-Xにて測定した事例を示します。

イオン密度測定

イオン密度測定は、電圧保持率測定と同様、LCDパネルの品質管理に用いられるパラメータです。サンプルセル内の不純物イオンを電荷として検出し、液クロマトグラフィー等化学分析よりも高感度で検出することが可能です。下記に印加電圧波形とそれに対する測定電流値を記します。三角波の電圧を印加するとそれに対して電流が計測されます。サンプルセル内に不純物イオンが存在すると、セルの電極に不純物イオンが到達したときに電流として計測されます。電圧・電流にてグラフをプロットした場合、0V近傍にあるピークが不純物イオンとなります。ピークの大きさが大きいほど、不純物の量が大きく、不良が発生する可能性が高くなります。

(a)印加電圧の時間変化のグラフ (b)測定電流の時間変化のグラフ

電圧・電流グラフ

①: Resistance (R) of the LC cell
②: Capacitance (C) of the LC cell
③: Peak due to the director switching
④: Ion density
⑤: Ion mobility

尚、LCE-Xで測定したデータは下記の通りとなります。

残留DC電圧測定

残留DC測定はLCDパネルで問題になるフリッカの問題を解決するために提案されたパラメータです。フリッカが発生する主な要因として、LCDを構成する誘電体である液晶と配向膜の電圧印加後の緩和時間の差から発現すると考えられています。印加・測定波形は下記の通りとなります。高温下でDC電圧を印加し後、短時間ショートを行い、溜まった電荷を開放後、サンプルセル両端から発現する電圧を計測することで、緩和時間の差を計測します。

尚、LCE-Xで測定したデータは下記の通りとなります。

液晶が水平方向に駆動するサンプルセルを評価する場合、DC電圧にAC電圧を重畳して印加する方法が知られております。LCE-Xで測定したデータの一部が下記の通りとなります。