FAQ

燃料電池

燃料電池評価

ID.Q6

Q. 燃料ガスの加湿制御方法

A.


最近のFC評価装置の加湿方式としては、大きく「全量バブリング方式」と「Dry/Wetガス混合方式」の2つが主流となっています。
「全量バブリング方式」とは、加湿する際にすべてのガスを加湿器に通して加湿する方法で、加湿器の水温によって加湿水分量を制御する方式です。
全量バブリング方式では全ガスがバブラー加湿器を通り均一に加湿されるため、安定性・再現性は有利になります。しかし、加湿条件を変える際にバブラー内の水温を変える必要があるため、応答性では不利になります。流量を変えても同じ加湿条件が維持されるため運用は容易です。一般的なバブラーでは加熱機能しかないため、室温より下の露点の加湿は不可能です。また流量に応じて加湿器のサイズも大きくなるため、流量フルスケールに対して著しく小さい流量域では、バランスが崩れて加湿制御精度が落ちたり、条件を変更時のバブラーの気相部分の条件が整うまでの応答性も悪くなります。

「Dry/Wetガス混同方式」はバブリング方式で一定に加湿したガスとDryガスを混合して加湿水分量を増減させる方式になります。ガスの流量比を変えるだけで加湿水分量を変化できるため、露点変更の応答性は有利になります。
しかし、Dry/Wetガス混合方式の場合、Dryガス用/Wetガス用でMFCが2倍必要になる他、想定通りの加湿制御ができているか確認するためにインラインに露点計を入れたりする場合もあり、ガス配管の構造が複雑になり、価格面では不利になります。
また同じ加湿量のままでガス流量を変える場合、WetガスとDryガスの流量比を維持したまま変化させる必要があり、制御する相対湿度によっては1台のMFCで制御できる2~100%FSの範囲では賄えず、より低流量レンジのMFCを用意する必要もでてきてコストUPに繋がります。
Wetガス側の比率が小さくなり、加湿器容積に対してガス流量が小さくなりすぎると、全量バブリング方式より応答性が不利になる場合もあります。
これらのことから、Dry/Wetガス混合方式は限られたガス流量制御範囲では応答性の面で有利ですが、流量制御範囲を広くすると不利な面が増えていく加湿方式と言えます。
Dry/Wetガス混合方式は、FCVの実用に近い段階のFC評価装置や、動的条件での評価を重視する装置に採用される手法です。


東陽テクニカのFC評価装置では露点制御がシンプルな全量バブリング方式を標準採用し、範囲を伴う露点保証を行っています。応答性で課題となっていた加湿器水温下降についても、「加湿器急冷機能」オプションを搭載することで、昇温とほぼ同等の応答性を持たせられます。
また急冷機能を発展させて室温以下の露点制御を可能にした「低露点加湿機能」や、その機能を搭載した加湿器をWetガス制御に使ってDry/Wetガス混合方式を行うことによる「マイナス露点制御」も実現しています。

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