物性評価ソリューションマガジン Vol.09

Evico 社製「磁気光学 kerr 効果顕微鏡」のご紹介

平素より弊社製品をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
突然ですが、最近私が興味を持ったニュースは、6G(次世代高速通信規格:5G の 10 倍)の主要技術が 2025 年を目途に確立され、2030 年代の実用化を目指す、という総務省の発表です。
現段階の構想では対象エリアは地上のみならず、空(高度 10000m 内)や海上(200 海里内)も含まれた上で5G と比較してさらに低消費電力化・低コスト化がなされ、充電不要な端末や低価格ミリ波デバイスの登場も想定されているそうです。その時に社会はどのようになっているのでしょうか。
車両の通勤ラッシュ渋滞や満員電車は消滅しているかもしれませんし、"登校"や"出勤"の概念が根本から変わっているかもしれませんね。

さて、今月の製品紹介は、物性計測関連でここ数カ月お問い合わせが増えました、磁気光学 kerr 効果(MOKE)顕微鏡をご紹介いたします。

1.磁気光学 kerr 効果(MOKE)

まず、“kerr"は「カー」と読みます。kerr 効果はスコットランドの John Kerr が発見したといわれる現象です。
なお、Kerr さんは温度の K 単位で有名な Kelvin 卿 = William Thomson と親友だったそうです。
kerr 効果には、電気光学 kerr(一般的な kerr)と磁気光学 kerr(MOKE:Magnetic-optocal Kerr Effect)の 2 種がありますが、弊社取り扱い品は MOKE を測定することで微細な(最高画像分解能 300nm)試料表面の磁化や磁区の状態を画像観察したり、磁気(磁化)ヒステリシスも測定することができる顕微鏡です。
MOKE は光の磁場による偏光現象の一つで、磁化している材料表面に光を当てると反射光が偏光(楕円偏光)する現象で、同じ偏光現象である Faraday 効果の反射光版とも言えます。MOKE 顕微鏡は、光の波長依存性があるこの偏光現象を CCD カメラで測定し、画像化・数値化しています。

MOKE は 1990 年代~2000 年代前半、特に日本で利用されたMO/MD ディスクのデータ読み出しに使用されました。MO/MD は、個人的には CD(-R/-RW)よりもコンパクトだったのと、書き込み/消去が当時の CD より速かったのが良かったです。しかし SSD やデータのデジタル配信全盛の現代では光学メディアの勢いは縮小気味ですね。

MOKE 測定では、大きく分けて極 kerr と縦 kerr、横 kerr の 3 つの測定があります。
印加磁場の角度依存性が測定される場合もあります。

 

  • 極 kerr:試料表面(反射面)に対して面直方向に磁化している(磁場をかけた)場合
  • 縦 kerr:試料表面に対して面内方向かつ入射・反射光の試料表面に対する射影(影)と同じ向きに磁化している(磁場をかけた)場合
  • 横 kerr:試料表面に対して面内方向かつ入射・反射光の試料表面に対する射影に垂直に磁化している(磁場をかけた)場合
製品詳細
 

2.evico magnetics GmbH(evico 社)について

弊社が取り扱っている MOKE 顕微鏡は evico magnetics GmbH 製です。
evico 社は IFW Dresden(ライプニッツ固体材料研究所:ライプニッツ協会の一員)からスピンオフして設立された企業で、MOKE 顕微鏡を主力商品としています。所在地のドレスデンはドイツ東部の主要都市の一つで、学術・文化・芸術の街であり、現在は工業(自動車(VW 社工場)・半導体)も盛んな街です。陶磁器で有名なマイセンにも近いです。
森鴎外はドイツ留学時、ドレスデンにも滞在し、その時の体験を基に執筆した『文づかひ』はベルリンが舞台の『舞姫』、ミュンヘンを舞台とした『うたかたの記』と共にドイツ三部作として今もなお有名です。

エビコマグネティクス社 取り扱い一覧
 

3.磁気光学 kerr 効果(MOKE)顕微鏡

evico 社の MOKE 顕微鏡は Schafer 資格教授・博士と McCord 教授・博士によって開発されています。 Schafer 資格教授・博士は "Magnetic Domains - The Analysis of Magnetic Microstructures -"の共著者です。

顕微鏡は Carl Zeiss 社製品をベースにしており、彼らの長年の研究ノウハウによる機材と解析技術を搭載することで可能となった業界最高レベルの画像分解能 300nm を実現しています。リアルタイム差分画像処理の他、対物レンズのファラデー効果をPC で補償する技術も搭載されています。
また、アプリケーション毎の表面磁化観察に最適な手法を実現するための豊富なオプションが特徴で、ベースシステムに取り付けるオプションを交換/追加することで1システムで様々な材料・アプリケーションにコンパクトに対応できます。
ベースシステムは以下の 2 種です。

■標準システム
高解像度イメージングに適しています。観察スポットサイズは約 100μm~5mm で、最大移動可能試料範囲は φ28mm です。
面内磁場の 360°回転が可能で、電磁石は面内方向で最大 1.4T まで印加可能です。
■コンバインドシステム
広視野(スポットサイズ:30mm 角~8mm 角)の低分解能システムと高分解能システム(スポットサイズや分解能は標準システムと同じ)を切り替えることが可能です。
最大移動可能試料範囲や面内磁場回転は標準システムと同様です。

現在ご紹介できる主要オプションは以下の通りですが、その他オプション(ハイスピードカメラ・3inch ウェハ対応など)や開発中のオプションもございますので、お問い合わせいただければと思います。

  • 4 重極磁石
  • 垂直磁場用電磁石/コイル
  • クライオステージ:4.2~325K(典型値)
  • 加熱ステージ:300~890K(典型値)
  • シングルシート磁石:電磁鋼板やアモルファス試料、ナノリボン向け
    30×300mm の試料サイズ対応、100MPa までの引っ張り応力印加にも対応可能
  • DOMMIS ソフト:FeSi 鋼の粒子配向角度の半自動測定

製品詳細

 

4. オンラインストアのご案内

みなさまからご好評をいただいておりますオンラインストアは年中無休で稼働しております。
弊社在庫品は標準納期 5 営業日以内、メーカ手配品についても標準納期を記載しており、見積書の取得からご発注まで、サイト上で一貫して手続き可能で、ご利用は無料です。
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