低温測定

極低温プローバー全般に関するFAQ

Qプローバーの真空チャンバー窓部分に結露が発生するのは正常ですか?

A

サンプルステージからの放射冷却により真空チャンバーの窓が冷やされ水蒸気が結露する可能性があります。特に湿度の高い環境では、低温での測定中に観察窓の外側に結露が生じる可能性があります。過度の結露はプロービングを困難にする可能性があり、窓をクリーニングするか、曇り止め処理する必要があるかと存じます。ただし窓や蓋に霜が生じる場合は、チャンバー内の真空レベルが高すぎる可能性があり、真空ポンプまたはチャンバーの真空シールに問題がある可能性を示しています。

回答を閉じる

Qサンプルステージのクリーニング方法を教えてください

A

サンプルステージのクリーニング方法については、ステージ上で何が使用されたかによって異なります。ステージの金メッキが剥がれてしまうため、研磨剤を使用したり、ステージを擦らないでください。ほとんどの接着剤は、アセトンを塗布した柔らかい布で落とし、イソプロピルアルコールですすぐことができます。
アピエゾンNグリースはアルコールやアセトンに溶けないため、キシレンで取り除く必要があります。VGE7031ワニスを使用した場合は、サンプルを取り外し、サンプルステージをエタノールとトルエンが1:1の溶液に浸して洗浄できます。

回答を閉じる

Qプローバーでの微小電流測定に同軸ケーブルは使用できますか?

A

微小電流測定の場合、同軸ケーブルではリーク電流が発生する可能性があり推奨されません。一方、トライアキシャルケーブルを使うと微小電流測定のために、プローブアームのフィードスルーとケーブル、およびプローブチップがプローブ先端に対して完全にガードされるため、リーク電流を除去できます。

回答を閉じる

Qプローバーの温度を変化させるたびにプローブを持ち上げて、改めて接触する必要があるのはなぜですか?

A

サンプルステージの温度が大幅に上昇すると熱膨張により、接触していたプローブ先端が電極から離れるほど移動する可能性があります。例えば4.2 Kから室温に温めると、プローブは400μmほど動くことがあります。そこでこの問題を解消する製品としてレイクショア社のCVT(フレキシブル)プローブがございます。CVTプローブは熱膨張や熱収縮によるアームの長さの変化を吸収するように設計され、温度を変化させても接触位置を保持できるようになりました。

回答を閉じる

Qサンプルステージの選択する時、グランドタイプと絶縁タイプはどのように使い分けたら良いのでしょうか?

A

LakeShore社プローブステーションにおける代表的なサンプルステージとしてグランドタイプと絶縁タイプがあります。
絶縁タイプのサンプルステージは、チャンバーのグランドとサンプルを絶縁します。不純物をドープした半導体ウエハーのように、チャンバーへのリークを防ぎたいサンプルの測定に推奨されます。
対照的に、LakeShore社各プローブステーションに標準で付属しているグランドステージはより一般的な測定用です。特にサンプルが絶縁性の高い基板上にある場合は、幅広いアプリケーションに適合します。このステージはサンプルの裏面がシステムアースに保持されているためグランドステージと呼ばれます。

回答を閉じる

Qプローバー使用時、室温から4.3 Kまでどのくらいの時間で冷却できますか?

A

製品によって異なりますが、レイクショアのCPX(冷媒フロー方式)では、実際に室温からベース温度まで約75分で冷却可能です。同じくCPXでベース温度から室温への昇温には約70分を要します。大きなシステムではもう少し時間がかかります。例えば垂直磁場印加のシステムでは、磁石の熱容量により冷却、昇温に少し余計に時間を要します。

回答を閉じる

Qサンプルにプローブをコンタクトさせる手順について教えてください

A

システムを冷却・昇温する前、真空引きをする前、またはプローブを移動するときは、必ずプローブの先端を持ち上げてください。その後、次の手順に従ってプローブを操作しサンプルにコンタクトさせてください。

1.顕微鏡を観察窓から遠ざけます。
2. Z軸のマイクロメータを使用して、すべてのプローブをサンプルから3~4 mm上に上げます。
(これによりプローブ先端やサンプル表面の損傷を防ぎます。)
3. X軸とY軸のマイクロメータを使用して、プローブ先端を接触面の上に配置します。
4.顕微鏡を観察窓上に戻します。
5.顕微鏡を調整して、接触面に焦点を合わせます。
6. Z軸マイクロメータを使用して、プローブ先端に焦点が合い始めるまで移動します。
(この時点で先端はサンプルから30~60μm離します。)
7.プローブをゆっくりと下げ、先端が接触面の外側の端に接触するようにします。
8.接触したら(スケートと呼ばれる先端の前進が見られたら)、一定の長さ先端が接触面上でスケートするまで下げ続けます。
スケートの一般的な長さは20~25μmで、Z軸マイクロメータのハンドダイヤルの2目盛り分とほぼ同じです。

回答を閉じる

Qプローブステーションでの測定においてサンプルの電極がデリケートな場合、いくつかあるプローブチップのうちどの材料が最適ですか?

A

LakeShore社プローブステーションのプローブチップには3種類の材料がございます。金のように繊細または柔らかい材料の電極には、ベリリウム銅(BeCu)をお勧めします。
ベリリウム銅は最も柔らかいプローブチップ材料であり、接触抵抗と接触面の変形を低減します。ただしベリリウム銅は時間が経つにつれて酸化してしまうため、接触抵抗が大きくなってしまう可能性があります。このプローブ材料のメンテナンスについてはマニュアルを参照してください。
また、ベリリウム銅は、標準のDC / RFプローブとフレキシブル(CVT)プローブの両方で選択できます。

一方、アルミニウム、高融点金属、およびその他酸化層を生成する材料に対するコンタクトには、タングステンプローブが適しています。表面の硬い酸化膜を貫通し下にある層と電気的に接触しやすく、柔らかいプローブ材料より性能低下が緩やかです。ただしタングステンのCVTプローブは接触する圧力が弱わく絶縁層を貫通することが難しい場合があるので酸化したアルミニウムのような接触面には推奨されません。
ベリリウム銅とタングステンの中間にあたるプローブチップ材料がパリネイです。パリネイは接触抵抗が小さく、やや強い材料です。また反応性が最も低く、特に高温でも酸化物を形成しにくい材料です。

回答を閉じる

QCPXおよびCRXのプローバーで、ヘリウム温度への冷却中にデリケートなサンプル表面への汚染を回避する方法はありますか?

A

サンプルを汚染する主な原因は真空引きしても残留してしまうガスや水分です。ヘリウム温度下で測定する場合は、チャンバー内に残留ガスは最も冷たい部分の表面で凝固・凍結します。通常の操作では、サンプルステージが最も速く冷却されることが多く、この部分に残留ガスの凝固・凍結が発生します。
プローバー冷却中にサンプルステージを室温に維持することで、サンプルの汚染を回避できます。この方法によりサンプルの結露を最小限に抑えることができ、表面がデリケートなサンプルの測定や、接触抵抗を小さく維持して測定したい場合に効果があります。
具体的には、サンプルステージ以外の部分が冷えるきるまでの間、サンプルステージを室温程度に保ちます。この時チャンバー内の残留ガスは4 Kシールドステージで凝縮します。この手順はプローバーのマニュアルにも記載されています。

回答を閉じる

Q垂直磁場印加プローバーのサンプルステージ全体の磁場均一性は?

A

CPX-VFおよびCRX-VFの磁場均一性(または不均一性)は、直径10mmで0.5%、直径25 mmで1%です。磁場均一性プロットを確認したい方のために、レイクショア社はCPX-VF、CRX-VFのグランドサンプルホルダー上または1 mm上の磁場のパーセント偏差の垂直磁場(Bz)のコンタープロットのご提供が可能です。

回答を閉じる

QCRX-6.5K使用時のステージにおける熱の均一性について

Q
LakeShore社製CRX-6.5Kを使用して低温での半導体デバイスの特性を測定する場合、付属品のステージ上にサンプルをただ載せるだけよりもグリス等を使用し、凹凸を埋めるようにした方がサンプルの面内での熱の均一性は取れるのでしょうか?
A
凹凸のあるステージが実際に測定結果に悪い影響を与えるかどうかは、何ケルビンの温度むらが許容できるか、観察窓からの入射熱量、サンプルの厚さ、サンプルの熱伝導率、サンプルと試料台の凸部の熱接触、サンプルと凹部の熱接触といった要素を合わせて考える必要があります。いろいろな対策が考えられますが、手っ取り早く温度むらを改善したい場合はサンプルと試料台のあいだに温度むらを解消するのに十分な厚さの金属の板を挿入して、そして互いにアピエゾングリスなどで熱的に結合するという方法がよいだろうと思います。アピエゾングリスは薄く塗らないと熱を伝えてくれませんので溝を埋めても改善は期待できません。

回答を閉じる

Q100mK以下の極低温で実験する際に熱の流入をなるべく避けたいと思いますが、インシュレーターの必要性は冷凍機によって変わるものでしょうか

Q

インシュレーター希釈冷凍機では銅製の熱シールドを巻いていたものを以前使用していましたが、某冷凍機メーカーを使用した際はステンレス製と思われる熱シールドのみでした。100mK以下の極低温で実験する際に熱の流入をなるべく避けたいと思いますが、インシュレーターの必要性は冷あ凍機によって変わるものでしょうか。

A
 

(1)ステンレス製の熱シールドについて

極低温でのステンレスの熱伝導率は銅の0.1%しかありません。そういう材料を放射シールドに採用することは稀です。推測ではありますが、某冷凍機メーカーの熱シールドは銅に銀色のメッキをしたものがステンレスのように見えているか、あるいはシールドではない別の目的でステンレスが使用されているのかもしれません。

(2)スーパーインシュレーターの必要性

必要性は熱の流入をどれくらい許容できるかということで決まると思います。いずれの温度領域においても熱シールドおよびスーパーインシュレーターは有効です。ただ磁場強度が時間とともに変化する場合はそれにさらされる金属に渦電流が発生して発熱の原因になることもありますのでご留意ください。

回答を閉じる