電気化学測定

その他に関するFAQ

Q開回路電圧(OCV)とは何ですか?

A

開回路電圧(Open Circuit Voltage「OCV」や「自然電位」、「レストポテンシャル」とも呼ばれます)は、サンプルに電圧もしくは電流を印加していない状態の電圧です。OCV測定時に参照電極を用いた場合、参照電極を基準にした作用電極の電位差を示しています。開回路電圧を基準にしてサンプルに電圧を印加する際は、ポテンショスタットはセルに電圧を印加する前に開回路電圧(Eoc)を測定し、その測定値に基づいてサンプルに電圧を印加します。たとえば、初期電位を+100 mV vs. Eocと設定し、開回路電圧(Eoc)が+300 mVだった場合、初期電位として+400 mVが印加されます。

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Q測定データに"ノイズ"が現れる原因としてどのようなものが考えられますか?

A

実際の実験に関するお問い合わせの内容として、測定データに"ノイズ(電流振動等含む)"が現れるということが良く聞かれます。この現象を引き起こす原因として以下の要因が挙げられます。
(1)高インピーダンスの参照極  
(2)不適切なグラウンド接続  
(3)高静電容量性セル(サンプル)  
(4)環境ノイズ

(1) 高インピーダンスの参照極を使用した場合

参照極のインピーダンスが50kΩ以上になると、リファレンス回路の浮遊容量と相まって、差動電位計のオペアンプのネガティブフィードバック(安定平衡)の 遅延が発生します。対して、差動電位計のポジティブフィードバック(非安定平衡)は遅延が発生しないため、ポテンショガルバノスタットが発振してしまい、測定データにノイズが現れてしまいます。
ノイズの原因が参照極にあるかどうかを簡便に検証する方法として、参照極リード線を参照極から切り離し、対極リード線と一緒に対極に接続して行う”二極式測定”があげられます。この接続方法では、対極は補助電極と疑似参照極の役割を持っています。上記の接続をすることによってノイズが解消された場合、参照極がノイズの原因であると考えられます。 

参照極が高インピーダンスとなる原因の一例を下記に示します。

  • バイコールチップの詰まり
  • 電極内への気泡の混入
  • 二重接合ブリッジチューブ(ルギン細管)による影響
  • 塩橋(ブリッジチューブ)中の溶液抵抗が高い

その場合には、以下の方法を試して改善する可能性があります。

  • バイコールチップが良好な状態であるかを確認し、必要であれば交換してください。
  • 電極内に気泡がある場合には、気泡を除去してください。
  • 溶液抵抗の高い塩橋や二重接合ブリッジチューブ(ルギン細管)の使用を避けてください

高インピーダンスの参照極を使用しなければならない場合には、装置上で設定を行う必要があります。測定は参照電極の抵抗を含んだ結果となるため、インピーダンスが大きいとポテンショスタットの応答速度が低下し、発振するなど不安定になってしまいます。
EC-Lab上の’’Bandwidth’’を適切な値に設定することによって、ポテンショガルバノスタットの発振が抑制され、ノイズを低減することが出来ます。
(※”Bandwidth’’の設定に関しては、
Q:「Bandwidth」とは何ですか?どのように数値を決めればよいですか?(別リンク)を参考にしてください。)

(2)不適切なグラウンド接続

測定装置を他の装置やコンピュータなどに接続する場合、そのすべてを同じグラウンド端子に接続する必要があります。このような対策が必要になるのは、各グラウンド端子は配線の長さの違いなどに起因して等電位ではなく、グラウンド端子間に電位差が発生してしまうからです。

この問題への具体的な対策として、下記のものが挙げられます。

  • 実験に関連する装置の電源を、アース端子付きの電源タップを用いて、すべて同一の壁電源に接続してください。(図1参照)
  • 実験に関連する装置の外装を、導線を用いてすべて接続してください。

(3)高静電容量性セル(サンプル)

ポテンショガルバノスタットは静電容量性セルに接続された時、不安定になる可能性があります。この現象はポテンショガルバノスタットの応答速度が速ければ速い程顕著に現れます。
例えば、サンプルが酸化物層を形成した場合、この酸化層は静電容量成分となり位相シフトをポテンショガルバノスタットの位相シフト フィードバック信号に加えます。この時、ポテンショガルバノスタットが不安定となり発振してしまう可能性があります。 その場合には、設定した帯域幅を減少させ、ポテンショガルバノスタットの発振を抑制することができます。
(※'’Bandwidth’’の設定に関しては、Q:「Bandwidth」とは何ですか?どのように数値を決めればよいですか?(別リンク)を参考にしてください。)

(4)環境ノイズ

電源ラインや測定ケーブル、コンピュータのモニタ、攪拌モーター、蛍光灯などはすべてノイズ発生源になり得ます。このような環境ノイズの影響を避けるための最も実用的な手法として、実験セルをファラデーケージなどに収容してシールドすることが挙げられます。

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