FAQ

燃料電池

燃料電池評価

ID.

Q. 電流遮断法によるセル抵抗測定と低抵抗計の測定結果が違うのはなぜ?

A.


電流遮断測定機能については、890シリーズの機能説明をご参照ください。
低抵抗計は機種により固定の周波数(1kHzや10kHz)でインピーダンス測定を行う計測器で、電流遮断測定と同じくセルの直列抵抗成分の測定を目的として使用されています。これはセルのRC並列回路成分はより低周波域になるため、高周波域であればほぼ直列抵抗成分であろうという考え方に基づいていますが、セルの周波数特性によっては直列抵抗成分以外を測定している可能性もあるため、電気化学インピーダンス解析(EIS)を実施して、周波数が適切かを確認してから低抵抗計を使用することを推奨します。

注意が必要なのは”低抵抗計は負荷発電中には使用してはいけない”ということです。負荷発電中に低抵抗計を接続して測定していると、低抵抗計から見るとセルと電子負荷装置の並列回路を測定することになるためです。大電流時ほどセルの抵抗も電子負荷装置自身の抵抗も小さくなりますので、並列の抵抗値の足し算となって、低抵抗計では実際のセルの抵抗より低い抵抗値として計測されます。そのため電子負荷装置で行われる電流遮断測定の計測結果とはズレが生じます。
上記の理由から、低抵抗計の使いどころはOCV状態(負荷発電の開始前)のみとなります。となると、負荷発電中に低抵抗計で測定することが間違っているため、負荷発電中にしか測定できない電流遮断測定の結果と比べること自体が間違いであることは自明の理となります。
これら2つの測定結果を比べると、まず低抵抗計の測定結果の方が抵抗が小さい=セルの性能が良いということもあって、ユーザーは低抵抗計の数値を信じてしまいがちなので要注意です。
 
大電流の負荷発電中に低抵抗計が使えないとなると、簡易にセル抵抗を測定できる機種は限られてきます。
東陽テクニカでは、電流遮断測定機能を標準装備し、FRAオプションでEISも実施できるScribner社製890シリーズ(50Aモデル~最大1000Aモデル)を燃料電池評価システムへの搭載機種として提案しています。

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