FAQ
電気化学測定
インピーダンス
ID.
Q. インピーダンス測定から有効なデータを得る条件は何ですか?それを評価する方法はありますか?
A.
電気化学系でインピーダンス測定が正確に測定できるためには、一般的に以下の条件が成立している必要があります。
- 線形性…入力信号と出力信号の関係が線形であること。
- 不変性…測定中に電極状態が時間変化しないこと。
- 因果性…時間領域において、ある時刻 t での応答は、その時刻以前のシステムへの入力信号により決定されること。
上記条件を評価する方法として、リサージュ曲線やクラマース・クローニッヒの関係式(KK変換)等があります。
また、実際の実験では印加する信号の振幅を変えて測定を行い、測定結果が変化しないことを確かめる方法もあります。
Biologic社では上記条件を満たしているかを評価する手法をソフトウェアに実装しました。実際には以下のパラメータです。
● 線形性の評価:THD(Total Harmonic Distortion)
● 不変性の評価: NSD(Non-Stationary Distortion)
● 測定ノイズの評価: NSR(Noise to Signal Ratio)
これらの評価は、各周波数ごとに定量的データを得ることができます。
線形性の評価について、
①EC-LabのTHD、②リサージュ曲線、③KK変換、④電圧振幅を変化させた測定の4つについて比較します。
測定手法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
① | 周波数ごとのデータが定量的情報で得られます。 | 理論的な理解が必要です。 |
② | 測定した結果が視覚的に分かります。 | 数値で示せません。 各周波数で多くのデータが必要です。 |
③ | 一般的な有効性の情報を得ることが出来ます。 | ナイキストデータが不完全な場合にはデータが得られません。 |
④ | 測定方法が単純です。 | 時間が掛かります。 |
THDは定量的な評価ができ、1つの周波数データだけでも評価ができるため他の方法に比べて有用です。
詳しい資料については、EC-LabのマニュアルまたはBiologic社が発行する Application note #64(2020年7月時点で翻訳)をご覧ください。
Application note #64