電気化学ソリューションマガジン Vol.01

いまさら聞けない電気化学測定(3電極系)の基本を確認!

理化学計測部 電気化学チーム マーケティング担当です。

今回はメールマガジン第1号ということで、弊社取り扱いの電気化学測定システムのメーカーであるフランスBio-Logic 社について、また電気化学測定の基本となる3 電極系について簡単にご紹介させていただきます

 

1. Bio-Logic 社について

1983 年にフランス最大の政府系研究機関である、フランス国立科学研究センター(CNRS)の研究者らによって創設されたBio-Logic 社は、電気化学関連の機器を中心に製造する世界的なメーカーです。特に、Bio-Logic 社が世に初めて送り出した、スロットタイプのマルチチャンネル電気化学測定システムは現在も看板製品の一つです。
2012 年には英国の電気化学スキャンニングシステムの専門メーカーであるUniscan Ltd.を買収し、走査型電気化学顕微鏡(SECM)のシステムを含めたあらゆる電気化学関連製品を製造しています。

Bio-Logic 社紹介ページ
 

2.電気化学測定の基本(3電極系)

電気化学測定は、主に溶液中の化学種の定量的・定性的な分析を人為的な電位/電流の制御により、応答する電流/電圧値の変化を計測します。

電気化学の測定系は大きく分けて、ポテンショスタット/ガルバノスタットと呼ばれる
電位/電流の制御応答する電流/電圧の計測を行う機器と電解セルからなります。
電解セルは測定対象の化学種を含んだ溶液(電気を流すために必要な支持電解質と呼ばれる塩を含む)と作用電極(対象の反応場となる電極)、対極(作用電極との電流の流れの場となる電極)、参照電極(作用電極の電位をコントロールする際の基準となる電極)の3電極で構成されます。電気化学計測の場合、装置の詳細より電極などの電解セル側のほうに興味を持たれる方もいると思います。
そこで今回は、電気化学測定の基本である3 電極系について簡単にご説明します。

東陽テクニカでも各種電極などを取り扱っていますが、そもそもなぜ3種類電極があるのでしょうか?
電気化学測定を始めようとすると違和感を覚える方も多いと思います。学生の頃に学んだ電気分解では陽極/陰極、バッテリーなどは正極/負極など電極が関わる実験では2電極だったイメージが強いかもしれません。もちろんポテンショスタットで作用電極と対極だけの2電極系での測定も可能です。ただ、2電極系の場合、測定溶液に作用電極と対極を浸漬した際の“電位差”を確認・制御することはできますが、実際に反応場となっている作用電極にどの程度電圧がかかっているのかわかりません。
そこで、参照電極と呼ばれる第3 の電極が必要となります。参照電極には測定溶液中で安定した電極電位を保持できる電極を選択し、電位の基準となるこの参照電極があることで、“相対的に”作用電極の電位を知ることができるわけです。
そしてポテンショスタットはこの参照電極の電位を基準にして+□V(ボルト)もしくは-□V(ボルト)という任意の電圧を作用電極に印加しています

電気化学測定全般に関する概要
 

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