誘導性負荷による直流電源装置の損傷を防ぐ方法 ~還流ダイオードと逆流防止ダイオード~

誘導性負荷による直流電源装置の損傷を防ぐ方法
~還流ダイオードと逆流防止ダイオード~

直流電源を使用する際、負荷が抵抗性荷の場合は簡単です。電源を切ると電流はすぐにゼロになり、損傷はありません。

しかし、負荷が誘導負荷の場合は別です。直流電源を使用してDCモーター、ソレノイド、ファン、リレー、その他の誘導性負荷に電力を供給する場合は、何らかの回路保護が必要です。保護がないと、これらのデバイスからの高電圧スパイクによって電源が損傷する可能性があります。

直流電源に誘導性負荷を接続する場合の接続図を図1に示します(図の赤色)。電源をオンにすると、コイルに電流が流れ、インダクタの周囲に磁場が発生します。その磁場は潜在的なエネルギー源です。


図1:直流電源に誘導性負荷または電池を接続する場合の接続図

電源をオフにすると、電流の供給が途絶えるため磁場は崩壊し、この崩壊した磁場が逆方向に流れる電流を誘導します。これは、逆極性のバッテリーを電源に接続した場合と同じ状況です。この電圧をフライバック電圧または逆起電力と呼びます。

フライバック電圧は、誘導性負荷に対してもともと供給していた電源電圧よりもはるかに高くなる可能性があります。12 Vや24 Vで誘導負荷に電力を供給している場合でも、フライバック電圧は数百から数千ボルトになることがあります。この電圧は、負荷のインダクタンスLに電流の時間変化率di/dtを掛けた値になります。つまり、電流の変化が速いほど、フライバック電圧は高くなります。
誘導性負荷、または電源に電流が逆流する恐れのあるエネルギーを蓄えた負荷(バッテリーなど)を駆動する場合、フライバック電圧から電源を保護する1つの方法は、電源の出力に保護ダイオードを使用することです。これもまた、図1に示しています。

誘導性負荷のキックバックによる電源への損傷を防ぐには、出力に逆並列ダイオード※1(電源装置の出力電圧、電流よりも高い定格のもの)を接続します。カソード側を電源装置の出力のプラス端子に接続し、アノード側をリターン(マイナス端子)に接続します。
(※1還流ダイオード、バイパスダイオード、フリーホイールダイオードなど様々な呼び方があります。)

モーターからの逆起電力やバッテリーに蓄えられたエネルギーなどにより正極方向への過渡現象が発生する可能性がある場合には、電源を保護するためにブロッキングダイオード※2を直列に接続します。
(※2一般的に逆流防止ダイオードと呼びます)

もちろんダイオードは適した定格のコンポーネントを選択する必要があります。ピーク逆電圧定格は、電源装置の最大出力電圧の2倍以上のものを選択してください。また、連続順方向電流定格は、電源の最大出力電流の1.5倍以上のものを選択してください。場合によっては、電流によって生じる発熱を消費させるためにヒートシンクが必要になることがあります。

※図1の赤色は誘導性負荷への接続方法、青色はバッテリーへの接続方法を示しています。
負荷が誘導性負荷の場合は還流ダイオードと逆流防止ダイオードを接続します。負荷がバッテリーの場合は逆流防止ダイオードだけを接続します。

参考資料

AMETEK Programmable Power社のブログ
「How To Prevent an Inductive Load from Damaging Your Power Supply」