FAQ

HYPACKに関する質問

3.測地系(Geodesy)

ID.Q3-3

Q. データ変換(Datum Transformation – Field Example)

A.


マカオ島で使用するのに適切なデータム変換値を必要としている香港の代理店(Steve Lai)から、最近、以下の情報を得ました。

Station Name

Geographic Coordinates (WGS84)

Projection Coordinates
(Macau Projection)

Hotel Oriental Lat. N22 – 11 – 32.6903
Lon. E113 – 33 – 12.2133
Ht. 73.854
East 21436.566
North 17920.459
MSL 76.13
Monte Da Barra Lat. N22 – 10 – 58.8428
Lon. E113 – 31 – 54.3789
Ht. 72.119
East 19207.44
North 16878.29
MSL 74.46
Taipa Pequena Lat. N22 – 09 – 39.4636
Lon. E113 – 32 – 48.5433
Ht. 109.680
East 20760.29
North 14437.4
MSL 111.97
Taipa Grande Lat. N22 – 09 – 31.5112
Lon. E113 – 33 – 57.2049
Ht. 158.185
East 22727.683
North 14193.896
MSL 160.36
Monte Ka-Ho Lat. N22 – 07 – 48.0785
Lon. E113 – 35 – 04.6180
Ht. 130.037
East 24661.59
North 11013.768
MSL 132.06
Coloane Alto Lat. N22 – 07 – 14.5545
Lon. E113 – 33 – 40.5583
Ht. 170.316
East 22253.264
North 9981.001
MSL 172.41

Pat1.jpg (19661 bytes)

Geodetic Parameters set to Macau.

初めにしたことは、HYPACKで地理座標パラメータをマカオ座標にセットすることでした。マカオ座標は国際座標の一つであり、Grid menuリストから選択する事ができるので、とても簡単にできました。
右図のGEODETIC PARAMETERSプログラムの通り、マカオ座標は国際地球楕円体に基づいています。GPSからの緯度経度情報はWGS-84なので、SURVEYプロ グラムは、緯度経度を、投影座標に落とす前に、マカオデータムに基づいた国際地球楕円体の緯度経度へデータム変換計算を行っています。
右図について、Datum Transformation parameters are setの項目は0.00にセットされています。まだ、どんな値を入れるべきか決めていないからです。
次にすることは、緯度経度をマカオデータム(国際地球楕円体)の投影座標へ計算することです。これはGrid Conversionプログラムを用いて行います。XY to Geographicsボックスにチェックをいれます。そして、各々のX-Y座標を入力します。各々の座標に対するローカルな緯度経度が出力されている、中央のウィンドウ中の値を記録します。
さて、これで各々の座標に対する、WGS-84(GPSから与えられている)の緯度経度と楕円体高度と、マカオデータム(国際楕円体)における緯度経度、平均海水面からの高度が判りました。
平均海水面からの高度よりも、マカオデータムからの楕円体高度が判る方が望ましいのですが、今わかっている値で話を進める事にします。
次に、Datum Transformationプログラムを用いて、平行移動3-パラメータを決定し、各座標について比較を行います。左図は、Hotel Orientalにおける変換です。各々6点における平行移動量を決定しました。以下にまとめます。

Station Name:

DX

DY

DZ

Hotel Oriental

204.52

203.95

155.09

Monte Da Barra

203.95

303.34

154.19

Taipe Pequena

203.08

302.74

154.88

Taipe Grande

203.13

302.40

155.66

Monte Ka-Ho

201.98

301.56

156.46

Coloane Alto

201.41

301.71

155.50

Average Value:

203.01

302.49

155.30

Pat2.jpg (19246 bytes)
Determining the Lat/Long on the Macau datum.

Pat3.jpg (23278 bytes)
Determining the 3-parameter shift at Hotel Oriental.

完璧であれば、6つの各ステーションに対する平行移動3-パラメータの差異は数センチ以内になります。本例のように完璧ではない場合、数メートル程度の差異がでます。この原因としては、

  • 誤ったWGS-84情報
  • 誤ったマカオデータム緯度経度
  • マカオデータム情報に基づいた楕円体高度の替わりに、MSLからのエレベーションを使用している

水路測量者には、3つの選択肢があります:

  • マカオでの測量全体に対する平均値を用いる。
  • 各々の点に近い点に対する最も適切な値を用いる
  • 3-パラメータの使用をやめて7-パラメータを用いる

選択肢 #1: 島全体に対する平均値を用いる
WGS-84の緯度経度高度から、全てのステーションの情報をマカオデータムへ変換し、そして投影座標へ計算させました。計算されたステーションの座標と、実際の座標とを比較して、位置誤差がどの程度になるのか見積もりました。結果は以下の表にまとめられます:

Station Name:

D Easting

D Northing

Hotel Oriental

+1.67 m

+0.22 m

Monte Da Barra

+1.19 m

+1.18 m

Taipe Pequena

+0.16 m

+0.47 m

Taipe Grande

+0.07 m

-0.37 m

Monte Ka-Ho

-1.32 m

-1.24 m

Coloane Alto

-1.78 m

-0.21 m

上表から、全てのデータム変換に対する平均を用いた場 合には、Easting方向は最大1.78メートルの誤差 (ステーション:Coloane Alto)、Northing方向では1.24メートルの誤差(ステーション:Monte Ka-Ho)が現れました。縮尺1:5000において、この誤差は0.3mmの大きさで表示されます。この誤差が許容範囲か、そうでないか微妙なところです。

選択肢 #2: 各々の点に近い点に対する最も適切な値を用いる
この場合、Hotel Orientalに近いところを測量しているならば、平行移動パラメータは、この地点における平行移動パラメータを入力します。Coloane Altoに近い場所ならば、 そこの地点のパラメータを入力します。これにより、各々の地点における正確な値が得られます。しかし、その地点から離れるにしたがって値は正確ではなく なっていきます。どのくらい値が悪くなるのかといいますと、上記の例では、Coloane AltoとHotel Orientalは約8km離れていますが、Hotel Orientalでの値を用いてColoane Altoまで移動すると、位置誤差はEasting方向で3.45メートル、Northing方向では0.43メートルになります。つまりHotel Orientalから1kmごとに0.45メートルの誤差が出てくることになります。
選択肢 #3: 7-パラメータを用いてデータム変換をする

与えられた情報を元に、エリア全体を精密にモデル化した7パラメータを用いた変換を行うことができます。通常、7パラメータデータム変換を行うには7もし くはそれ以上のテスト地点が必要となります。HYPACKには、この機能がないので、商用の他のソフトウェアを用いて行わなくてはなりません。

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