July 9, 2021

Unreal Engine 5(UE5)によって変わるゲームの世界

By Ryan L'Italien

*本記事はPerforce Software社の以下のブログ記事(7月9日時点)の参考訳です。
ブログの内容は更新されている可能性があります。また、記事内のリンク先は英語ページになります。
Unreal Engine 5 (UE5) has changed the Game

Unreal Engineは、非常にポピュラーなゲームエンジンのひとつです。UE4は多くの開発者に愛用されていますが、この度公開されたUnreal Engine 5(UE5)のプレビュー版には、待望の機能改善(加えて、素晴らしい新機能の実装)が含まれていました。

本記事では、我々(Perforce Software社)がUE5に寄せている期待とその理由について書きたいと思います。また、この革新的技術をうまく生かすために必要になるツールについても少しご紹介します。

Unreal Engine 5とは?

UE5は、次にリリースが予定されているUnreal Engineの新バージョンです。5月にプレビュー版が初公開され、フルリリースは今年中または来年の始め頃になるだろうとされています。

Unreal Engine 5がゲームの世界を大きく変える、ゲームチェンジャーだと言われている理由

Unreal Engineは、ゲームバーチャルプロダクションの開発で(また、それ以外の業界でもデジタルツイン技術において)欠かせないものとなってきています。UE5の登場で、開発チームは今まで以上の "大作" を生み出す力を手にすることになります。幅広い業界のクリエイター達が、リアルタイムで連携し、エンドユーザーに素晴らしいビジュアル作品や体験を提供できるようになるのです。さっそく、UE5の機能についてみていきましょう。


Nanite

UE5は、きめ細かい表現を可能にします。Naniteは、山のような量の細部のデザインが必要になる時、その作業にかかる時間を削減してくれる仮想ジオメトリシステムです。詳細レベル(LOD)をロードするための面倒な作業が不要になり、映画品質のアセットのインポートが可能になります。これからは、スキャン作業だけで済むようになるのです。パフォーマンスへの影響も心配無用です。この機能を使っても、リアルタイムのフレームレートは確保できます。

Lumen

リアリティのあるシーンを作るうえで大切なのは、ライティングです。Lumenは、時間帯や新しい光源(例えば、懐中電灯の動き)、画面に突然入り込む強い光線などに合わせてライティングを調整することで、色々な変更を素早く加えることができるようにしてくれます。オープンでダイナミックなシーンから非常に細かい部分まで、ライティングの調整を可能にします。

広大な世界

UE4でも既に広大な世界を創り出せることはわかっていますが、UE5では更なるレベルを目指すことができます。制作をより速く、コラボレーションをより簡単にしてくれます。

World Partitionシステムでは、グリッドを使用して、その世界全体を構成するサブレベルをマッピングします。ゲームプレイヤーがある風景を進んでいく時に、ロードおよびアンロードするような複雑なレベルの管理が可能になります。さらに、One File Per Actor(1アクター当たり1ファイル)システムが、作業者ごとにデータを外部ファイルとして保存することで、重複を減らし、チームでの並行的作業をサポートしてくれます。この機能を使うには、(Epic Gamesが使用しているような)高パフォーマンスなバージョン管理システムが必要になるのですが、この点については後で説明させてください。

アニメーション

"イノベーション"には"イテレーション"が必要です。UE5では、コントロール リグのようなツールが追加され、アニメーション制作のための機能がパワーアップしています。UE5からは、作成したリグを複数のキャラクターで共有させることが可能になります。フルボディ IK ソルバを使って、ポーズを保存・適用することで、より自然な動きを作り出すこともできます。

MetaSound

UE5をまだ試されていないとしたら、この機能で試してみたくなるかもしれません。MetaSoundは、オーディオ管理に必要なすべて、そして今まで以上の柔軟性を提供してくれます。ワークフローが改善され、サウンド体験のあらゆる側面を管理できるようになります。


もちろん、上記以外にもまだまだあります。強化されたエディタや新しくなったワークフローなども、ほんの一例に過ぎません。しかし、UE5のプレビュー版を試しに行く前に、その機能を最大限に活用するうえで必要になるツールについても考えてみてください。

UE5の魅力

UE5の技術は次世代機向けゲームの開発には不可欠です。また、ゲームや映像業界以外においても、シンプルかつパワフルで拡張性のある3D世界をデザインするために、重要な技術となるでしょう。我々は特に、UE5の以下の点について魅力を感じています。

1. ファイルサイズ - 4K、8K、そして12Kにも対応可能に

UE5では、扱えるファイルサイズが大きくなり、4K、8K、さらには12K画質にまで対応できるようになります。

例えばですが、ゲームのプレイヤーが、洞窟の中で鍾乳石を見たとしましょう。その鍾乳石は4Kでレンダリングされていますが、プレイヤーがその部分にズームインすると、解像度がダイナミックに変化し、12Kでレンダリングされた鍾乳石を見ることができるのです。

この機能は、驚くべきものです。UE5は、今までもよりもずっと大きなファイルサイズに対応することで、これを可能にしています。Play Station 5やXbox Series Xのような次世代機向けのゲームをこれから作っていくうえで、開発チームの方でも大きなファイルを扱う必要がでてきます。

UE5はまだリリースされていません。しかし、一足先に次世代機向けゲームの開発に着手している開発チームからは、その膨大なファイルサイズの扱いに既に苦労しているという声も聞こえてきます。

公開されたUE5のプレビュー版で、Epic Gamesがこの問題をどのように解決しているかがわかります。Epic Gamesでは、Perforce Software社のツール「Helix Core」を使って、ゲームアセットのバージョン管理を行っています。


【動画】Welcome to Unreal Engine Early Access(日本語字幕あり)

Helix Coreは、4K、8Kおよび今後登場する12Kのレンダリングに必要になる、ギガバイトからテラバイト、ペタバイトの大容量アセットも取り扱うことができます。UE5の使用を検討しているならば、今からHelix Coreを導入しておくことは賢明な選択と言えるでしょう。

UE5導入の準備はできていますか?

UE5のプレビュー版紹介を見て、バージョン管理ツールにPerforce(Helix Core)が使われていることに気が付いた方もいるかもしれません。
これは、PerforceツールがUE5に必要な"すべて"に対応できるように作られているからです。そして、Helix Coreは無料でお試しいただけます。

Heix Coreを使ってみる

2. 映画やアニメーション制作に最適

UE5の技術的進歩は、映画やアニメーション制作においても大きな変化をもたらすでしょう。

Unreal Engineは、既に映画やアニメーション業界でも使用されおり、高い評価を得ています。例えば、Disney+で配信中の実写ドラマシリーズ「マンダロリアン」の3DセットはすべてUnreal Engineを使用して作られています。

これからの映画やドラマ制作では、膨大な数のイテレーション管理が求められるようになります。Unreal EngineとHelix Coreは一緒に使うことを前提に作られており、UE5の正式リリース前から既に、組み合わせて使われている実績があります。
参考ユースケース:Entertainment Technology Center optimized everything with Helix Core >>

Unreal Engine 5のリリース日は?

UE 5のリリースは2021年後半(または来年始め)になるだろう予想されています。

プレビュー版は既に公開されており、入手方法としては主に以下の2つがあります。

けれども、まずは Perforce Helix Coreを Unreal Engine 4と使い始めてみるのも手だと思います。

Unreal EngineとPerforce

Unreal EngineとPerforce(Helix Core)は、ゲーム開発をはじめとする様々な分野において欠かせないツールです。どちらも、イノベーションの創造、開発チームの連携強化、そして次なるヒット作や次世代の没入体験を生み出すために使用されます。

Unreal Engineには、かなり以前からHelix Coreとの連携機能が標準で組み込まれています。また、Helix Core側でも常に新しい機能を追加し、Unreal Engineとの連携度を高めていますので、今後の成長をぜひ楽しみにしていてください。

以下の動画では、Helix Coreのセットアップ方法と、Unreal Engineと連携させることで開発現場のコラボレーション向上を図る方法を紹介しています。

【動画】Unreal EngineとHelix Coreの連携

Unreal Engine とHelix Coreの連携:

  • Unreal Editorが、Helix Coreと連携可能(この連携機能はEpic Gamesにより提供・管理されています。)
  • Unreal Game Syncは、UE4プロジェクトをHelix Coreから同期
  • Microsoft Visual Studioは、Helix CoreとUnreal Engineの両方と連携が可能(Helix Coreとの連携にはP4VSというプラグインが必要になります。)
  • 各種グラフィックツールとHelix Coreの連携も可能(P4GTというプラグインが用意されています。また、アーティスト&デザイナー向けに、Webベースのクライアントツール「Helix Sync」も提供しています。こちらは、複雑な作業なしにドロップ&ドロップだけで、バージョン管理を可能にします。)

このように様々な連携機能が用意されていることも、世界中のヒットゲームの作り手たちにHelix CoreとUnreal Engineが選ばれている理由でしょう。

Helix Coreは既にペタバイト級のファイルに対応

Helix Coreは様々な開発規模に柔軟に対応し、複雑な開発課題を克服できるよう作られたバージョン管理ツールです。ペタバイト級のデータや数万ユーザーによるアクセスがあっても変わらずに、高速でのファイルのやり取りを可能にします。Helix Coreを利用することで、デザイナー、アーティスト、開発者、プロジェクトマネージャーが連携して、ひとつのプロジェクトに取り組むことができます。

PlayStation 5やXbox Series Xのような次世代機向けのゲームの開発に必要になるファイルサイズを扱うのであれば、Helix Coreは最も適したツールと言えるでしょう。

多くのヒットゲームを作り出すためにHelix Coreが使用される理由はここにあります。

AAAゲーム開発スタジオTop 20のうちの19社がHelix Coreを利用しています。
また、数えきれないほど多くのインディーズスタジオでも使われています。

ゲーム開発、映画やアニメーション制作、そしてそれ以外でも、Helix Coreを使い始めるべき理由を、ぜひご自身で体験してみてください。UE5を使う予定がある方には特におすすめです。

Helix Coreは5ユーザーまで無料でお使いいただけます。使い始めてみて良かったら、必要なユーザー数や扱うデータサイズに応じて、ぜひ利用範囲を広げてみてください。

Helix Coreを使ってみる

 

Ryan L'Italien

Perforce Software社、シニア・ソリューション・エンジニア

バージョン管理ツールを担当。開発者として15年以上の経験を持ち、ゲーム&映画好き。Perforce社において、大小様々な企業の抱えるDevOpsのワークフローやインテグレーションに関わる課題解決に熱心に取り組んでいる。プライベートでは、トライアスロン・アイアンマンレースに挑戦したり、マウンテンバイクを楽しんだりしつつ、家族団らんも大切にしている。