音声サービス品質測定「MultiDSLAシステム」
特長
Opale Systems社のMultiDSLAシステムは、最先端の技術を用いた音声品質測定の標準機として世界中の通信事業者、端末機器メーカー、企業で数多く採用されています。PESQを用いて固定電話、携帯電話、IP電話、メディアゲートウェイを始めあらゆる音声機器の品質試験のみならず、公衆交換電話網、VoIPネットワーク網の音声品質を評価することができ、ラボ試験、フィールド試験、運用管理まで幅広い用途で使うことができるシステムに仕上がっています。
DSLAIIc型アナログインターフェースユニットは3kgと軽量小型ですので、フィールドでも容易に試験することができます。またGPSを用いることで正確な時間同期が取ることができ、完全に分離された拠点間でも音声品質評価と片方向遅延測定が可能です(詳細は「アプリケーション」の携帯電話試験をご覧ください)。
さらにLTEなどの第4世代携帯電話の高品位、広帯域音声通信の品質評価に対応するため、次世代PESQであるPOLQA ( Perceptual Objective Listening Quality Analysis)をサポートしております。
また、客観的な音楽/オーディオ品質評価アルゴリズムであるITU-R BS1387.1 PEAQ をサポートいたしました。
仕様
以下はDSLAIIcデジタルスピーチレベルアナライザの仕様の一部です。
測定値
- スピーチレベル測定 ITU-T P.56 Method B
- DTMF 検出 ITU-T Q.24, Bellcore TR-TSY-000181, EIA/TIA-464A
- 平均アクティブスピーチレベル20dBまでのスピーチ信号内のノイズ
- ピーク及び真のRMSレベル
- トーンバースト測定モード
- ダブルトーク測定 (両チャンネルにスピーチが存在する測定時間のパーセンテージ)
- リニアリティ 0.1dB レベル -60 - +10dBm
- リニアリティ 0.1dB 周波数 20Hz - 14.8 kHz
- ノイズフロア -85dBm 以下
- 測定レベルレンジ -75dBm - +19dBm
- 測定可能最小平均アクティブスピーチレベル -65dBm
- 4-ワイヤ入力のダイナミックレンジ 104dB
校正
- 校正レポート添付
- 校正サイクル 3年
外形
- 約 72mm(H) x 218mm(W) x 200mm(D)
重量
- 約 3kg 梱包材とアクセサリを除く
安全規格とEMC
- CE Mark. FCC Part 15.
電源
- 100 – 240Vac Power Adaptor (UL, PSE, CE, FCC, CCC)
- 9 – 18Vdc, 12W
動作温度
- -2 to + 40℃
システム構成

MultiDSLAはテストサーバです。テストノードを制御して、音声通信ネットワーク及び音声機器の音声品質を測定します。MultiDSLAはテストラボ内、製造ライン、国際間ネットワーク及び路上試験で使用されています。
MultiDSLAのソリューションは以下の主要コンポーネントで構成されます。
- MultiDSLAコントローラ
- テスト結果保存用データベース
- 一つ以上のノード
MultiDSLAは以下のテスト環境を提供します。
- ユーザーが必要とする正確なテストを実行するためのスクリプト
- 無人操作を実行するスケジューリング
- グラフィック表示またはイベントログ表示によるテスト進行のリアルタイムモニタ
- テスト結果のクイックレポート表示
- テスト結果をドリルダウンした問題点の詳細解析
- スレッショールドを設定してテスト進行中のアラート通知
オプション
MultiDSLAのオプションには以下のものがあります。
テストノードオプション
- DSLAIICアナログインターフェースユニット RJ11, RJ22, 4線バランスポート 各2チャンネルを装備
- VoxPort Packet (VPP/VPP+) SIP エージェント(ソフトウェア製品)
- ISDN BRIノード ISDN 基本レートテストノード
- ISDN PRIノード ISDN 一次群テストノード
ソフトウェアオプション
- パフォーマンス検証、劣化した受信音声の詳細解析
- サウンドファイル用イコライザ
- デュアルトーンマルチ周波数(DTMF)解析
ハードウェアオプション
- GPSレシーバ (5mケーブル)
- GPS延長ケーブル (25m または 50m)
- 携帯ハンズフリーポート接続ケーブル (RJ22-平型、RJ22-4極ステレオミニフォンジャック)
注:MultiDSLAは標準構成で5デバイス(ノードとも言います)までサポートできます。
5台を超える場合は5台単位で追加可能です。
DSLAIIcは2チャンネル持っていますが1デバイスになります。
アプリケーション
携帯電話試験

1台のDSLAIIcを使って携帯電話の音声品質を試験します。
呼接続をハンドセット間またはハンドセットと回線間で自動または手動で実施します。 スピーチ信号を携帯Aに注入し、携帯Bで受信した信号をキャプチャして解析します。 解析によりMOS値、遅延、受信スピーチレベルなどを提供します。
このプロセスを反対方向及び他の音声で繰り返します。
MultiDSLA コントローラはテストシーケンスを進め結果の収集をします。

2台のDSLAIIcを使って携帯電話の音声品質を試験します。
ノートPCとDSLAIIcを列車または車に搭載して試験する場合、上記の構成になります。 それぞれの機器はGPSを使って時間同期を取っています。
試験はスケジュール機能を使って、お互いが正確に同じ時間からスタートする様にします。
電話回線試験

この接続では、東京と大阪で既存アナログ電話網の品質試験を行っています。それぞれのDSLAIIcはIPネットワークでMultiDSLAコントローラと接続可能な場合を想定しています。DSLAIIcはお互いにGPSで同期が取られる必要があります。
この例ではDSLAIIcはアナログ電話端末として動作していますが、片方を携帯電話に置き換えることで、PSTNから携帯網への試験が可能になります。MultiDSLAでは試験端末の組合わせは自由に選択できます。
VoIP回線試験

VoxPort Packet (VPP/VPP+) SIP エージェントはVoIPノードエミュレーションソフトウェアです。PCにインストールして動作するものです。試験の制御はDSLAIIcと同様にMultiDSLAから行うことができます。
ハンドセット特性試験

デジタル電話端末のハンドセット性能を試験することができます。ITU-T P.310(狭帯域) 、P.310(広帯域)に対応したラウドネス測定を行います。以下の項目を自動試験できます。
- 発話ラウドネス評価 (Send Loudness Rating)
- 発話周波数特性 (Send Frequency Response)
- 発話歪み (Send Distortion), 発話ノイズ (Send Noise)
- 帯域外入力信号識別 (発話) (Discrimination Against Out-of-band Input Signal)
- 発話振幅特性 (Send Amplitude Response)
- 受話ラウドネス評価 (Receive Loudness Rating)
- 受話周波数特性 (Receive Frequency Response
- 受話歪み (Receive Distortion), 受話ノイズ (Receive Noise)
- 受話振幅特性 (Receive Amplitude Response)
- 帯域外入力信号識別 (受話) (Discrimination Against Out-of-band Input Signal)
- 発話者側音周波数特性 (Talker Sidetone Frequency Response)
- 側音マスキング評価 (Sidetone Masking Rating)
- 受話者側音評価 (Listener Sidetone Rating)
- 発話者から受話者への片方向遅延 (One-way Delay Send to Receive)
- 受話者から発話者への片方向遅延 (One-way Delay Receive to Send)
- 端末結合損失 (Terminal Coupling Loss)
- 安定性 (Stability)
電話会議試験

電話会議試験は、カンファレンスブリッジに1台のDSLAIIcが発話して残りのDSLAIIcが受話することで、会議参加者の一人が発言している時に他の参加者が聴取している様をエミュレーションします。
この試験では発話DSLAIIcが順次切り換わって行くことで、全員がそれぞれ発言した時の他の参加者への音声品質を試験できます。
その他の試験
エコー測定 | エコーのレベルを測定します。 エコー遅延時間測定にも対応しています。 |
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エコーキャンセラ性能試験 | 受信チャンネル側からエコーをシミュレーション出力し、エコーキャンセラの性能を試験できます。 |
ノイズキャンセラ性能試験 | 音声信号に任意のノイズを挿入して、ノイズキャンセ ラの性能を試験できます。 |
VAD(無音圧縮)性能評価 | クリッピングなどの無音圧縮の評価ができます。 パフ ォーマンス検証オプションが必要です。 |
ジッタバッファ評価試験 | 長時間遅延測定を実行し、ジッタバッファの動作を検 証できます。 |
DTMF試験 | DTMFの特性を試験できます。 DTMF検証オプションが必 要です。 |
コーデック評価試験 | 様々なコーデックを用いて、音声品質の違いを試験で きます。 |
R値測定 | Eモデルを使ってR値を測定することができます。 |